僕は間違っている

ヤミリ

4話

今朝、鼓膜が破れそうになる程の目覚まし時計の音と、鳥の愉快な鳴き声で目覚めた。
ベッドから出てカーテンを開けると、眩しい光が窓から入り込みあっという間に眠気が消えた。
それと懐かしい夢を見た気がするが、忘れてしまったので大した夢では無かったのだろう。
そんなことより早く支度をしなくちゃ。
今日は金曜日なので学校がある。
お腹も空いていたので階下へ降りた。
階段から右奥にあるドアを開けリビングへ入ると、そこには不服そうな顔をした父がいた。
とても機嫌が悪そうだったので、声をかけるのを渋ったが気になるので訳を聞いてみることにした。
「父さん、そんな顔して何があったの?」
「母さんとちょっとな……今寝室には近づかないほうがいいぞ」
と父は焦った様子で応えた。
「ああ、いつものか」
「そうだ。それよりそこに朝食が置いてあるから早く食べなさい」
そう言いながら父は、テーブルにおいてある朝食に指を差した。皿には丁度良く焦げたトーストが乗っていて、その上に目玉焼きとベーコンが乗っている。
目玉焼きは黄金色で美しい黄身が輝いており、ベーコンの色と上手くマッチしていた。
父が用意してくれたのだろうか。
これを食べて早く支度をしよう。
僕は朝食を食べた後、制服に着替えてから玄関へ向かう。
「行ってきます」と扉を開けると達秋が家の前で眠そうにあくびをしながら立っていた。
「おはよう颯海!どうせ寂しく1人で登校するだろうと思って来てやったぞ」
「失礼だな。余計なお世話だよ」
そう呆れたように言ったが、内心嬉しかった。
僕と達秋は家は少し遠いけれどたまにこうやって一緒に登校する。
「さっさと学校行こうぜ」
「そうだね」
僕達は学校へ向かった。
教室へ入ると、いつも以上に騒がしかった。
「一体何があったの?」
「なんだ、知らないのか?今日は転校生が来るからみんなテンション上がってるんだ」
「転校生!?」
この時期に転校生か、何か訳ありだろうか。
「親が警察官らしいぞ」
「へえ、そうなんだ」
そんな会話をしていると、原川先生が教室に入ってきた。
「皆さん、ホームルームが始まるので席についてください」
先生の呼びかけで騒がしかった教室は一気に静まり返った。
「今日は転校生が来ています。入ってきてください」

────ガラララッ

「失礼します」
入ってきたのは長身でモデルのようにスラッとした男だった。おまけに顔立ちもよく、映画にでも出てきそうなオーラを放っていて、黒髪が良く似合う。
彼の姿は教室の後方に置いてある生けてあるアネモネよりも華々しかった。
「隣町の高校から転校してきた相崎獅恩(あいざきしおん)です。慣れないことが多いのでぜひ教えてください。よろしくお願いします」
そう言いながらお辞儀をする彼の姿に女子達は見惚れていた。男子達はそれに気付き羨望の眼差しを向けている。
「席は……一番後ろの空いている窓際の席よ」
原川先生がそう言うと、転校生は僕の隣の席へ座った。
(まさか僕の隣の席だとは思わなかったな。)
そう困惑している時、彼に小声で挨拶をされる。
「よろしく。隣の席になったのも何かの縁だ、仲良くしてくれると嬉しいな」
端麗な顔が更に近付き、微笑んだ。圧倒され思わず体を後退させた。
「あ、よろしく。何か分からないことがあったら聞いて」
「ありがとう。早速放課後に校内を案内してくれないかな?」
あまりに真っ直ぐ僕の瞳を見て話すので、目を合わせるのが苦手な僕は早く会話を終わらせたいがため「もちろん」と了承してしまった。

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