世界にたった一人だけの職業

Mei

蓮斗・秀治 VS ザティック盗賊団 ー7

「秀治。この先だ」

「了解だ」

 今までずっと暗い一本道だった場所が徐々に開けてくる。見えてきたのはやはり先程と同じような場所。だだっ広いドーム状の空間に、鉱石が転々としている。

 ただ、先程と違うのは、その空間に捕らえられた人々以外、誰も居ないことだ。

「……複数の気配を感じるな……」

 やはり気配隠蔽を使って隠れている。ただ、今回のは比較的漏れ出ている気配が少い。かなりの手練れエキスパートと見て間違いない。

「秀治、気を付けろ。今回の相手は厄介だ。高い気配隠蔽技術を持ってる」

「分かった」

 蓮斗達も一応気配遮断インディケイションカットで気配を消しているのだが、警戒しておくに越したことはない。一瞬の油断が命取りとなる可能性だって十分あり得るのだ。

 蓮斗達がその空間に足を踏み入れた、その時ーー。

「ーーーーーー」

 突如として蓮斗達の周りに現れた四人の盗賊達。

 蓮斗達は戦闘になっても対応出来るよう、構えをとる。

「……貴様ら、仲間を随分といたぶってくれたらしいじゃないか」

 四人の盗賊のうちの一人が言葉に少し怒気を含ませてそう言った。

 蓮斗は自分の"気配遮断インディケイションカット"が通じなかった事に驚いたが、何とか平静を保ち言葉を紡ぐ。

「人聞きの悪いことを……。お前らの仲間が襲ってきたから返り討ちにしただけだ」

 蓮斗は訝しげな顔でそう言った。場の緊張が一気に高まる。

「戯れ言を………。我らザティック盗賊団の拠点アジトに侵入してきといてよく言う」

拠点アジト? 勝手に占領してるだけじゃないのか?」

 秀治が少し挑発するような口調でそう言った。

「……まあいい。いずれにせよ貴様らにはここで死んでもらおう」

 その言葉を皮切りに、四人の盗賊達は一斉に動き出す。

「ーーー気配が薄い」

 蓮斗は急いで"気配察知インディケイションセンス"を発動させる。勿論、秀治とも"共有コネクト"する。

「ーー秀治、手分けするぞ」

「了解だ」

 蓮斗達は、襲ってくる盗賊達の短剣をギリギリの所で回避する。勿論、同じ方向ではなく、別々の方向に。そうすることで、四人の盗賊達が一ヶ所に集まることを防ぐ。

「……出でよ」

 蓮斗に相対している二人の盗賊の内の一人がそう言うと、蓮斗の足元に突如魔法陣が展開される。

「"霧散アトミゼイション"」

が、蓮斗は魔法が展開される前にそれを無効化する。

「ちっ……」

 今まさに魔法を展開しようとしていた盗賊の男は、思い通りにいかなかったことに悪態をつく。

 しかし、すぐさま短剣で追撃するもう一人の盗賊。



キイィィィィン!!



 蓮斗も短剣を抜き、応戦する。魔法を放った盗賊の男も魔法は駄目だと判断したのか短剣で蓮斗に襲いかかる。蓮斗は襲いかかる二つの短剣を余裕でいなしていく。流石は盗賊の中でも手練れエキスパートなだけはあり、剣筋はしっかりとしている。だがーー。

反重力弾アンチグラビティバレット

「「ーーー!?」」

 蓮斗は短剣を持つ右手とは逆の手で"反重力弾アンチグラビティバレット"を放つ。盗賊の二人は、何の前触れもなく放たれた突然の魔法に対処できず、そのまま反重力によって、吹き飛ばされる。


ドゴオオオォォォォォン!!


 そのまま勢いよく吹き飛ばされ、壁に激突する二人の盗賊。そのまま気絶するかと思った蓮斗だがーー。

「ぐっ……」

「うっ……」

 二人の盗賊は、呻き声をあげながらもよろよろと立ち上がる。そして、ニヤリ……と口元に不気味な笑みを浮かべた。

「ーーーー!?」

 蓮斗は突如後ろに悪寒を感じ、振り向いたがーー。

「がっ……」

 その瞬間に背中に激痛が走る。しかも燃えるように熱い。

「……油断したのが運のつきだったな……青年よ」

 後ろには盗賊がおり、背中には、短剣が突き刺さっていて、大量に血が流れ出ていた。

「ーーー蓮斗!!」

 秀治が悲鳴じみた声をあげるがーー。

「おいおい、余所見とはいい度胸じゃねえか」

 秀治と戦っている二人の盗賊が間髪いれずに追撃を仕掛けてくる。

「ーーくそ!! 我を守れ!  "防壁プロテクティブウォール"!!」

 秀治は悔しそうに叫びながらも"防壁プロテクティブウォール"を展開し、盗賊の二人を寄せ付けない。

「がはっっ……」

 蓮斗は背中に刺された短剣を更に深く押し込まれ、その反動で口から血反吐を吐いてしまう。

「我々に手を出さなければよかったものを……。冥府でせいぜい後悔するがいい」

 盗賊の男はそう言うと、蓮斗の背中から短剣を引き抜くと、蓮斗はそのまま地面に倒れ伏してしまう。

「くくく…………ふははははは!!」

 洞窟には盗賊の男ーーザティック盗賊団の頭、レイブンの哄笑が響きわたった。







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