外れスキルのお陰で最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜
第71話 マジで!?
「な、中々甘いね。」
「そう?とても美味しいじゃない。」
-違う、そうじゃない!美味しいけど、甘くて胸焼けしそうなんだよ!-
 2人でパフェを食べ進めていると、先に聡の限界が近付いてきてしまう。元々少食で、かつ人並み程度にしか、甘い物への耐性が無い聡は、危うく【不老不死】が発動しかけるほど、追い詰められていた。
 別に発動時にエフェクトが出る訳では無いが、そんなくだらない事で一々発動してたら、自制心が無くなりそうで、怖かった。
 それに加えて、1つのスプーンしか無いという事が、聡を精神的にも追い詰めていた。
-こんなんじゃ、マトモに味すら分からん!ただ甘いだけだ!-
 飲み物も甘いし、ストローでハートを描いて二又になってるし、気恥しさと緊張で、この場から逃げ出したい気分になっていた。
「う〜ん、後はもう、エーリカが食べて良いよ。それと、何か苦い飲み物は置いてあるかな?」
 言いながら、パラパラとメニューを捲る。すると、『お口直しに』と題されたところの、一番上の段に、こちらの世界の文字で、無理矢理『コーヒー』と発音させる商品があった。
-こ、これは!勇者か!良くやった!褒めて遣わす!-
「ウェイトレスさん、このコーヒーってやつを下さい。砂糖も牛乳も入れずにお願いします。」
「は、はい、畏まりました〜。」
 すると、ここで初めてウェイトレスが動揺を見せた。しかし、直ぐに動揺を消し、奥へと引っ込んで行く。
「さ、サトシ。本当にそれを飲むの?何も入れずに?」
 対面に座るエーリカに至っては、信じられない物を見るかのような目で、聡に聞いてくる。
「え?何かまずかったか?」
「い、いえ、サトシが良いなら、それで良いけど…。」
「何か不安になる物言いだな…。まぁ、無理そうなら、エーリカのおすすめの飲み方を、教えてくれると助かるよ。」
-エーリカはブラック飲めないんか?それともこの世界のコーヒーは、とんでもない飲み物なのか?-
 考えて、途端に不安になって来た聡は、ちょっと緊張しながら待つ。
 そして、エーリカが3口ほどパフェを口に運ぶのを見ていると、ウェイトレスが微妙な表情で、トレーの載った、白いティーカップを聡の目の前に置いてくれる。
「お待たせしました〜。コーヒーになりま〜す。」
「ありがとうございます。」
 聡が恐る恐るカップの中を覗き見ると、久方振りの、黒々とした液体が、八分目まで注がれていた。
 スンスンと匂いを嗅ぐが、懐かしい、香ばしい良い匂いがするだけだ。
 何時までもこうしてても、せっかくのコーヒーが冷めてしまう。意を決した聡は、息を吹きかけて、ズズッと音を立てて、少し口に含む。
「ん〜!やっぱコーヒーは、ブラックに限るな〜。脳が冴えてくるのが、実感出来る!」
 飲んだ聡は、表情を綻ばせながら、一気にカップを呷る。
「えぇ!?さ、サトシ!?そんなに一気に飲んでも、大丈夫なの!?」
「大丈夫だけど…。それがどうかしたのか?」
 エーリカは本気で驚いたようで、こちらに身を乗り出しながら、聡を問い詰める。聡の視界の端では、ウェイトレスが驚愕している様子が映る。
 周囲のカップル達も、ザワザワとしているようだ。
「な、何?そんなに驚く事か?」
「サトシ。そのコーヒーってやつはね、元々は勇者様が考案なさった物なんだけど、この300年間、殆どの人が飲めなくて、しかも、飲めたとしても、砂糖や牛乳をかなりの量を入れないと、飲めたんものじゃないの。」
「え、マジ?」
「えぇ。更にはその見た目で敬遠されてて、そもそも飲む人が少ないっていうのもあるわね。勇者様が考案したって事で、たまに取り扱うお店があるけど、それでも飲める場所が少ないの。」
「で、結果的に、ネタメニューになってると…。」
 愕然としながら、聡は呟く。現代日本で大人気の、あのコーヒーが、そんな扱いを、異世界で受けているなど、誰も予想だにしないだろう。
「廃れる前に、買い占めと、原産地への増産のテコ入れをしなきゃだな。今後、永久的に飲めるように…。」
 ブツブツと、真剣な表情で呟く。まだ試してないが、日本にも戻れる可能性があるが、不確かな方法を確立させるよりも、さっさとこちらで手に入れた方が良い。
「そ、そんなにコーヒーが好きなの?」
「まぁ、そこまででも無いけど、無ければ無いで、落ち着かないってレベルかな?特に最近は、全然飲めてなかったから。」
 『地獄の300年間を乗り越えた自分自身に、少しはご褒美くらいはあっても、別に良いんじゃないだろうか?』と、聡は少し言い訳をする。この際、米、味噌、醤油や、その他諸々の、現代日本ではお馴染みの調味料や食べ物を、再現したいところだ。
 グッと拳を握りしめ、聡は決意する。
「よく分からないけど、頑張ってね。」
 そんな聡を、エーリカは微笑ましく見るのだった。
「そう?とても美味しいじゃない。」
-違う、そうじゃない!美味しいけど、甘くて胸焼けしそうなんだよ!-
 2人でパフェを食べ進めていると、先に聡の限界が近付いてきてしまう。元々少食で、かつ人並み程度にしか、甘い物への耐性が無い聡は、危うく【不老不死】が発動しかけるほど、追い詰められていた。
 別に発動時にエフェクトが出る訳では無いが、そんなくだらない事で一々発動してたら、自制心が無くなりそうで、怖かった。
 それに加えて、1つのスプーンしか無いという事が、聡を精神的にも追い詰めていた。
-こんなんじゃ、マトモに味すら分からん!ただ甘いだけだ!-
 飲み物も甘いし、ストローでハートを描いて二又になってるし、気恥しさと緊張で、この場から逃げ出したい気分になっていた。
「う〜ん、後はもう、エーリカが食べて良いよ。それと、何か苦い飲み物は置いてあるかな?」
 言いながら、パラパラとメニューを捲る。すると、『お口直しに』と題されたところの、一番上の段に、こちらの世界の文字で、無理矢理『コーヒー』と発音させる商品があった。
-こ、これは!勇者か!良くやった!褒めて遣わす!-
「ウェイトレスさん、このコーヒーってやつを下さい。砂糖も牛乳も入れずにお願いします。」
「は、はい、畏まりました〜。」
 すると、ここで初めてウェイトレスが動揺を見せた。しかし、直ぐに動揺を消し、奥へと引っ込んで行く。
「さ、サトシ。本当にそれを飲むの?何も入れずに?」
 対面に座るエーリカに至っては、信じられない物を見るかのような目で、聡に聞いてくる。
「え?何かまずかったか?」
「い、いえ、サトシが良いなら、それで良いけど…。」
「何か不安になる物言いだな…。まぁ、無理そうなら、エーリカのおすすめの飲み方を、教えてくれると助かるよ。」
-エーリカはブラック飲めないんか?それともこの世界のコーヒーは、とんでもない飲み物なのか?-
 考えて、途端に不安になって来た聡は、ちょっと緊張しながら待つ。
 そして、エーリカが3口ほどパフェを口に運ぶのを見ていると、ウェイトレスが微妙な表情で、トレーの載った、白いティーカップを聡の目の前に置いてくれる。
「お待たせしました〜。コーヒーになりま〜す。」
「ありがとうございます。」
 聡が恐る恐るカップの中を覗き見ると、久方振りの、黒々とした液体が、八分目まで注がれていた。
 スンスンと匂いを嗅ぐが、懐かしい、香ばしい良い匂いがするだけだ。
 何時までもこうしてても、せっかくのコーヒーが冷めてしまう。意を決した聡は、息を吹きかけて、ズズッと音を立てて、少し口に含む。
「ん〜!やっぱコーヒーは、ブラックに限るな〜。脳が冴えてくるのが、実感出来る!」
 飲んだ聡は、表情を綻ばせながら、一気にカップを呷る。
「えぇ!?さ、サトシ!?そんなに一気に飲んでも、大丈夫なの!?」
「大丈夫だけど…。それがどうかしたのか?」
 エーリカは本気で驚いたようで、こちらに身を乗り出しながら、聡を問い詰める。聡の視界の端では、ウェイトレスが驚愕している様子が映る。
 周囲のカップル達も、ザワザワとしているようだ。
「な、何?そんなに驚く事か?」
「サトシ。そのコーヒーってやつはね、元々は勇者様が考案なさった物なんだけど、この300年間、殆どの人が飲めなくて、しかも、飲めたとしても、砂糖や牛乳をかなりの量を入れないと、飲めたんものじゃないの。」
「え、マジ?」
「えぇ。更にはその見た目で敬遠されてて、そもそも飲む人が少ないっていうのもあるわね。勇者様が考案したって事で、たまに取り扱うお店があるけど、それでも飲める場所が少ないの。」
「で、結果的に、ネタメニューになってると…。」
 愕然としながら、聡は呟く。現代日本で大人気の、あのコーヒーが、そんな扱いを、異世界で受けているなど、誰も予想だにしないだろう。
「廃れる前に、買い占めと、原産地への増産のテコ入れをしなきゃだな。今後、永久的に飲めるように…。」
 ブツブツと、真剣な表情で呟く。まだ試してないが、日本にも戻れる可能性があるが、不確かな方法を確立させるよりも、さっさとこちらで手に入れた方が良い。
「そ、そんなにコーヒーが好きなの?」
「まぁ、そこまででも無いけど、無ければ無いで、落ち着かないってレベルかな?特に最近は、全然飲めてなかったから。」
 『地獄の300年間を乗り越えた自分自身に、少しはご褒美くらいはあっても、別に良いんじゃないだろうか?』と、聡は少し言い訳をする。この際、米、味噌、醤油や、その他諸々の、現代日本ではお馴染みの調味料や食べ物を、再現したいところだ。
 グッと拳を握りしめ、聡は決意する。
「よく分からないけど、頑張ってね。」
 そんな聡を、エーリカは微笑ましく見るのだった。
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