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Will you marry me?

有賀尋

Present of Valentine

今日はバレンタインデー。

そして俺は仕事が珍しく休みになった。が、紫さんのところでの仕事が入り、結局仕事になった。
最近ようやっとモデルの仕事も板についてきて、営業先でも声をかけられるようになった。特に俺はピンでも写るし、子どもたちと写る時もある。司とももちろん。

「...お父さん、お母さんとかなちゃんにバレンタインのチョコ買って帰りたい...」

今日は珍しく優陽ひなたと2人でモデルの仕事があった。コンセプトは「親子のバレンタインデー」だ。
5歳になった2人は相変わらずのラブラブっぷりだ。そして今日の撮影で行ったカフェが大層お気に入りになったらしい。

「そうだね、いいんじゃないかな」
「...かなちゃん何がいいかな、一緒に食べれるのがいいな...」
「優陽も食べたいんだろ?」
「...うん」

帰りにチョコレートのお店に立ち寄る。
優陽は叶多に、俺は司に選び、2人で帰る。

「ただいまー」
「...ただいま」

玄関を開けて中に入ると、真っ先に叶多が走ってきた。

「おかえりー!優陽!お父さん!」
「ただいま、お母さんは?」
「具合悪いって寝てる。さっきまで紫おねーさんいたの」

最近司のお腹に3人目がいることが分かり、相変わらず悪阻が酷い。いっその事入院したらどうだという問いかけに、司は「そうはいかない」と答えた。
子どもたちといる時間が大切なのだと言った。

「そっか。優陽、叶多に渡すものあるんだよな?」
「...うん、かなちゃん、これあげる...」
「...チョコ!」
「バレンタインだからね。2人で食べるんだよ?」
「うん!」

相変わらずのラブラブっぷりを見ていると心が和んだ。
子どもたちをリビングに残して、俺は寝室に向かう。
音を立てないようにしたつもりが、俺が来たことがわかったのか司が目を覚ました。

「...遥...貴...?」
「ただいま。ごめん、起こした?」
「...いや、大丈夫...」

司に軽くキスをする。具合が悪そうな時は無茶をさせないに限る。

「具合どう?」
「...朝よりはマシだ...。でも起きられそうには...」
「無理しないでいいよ。ご飯は?食べれそう?ゼリー作ろうか?」
「...ゼリーで...匂いだけでも今はダメだ...」

悪阻が酷い時とそうでない時の差は激しい。優陽と叶多の時以上だ。

「分かった、無理はしないで」
「...あぁ...」

これは渡せそうにないな。

調子がいい時に渡せばいいか。
子どもたちと言えば、仲良く食べていてくれた。これはこれでありがたい。
子どもたちにご飯を作って、司にはゼリーを作る。だいぶ慣れた事だ。
ご飯を食べさせて風呂に入れて寝かしつける。これが俺の仕事。司と交代でやっていたけど司があの状況だし、俺も嫌じゃない。別室で子どもたちを寝かせたら寝室に向かう。

「...司?大丈夫?食べれそう?」

無理させないように近くで問いかける。

「...ん...」
「一応作ったけど、どう?」
「...少し食べる...」
「分かった、持ってくるね」

キッチンに向かい作ったゼリーを持っていく。戻った時にはベッドで起き上がっていた。

「大丈夫?」
「あぁ、少しは楽だ。...全部任せて...」
「いいの、司は元気な子を産んでくれたらそれでいい。俺はこんなことしか出来ないから、協力させて?」

司にゼリーを渡すと、少しずつ食べ始める。具合は悪そうだし心配だが、食べてくれるだけマシだろう。

「あ、そうだ、司」
「ん?」
「これ。バレンタインだから」

俺は司に細長い箱を渡す。

「...これは?」
「開けてごらん?」

司が箱を開ける。
そこには、

「...ネックレス?」
「チョコは食べられないだろうと思って。司に似合うかなってさ」

細身のネックレスは少し前に頼んだものだ。ネットで見ていて注文してあった。

「...ありがとう、嬉しいよ」
「どういたしまして。ほら、体休めなよ」

そう言って司を寝かせる。
そばにいる方が落ち着くと言っていたのを思い出して隣に横になる。
司を抱き寄せて辛くないように背中をさする。浅かった呼吸も少しずつ落ち着いてきている。

...来年は、どんなバレンタインになるだろう。

来年のことを考えながら目を閉じた。

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