外れスキルのお陰で最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜
第76話 すっ飛ばし過ぎです
 カウンターの近くで待つこと約10分。ぼーっとしていると、エーリカが奥から出て来るのを見付けて、聡はカウンターへと向かう。
「サトシ。お待たせ。」
「ギルドカードの更新って、何やってたんだ?」
 何処と無く嬉しそうなエーリカに、そう問いかける聡。
「それについては、後ほど説明するから、まずは報奨金を渡すわね。」
「分かった。」
 笑みを深めるエーリカを見て、内心首を傾げるが、結局は説明してくれるならと、頷いておく。
「納品してもらったルング草が、130本だったから、金貨13枚になるわね。どうする?口座に入れたままで良い?」
「うん、そうだな。手持ちにはそれなりに余裕あるから、それで良いよ。」
 余裕があるどころでは無いのだが、それを馬鹿正直には言えないので、それなりにと表現しておく。
「分かったわ。じゃあ次に、ギルドカードの更新についてだけど…。」
「…。」
 『うふふふ』と勿体ぶった感じに笑うエーリカ。正直、その笑みは非常に蠱惑的なので、止めてもらいたいのだが、そんな事言える訳も無く、無言で続きを待つ。
「何と、Bランクに昇格よ!ギルド創設以来、最速だそうよ!」
「…は?」
 衝撃的な言葉に、聡は一瞬思考がストップしてしまう。
「あら?嬉しくないの?」
「い、いや、ちょっと待ってくれ。俺は、まだ1回しか依頼を達成してないぞ?なのに何でいきなりBランクなんだ?」
「それはね。ちょっとこっちに耳を貸して。」
 来い来いと手招くエーリカに、聡は仕方無く耳を貸す。あんまり近寄るのは、心臓に悪いのだが、余程聞かれたくない話なのだろうかと、考えたのだ。
「だってサトシは、ゴブリンキングを数秒で、かつ素手で討伐してるのよ?それに、ゴブリンとはいえ、同じく素手で数秒で討伐。こんな芸当、Bランクのルドルフさんでも無理よ?」
「そ、それはそうだけど…。」
「もっと言うと、ニコル様の救出という、多大な功績を加味すると、本来ならAランクまで上げたいところだったみたいなんだけど、辺境の街のギルドだけの権限では、Bが限界だったらしいわ。」
「客観的に言われると、何も反論できないな…。」
 苦笑いで呟く聡。幸いなのは、聡の活躍が、あまり多くの人々に知れ渡ってない事だろうか。領主の娘が1人で外に出て、貞操の危機だったどころか、あわや命を落とす寸前だったなどと、一般人には知られたくないのか、今回の一件には箝口令が敷かれていた。
「まぁ、この街での当初の予定も達成出来た事だし、良しとするか。」
 仕方が無いと諦めがついた聡は、つい気が緩んだのか、本来ならあまり人には話すつもりの無い事を、小さく呟いてしまう。
 だが今は、エーリカに耳を寄せてる状態なので顔が近く、聞かれてしまう。
「さ、サトシ?この街での予定が達成出来たって…。」
 顔色を蒼白にさせながら、少し震える声で問う。
「あ、聞こえてたか?ベルクフリートでは、冒険者ランクをB位にまで上げたいと考えてたから、予想外にも早く達成出来たなって。どうした?顔色が悪いぞ?」
「い、今はそんな事どうでも良いの!達成出来たって事は、サトシは、もう街を出るって事なの!?」
 ただでさえ距離が近かったのに、更に寄せて問い詰めるエーリカ。少し動けば、キス出来てしまいそうな距離だ。
「か、顔が近いぞ?というか、俺の最初の言葉を聞いてたんだろ?何て言ってた?」
「え?だから、予定を達成出来たって…。」
「そのちょい前。」
「この街での当初の予定…。ま、まさか、当初って事は、今は他にやりたい事が出来たって事なの?」
 正解に辿り着いたエーリカに、少し距離を空けて、笑いながら言う。
「まぁね。ちょいと気になる事があるから、少なくともそれをしっかりと解決してからじゃないと、気になって楽しく旅が出来ないよ。」
 ポンポンと軽く肩を叩きながら言う。暗に、気になる事=エーリカの事と伝えるかのように。
「そ、そうなのね。少し安心したわ…。」
 その事が伝わったかは分からないが、安堵のあまりか目を少し潤ませて言うエーリカ。
その異常なまでの好感度の高さに、今度は聡が問い詰めたい気分になったが、現時点では実害は無いので、疑問を放置する事にする。
「ま、そういう訳だから、今後暫くは世話になるよ。よろしく。」
「うん、こちらこそ、よろしくね!」
 誤解も解けた事で、元気になったエーリカは、満面の笑みを返してくれる。
「じゃあ、話も落ち着いたところで、この依頼を受けたいんだけど、受注を頼めるかな?」
「うん、分かったわ。…調査依頼ね。サトシにとっては簡単かもしれないけど、十分に気を付けてね?」
「勿論。世の中、何があるか分からないからな。…マジで。」
「な、何だか、物凄く実感が篭った言い方ね…。実体験でもあるの?」
 世の中生きてれば、いきなり異世界に召喚された挙句に、不老不死になってたり、亜神になってたりするのだ。
「それなりに生きてると、色んな事があるんだよ。ま、気を付けて行ってくるよ。」
 こうして聡は、調査依頼クエストを受注するのであった。
「サトシ。お待たせ。」
「ギルドカードの更新って、何やってたんだ?」
 何処と無く嬉しそうなエーリカに、そう問いかける聡。
「それについては、後ほど説明するから、まずは報奨金を渡すわね。」
「分かった。」
 笑みを深めるエーリカを見て、内心首を傾げるが、結局は説明してくれるならと、頷いておく。
「納品してもらったルング草が、130本だったから、金貨13枚になるわね。どうする?口座に入れたままで良い?」
「うん、そうだな。手持ちにはそれなりに余裕あるから、それで良いよ。」
 余裕があるどころでは無いのだが、それを馬鹿正直には言えないので、それなりにと表現しておく。
「分かったわ。じゃあ次に、ギルドカードの更新についてだけど…。」
「…。」
 『うふふふ』と勿体ぶった感じに笑うエーリカ。正直、その笑みは非常に蠱惑的なので、止めてもらいたいのだが、そんな事言える訳も無く、無言で続きを待つ。
「何と、Bランクに昇格よ!ギルド創設以来、最速だそうよ!」
「…は?」
 衝撃的な言葉に、聡は一瞬思考がストップしてしまう。
「あら?嬉しくないの?」
「い、いや、ちょっと待ってくれ。俺は、まだ1回しか依頼を達成してないぞ?なのに何でいきなりBランクなんだ?」
「それはね。ちょっとこっちに耳を貸して。」
 来い来いと手招くエーリカに、聡は仕方無く耳を貸す。あんまり近寄るのは、心臓に悪いのだが、余程聞かれたくない話なのだろうかと、考えたのだ。
「だってサトシは、ゴブリンキングを数秒で、かつ素手で討伐してるのよ?それに、ゴブリンとはいえ、同じく素手で数秒で討伐。こんな芸当、Bランクのルドルフさんでも無理よ?」
「そ、それはそうだけど…。」
「もっと言うと、ニコル様の救出という、多大な功績を加味すると、本来ならAランクまで上げたいところだったみたいなんだけど、辺境の街のギルドだけの権限では、Bが限界だったらしいわ。」
「客観的に言われると、何も反論できないな…。」
 苦笑いで呟く聡。幸いなのは、聡の活躍が、あまり多くの人々に知れ渡ってない事だろうか。領主の娘が1人で外に出て、貞操の危機だったどころか、あわや命を落とす寸前だったなどと、一般人には知られたくないのか、今回の一件には箝口令が敷かれていた。
「まぁ、この街での当初の予定も達成出来た事だし、良しとするか。」
 仕方が無いと諦めがついた聡は、つい気が緩んだのか、本来ならあまり人には話すつもりの無い事を、小さく呟いてしまう。
 だが今は、エーリカに耳を寄せてる状態なので顔が近く、聞かれてしまう。
「さ、サトシ?この街での予定が達成出来たって…。」
 顔色を蒼白にさせながら、少し震える声で問う。
「あ、聞こえてたか?ベルクフリートでは、冒険者ランクをB位にまで上げたいと考えてたから、予想外にも早く達成出来たなって。どうした?顔色が悪いぞ?」
「い、今はそんな事どうでも良いの!達成出来たって事は、サトシは、もう街を出るって事なの!?」
 ただでさえ距離が近かったのに、更に寄せて問い詰めるエーリカ。少し動けば、キス出来てしまいそうな距離だ。
「か、顔が近いぞ?というか、俺の最初の言葉を聞いてたんだろ?何て言ってた?」
「え?だから、予定を達成出来たって…。」
「そのちょい前。」
「この街での当初の予定…。ま、まさか、当初って事は、今は他にやりたい事が出来たって事なの?」
 正解に辿り着いたエーリカに、少し距離を空けて、笑いながら言う。
「まぁね。ちょいと気になる事があるから、少なくともそれをしっかりと解決してからじゃないと、気になって楽しく旅が出来ないよ。」
 ポンポンと軽く肩を叩きながら言う。暗に、気になる事=エーリカの事と伝えるかのように。
「そ、そうなのね。少し安心したわ…。」
 その事が伝わったかは分からないが、安堵のあまりか目を少し潤ませて言うエーリカ。
その異常なまでの好感度の高さに、今度は聡が問い詰めたい気分になったが、現時点では実害は無いので、疑問を放置する事にする。
「ま、そういう訳だから、今後暫くは世話になるよ。よろしく。」
「うん、こちらこそ、よろしくね!」
 誤解も解けた事で、元気になったエーリカは、満面の笑みを返してくれる。
「じゃあ、話も落ち着いたところで、この依頼を受けたいんだけど、受注を頼めるかな?」
「うん、分かったわ。…調査依頼ね。サトシにとっては簡単かもしれないけど、十分に気を付けてね?」
「勿論。世の中、何があるか分からないからな。…マジで。」
「な、何だか、物凄く実感が篭った言い方ね…。実体験でもあるの?」
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