ゲームと良く似た異世界に来たんだけど、取り敢えずバグで強くなってみた

九九 零

ドラゴン討伐依頼は…受けないよ?


「ふぁーぁ…」

凄く眠たい。

俺が必要とする睡眠時間は8時間。
なのに、この街に来てからは一度もその睡眠時間を満たしていない。

眠気は溜まる一方。

一度でいいから、丸一日を消費して睡眠時間に当てたいものだ。

それはそうと。

昨夜は帰ってすぐに寝たからまだ名前すら聞けてない状態なので、少しだけ話しの時間に充てようと思い、猫耳少女に話し掛ける。

「取り敢えず、君の名前は?」

「………」

喋らない…か。

「んー。返事がないと困るんだけどなぁ」

「………」

悲しそうな瞳を浮かべて俯く猫耳少女。

困ってるのはお互い様ってことかな?
まるで借りて来た猫みたいだ。

少しでも返事をしてくれれば良いんだけど…。もしかして、返事をしたくても出来ないのか?

確かに、彼女は首を圧し折られて死んでいたし、後遺症が残る可能性もある。
だけど、使ったのは古傷ですら治す『神聖水』だ。

なら、他に要因が?

例えば、昔っから声が出せないとか、出した事がない、とか。本当に後遺症が残ったままだったり…。

いや、そうだ。

思い返せば、確かに彼女の首には圧し折られて着いた傷とは別の傷があった。
それに、あの男も意味深な事を言ってたし…もしかすると…。

「物は試しだね。兎に角、何か言ってみてよ。傷が原因で喋れないのなら、今は喋れるはずだからさ」

不安気な眼差しを向けてくる猫耳少女。
でも、言われた通り口を開いて、喉から声を振り絞り…。

「…あ…ぅ…」

出た。

「ぁあ…あああ…」

嬉し気な瞳を浮かべて声を発する猫耳少女。終いには、涙をホロリと流し始めるほど。

声が出る事がそれだけ嬉しいようだ。

良かったじゃないか。

「じゃあ、声も出たし、君の名前は?」

「…な、な、まえ…ない…」

たどたどしい喋り方だ。
まぁ、慣れていけば普通に喋れるようにはなるだろう。

「それじゃあ、勝手に名前決めるけど、ポチかタマ。どっちがいい?」

「………」

適当に思い付いた名前を言ってみたが、無反応。
いや、若干睨まれているように感じられなくもない。

意外と欲張りさんなのかな?

「嫌ならノワールって案もあるけど?」

暫しの沈黙。そして、猫耳少女は小さく頷いて言った。

「…のわ…る」

どうやら満足したようだ。

さてさて、お話の時間はこの辺で良いだろう。後は帰ってからでもしよう。

そんなわけで、猫耳少女改めノワールに外出する旨を伝え、俺は部屋を出た。


〜〜〜


宿屋の一階にある食堂で待ち合わせをしていたリョウと同じ席に座る。

「お待たせ」

「おせーぞ!」

「ごめんごめん。準備に手間取ってさ」

昨晩の事はまだリョウに話さないでおこう。下手をすると、変な誤解を招きかねないからね。

それはそうと。

「ご飯食べた?」

「おめーが遅いからな」

って事は、俺は朝食抜きになるのか。

それは嫌だな。マナーは悪いけど、あとで歩きながらでも食べておこう。

「じゃあ、今からどうする?」

俺を呼び出したんだ。それなりの理由があるはずだ。

ちなみに、ほとんど睡眠を取ってない俺のは、今朝コイツが扉の前で大声で俺を叩き起こしたからだ。『起きろーっ!!』ってな具合で。

俺が自主的に早起きなんてするはずがない。ましてや、仕事がない日に限って、有り得ない。

だけど、リョウの一声で強制的に夢の中から叩き出されてしまったんだ。
これで用もなければ、文句の一つも言いたくなる。

まぁ、リョウに限ってそれはないだろう。
なにせ、リョウだって早起きなんて出来ないんだから。

リョウの場合は一晩中起きてたんだろう。そして、何か用があったからこそ、寝ていた俺を叩き起こした。

そうとしか思えない。っと言うか、そうとしか考えたくない。

「はんっ!決まってるだろが!依頼だ!依頼!!依頼受けんぞ!」

好きだねぇ。

でもまぁ、お金はあっても困るものでもないし、拒否する必要性も感じないから良いけど。

でもさ…。

「もう少し寝てていい?」

「あ?ンな事、許されると思ってんのか?」

「ですよねー」

言われると思ってた。

もしかすると休ませてくれるかも?って淡い期待を抱いてたけれど、見事に玉砕だ。

「で?どうするの?何の依頼受けるの?」

まだ報告してない依頼があるんだけど、それは後でも別に良いだろう。
あ、依頼で思い出したんだけど、昨日『また明日』と言ってアリサさんと別れたんだった。

完全に忘れていた。このままだったら忘れたまま次の日になっていたかもしれない。

これだけはリョウに感謝だ。

「行ってから決める」

あ、はい。なんか色々と察しました。

「そんじゃ行くぞ!」

「はいはい」

俺の事情なんて知ったこっちゃないって感じだね。

その後、宿屋を後にしてギルドに向かう最中で『倉庫』から取り出した『天使のサンドイッチ』を食べながら、街を歩いていると…。

「おっ…ぉぉ?」

矢が飛んできたからキャッチしようとしたんだけど、俺が動くまでもなくリョウの放った『火球』の魔法で消し炭になった。

ついでに言うと、そのまま勢いを衰えさす事なく飛んでいった『火球』は空に漂う雲に大きな穴が空けた。

忘れかけていたけど、これでも一応リョウに魔法を抑制する装備を着けさせている。でも…どうしてそんなに威力が高いのか…謎だ。

リョウの指には、ちゃんと俺の渡した『魔力反転の指輪』が嵌っている。なのに、魔法の威力は減ってない。

…いや、弱くなっていないんじゃなくて、弱くなっててコレなのかな?
だったら、指輪を外した時の威力って…想像すらしたくないんだけど…。

「ちとアイツしばいてくる」

矢を消し炭にしただけでは飽き足らず、怒りのオーラを全身から立ち昇らせて矢を放った者を睨みつけるリョウ。

身内には優しいんだけど、他人には厳しいのよね。リョウって。

まぁ、リョウが真っ先に怒ってくれるから、俺が怒る必要もなく冷静を保っていられるんだけど。

「アハハッ。まぁまぁ、そんなに怒らなくても。実際に俺らに被害があった訳じゃないから良いじゃん」

「は?俺が止めたんだろうがよっ!なに甘ったるい事言ってんだっ!やられっぱなしで黙ってられるかってんだっ!戦争じゃ!であえっ!であえーっ!」

途中からなに言ってるのやら。

怒るのか、ふざけるのか、どっちかにして欲しいものだ。

「まぁまぁ。どのみち、アレは下っ端だし、それを幾ら倒したって意味ないよ?」

「そんじゃ、親玉を潰しに行くだけだ!皆の者!出陣じゃー!」

「ハハハ。また今度ね」

場所は分かっているし、今からでも潰そうと思えば潰す事ができるけど、それじゃあ面白くない。

ヤル気満々のリョウには悪いけれど、ここは堪えてもらおう。

「じゃあ、いつヤるんだよ!今だろっ!?」

古いなぁ。
リョウの言い分も分からなくはないけど、無計画に突っ込むのは無謀というもの。

いや、俺達なら無謀な行動でも可能だろうけど…。

「また今度ね。ほら、落ち着いて。深呼吸、深呼吸」

「ぐうあぁぁー!ぐおぉぉぉー!ぐうわあぁぁー!ぐおぉぉぉー!」

どんな深呼吸だよ…。
ただ吠えてるだけじゃん。

今日はいつにも増してテンション高いなぁ。

「それじゃ、あの件は放置で。OK?」

「無理!」

「あれは俺が後始末しとくから、リョウは普段通りドッシリと構えててくれればいいからさ。だから、無視しといてくれないかな?」

「……ちっ。しゃーねぇなぁ。今回は特別に許してやる。感謝しやがれ」

とか言いつつ、少し嬉しそうなリョウ。

汚れ仕事を俺に押し付けれて嬉しいんだろう。
まぁ、いつもの事なんだけどね。

でも、今回の件はリョウには関与して欲しくない。

こう見えて、リョウの根は優しく、見た目によらず真面目で心が綺麗なんだ。
だから、俺みたいに人を殺しても何も感じない人間にはなって欲しくない。

そんなこんなで冒険者ギルドに辿り着いた。

「遅かったわね」

「儂も待ってたのじゃ」

そこで、リーリとアルトのお出迎えがあった。

どうやら、二人ともギルドで俺達の事を待っていたようだ。
パッと見た感じ、仲が悪そうに見えない。

お爺ちゃんと可愛い孫のような絵面に見える。

「して、次は何を受けるのじゃ?儂は何でも良いぞ?それこそ、ドラゴンでも魔王でも大歓迎じゃ」

「何言ってるのよ。ドラゴンなんてSランクパーティーで倒せるか倒せないかって言われてる魔物よ?それに、魔王なんて…不吉な事言わないでよ」

うわぁ。やっぱり、ドラゴンって強ぇ…。

ゲームでもパーティーでの討伐が推薦されていたもんね。

…まぁ、俺はソロだったけど。
ソロで、回復ポーション使いまくってゴリ押しで倒したけど…。

「儂は大歓迎じゃ!」

「はぁ…」

リーリが先に折れたようで、諦念を含んだ溜息を吐いた。

でも、俺個人の意見を言わせて貰えば、リーリに賛同だ。

「ドラゴンも魔王もなし。リョウも触発されないの。ウキウキしないで。そんな依頼ないから」

「ありますよ?」

「でしょ?だから…え?」

声の聴こえた方へと視線を転じると、アリサさんが笑顔で立っていた。

全く気付かなかったよ…。

「魔王はありませんけど、ドラゴン討伐の依頼ならありますよ。ここ最近、ドラゴンが村や町を襲うって依頼が多発してるんです」

「そ、そうなの…?」

チラリとリョウに視線を向けてみれば、今すぐにでもドラゴン討伐に行きかねないほどワクワクしている。

どうしよ…。

「はい。Sランクの方が頑張ってくれてるみたいですけど、やっぱり人手が足りてないみたいで被害は増える一方でして…Sランクでも怪我を負ったりして冒険者を辞めていく方も多くて…」

あああぁぁ!
リョウが!リョウがっ!

今にも突撃しかねない興奮の仕方をしている!

鼻から『フンスッ』と息を吐いて意気込んでるよっ!!

「でもまぁ、私達には関係ありませんね。だって、ドラゴンなんて私達じゃどうする事も出来ないんですもん。それに、依頼はSランクしか受けれませんしね」

…ホッ。

良かった。
このままだと依頼を受けて本当にドラゴンとやりあう勢いだった。

本当に良かった…。

ちなみにだが、俺がドラゴンと一対一でやりあった場合。間違いなく俺が勝利する。

少し時間は掛かるけれど、レベルをカンストさせている狂戦士バーサーカーは強力で、ドラゴンぐらいは余裕だ。
攻撃を食らっても余裕で耐え抜ける体力や防御力もある。

でも、リョウなら一撃もらっただけで瀕死になるし、他のヤツなんて一撃もらったら即死だ。

そんなのと戦いたいとは思えない。

ただでさえ俺はまだ自分の力の全てを把握しきれてなくて人を守りながら戦うのが苦手なのに、足手纏いとは言わないまでも、致命的な欠陥を抱えて強大な敵には挑みたくない。

「チッ」

一瞬で機嫌を損ねたリョウが舌打ち一つ、周りの冒険者達を殺人的眼光で睨みつけ始めた。

全く関係のない赤の他人に怒りの矛先を変えるなよ…まったく。

「取り敢えず、適当な依頼を見繕ってくれないかな?討伐系で。あと、ついでに昨日話した依頼の報告も」

「はい、かしこまりました。では、こちらへどうぞ」

アリサさんの笑顔で先にある受付に案内する。
それが眩しすぎて反射的に目を背けてしまった。

彼女の笑顔が例え営業用の笑顔だとしても…後ろめたい事が多すぎる俺には眩しすぎた。


〜〜〜


「依頼の報告はこちらでしておきましたので、討伐証明を出しておいて下さい。それとは別に依頼を受ける件ですが、現在、なぜかこの辺り一帯の魔物が忽然と居なくなる事態に陥っておりまして、その調査などが挙がっております」

ペラペラと手元の本をめくってページを見せてくるアリサさん。

その内容は今さっき彼女が話した『調査』の依頼内容が書かれている。
でもさ、俺はなぜこの辺り一帯の魔物が居なくなっているのか知っていたりする。

………言えない。

まさか、ここにいるジーサンが半数程を殲滅したとか。

……言えない。

まさか、リョウが偶然見つけた穴に火を放った事とか。

…言えない。

真夜中にリョウがコッソリと魔法の試し打ちで残りの魔物を殲滅したとか…。

言えない…。

言えない事が多すぎて頭を抱えたくなる。

「なぁ、ヒビキぃ。どうすんだよ〜」

「どうするのじゃ?ヒビキ?やはり、アレか?ドラゴン探して倒すかの?」

「おぉ!ジジイ!たまにはいい事言うじゃねぇか!」

「じゃろ?」

おい、お前等。誰のせいでこうなってると思うんだ。
そして、勝手に話を進めるな。

アリサさんも苦笑いだよ。

俺達の事を詳しく知らない人からすれば冗談にしか思えないんだろうけども、事実、コイツ等の実力を考慮するに本当にドラゴンを倒せてしまうかもしれないんだよな…これが。

「バカは休み休み言ってよ。ホント…」

「じゃが、儂等なら余裕じゃろ?儂、本物のドラゴンと戦ってみたいのじゃ」

「俺も!俺も戦いてぇ!つか、ドラゴン見てみてぇ!」

本物って…数日前に戦ったのも一応は本物だったんだけどな…。それに、リョウは趣旨が違うし…。

「はぁ…」

「苦労してますね」

「うん…」

苦笑いで労られてしまった。
感情は全て隠せてると思ってたのに、そんなに苦労してるような顔をしてたのかな…?

「取り敢えず、他に出来る依頼はないかな?」

主に、バカ達の足止めのために。

勝手にドラゴン退治とか行って大騒ぎになるのも嫌だし、目立つのも個人的に余り好きじゃないんだ。

バレなきゃ別にいいけど…。

「それなら…そうですね。荷物の配達や街の巡回ってのもありますね。あとは…常駐依頼の薬草採取ですかね?」

「どうする、リョウ?」

「えー。ドラゴンがいいー」

「そうは言っても、ランクの低い俺達じゃ受けれないよ?危ないし。ここは、配達とか採取でも…」

「ヤダ!絶対に嫌だ!」

「なら、今日は休みだね」

「ちっ…」

舌打ちするなよ…。

まぁ、寝れると思って嬉しげに言ってしまった俺に非がないとは言い切れないけど、その態度は少し傷付く。

そんな事を考えていると、ふとアルトがリョウに何かを耳打ちしている光景が目に入った。

「ーーで、どうじゃ?」

「おっ!いいなっ、それっ!」

「ちょっと、そこっ!コソコソと話をしないのっ!」

本当にもうっ!
勝手な行動は謹んで欲しいものだ。

そんな事をして、もしリョウが触発されたりなんてしたらーー。

「じゃ!行ってくる!」

「儂も行ってくるのじゃ!心配せずとも、すぐ戻るのじゃ!」

思ったそばから触発されたよ…。

俺の停止の声も届かず、二人は颯爽とギルドを出て行ってしまった。

後で面倒事を起こさなきゃ良いんだけど…。

心配だし、一応監視はしておくか…。

「そう言うわけで、ごめん。今日は冒険者を休むよ」

「はい。分かりました。では、前回の依頼報告をお願いします」

確か、フォレストウルフ討伐と一角兎の討伐。それと、ビックアントの巣の捜索だったよね…。

「フォレストウルフと一角兎は規定数完了。ビックアントの巣は…まぁ、昨日報告した通りだね」

「承っています。上に報告はしておきました。後日、改まって調査依頼が出されると思います。あと、討伐証明の部位を出して頂けると嬉しいのですけど…」

ああ、ごめん。
忘れてた。

とりあえず、ポケットから討伐証明になる『フォレストウルフの牙』と『一角兎の角』をカウンターに置く。

あんまり素手で触りたくなかったから袋に入れている。

「確認しました」

俺が素手で触るのを嫌がるほどの代物なのに、アリサさんは気にすることなく袋から取り出して確認した。

ある意味、尊敬する。

「ところで、倒した魔物はどうされましたか?もし良ければ、こちらで買い取らせて頂きますが?」

「うーん…お願いしようかな?」

ちょっと考えたけど、正直な話、俺が持っていても仕方のない物ばかりだし、売っても良いかと思い直した。

まぁ、最弱魔物の一種なんだし、売ったとしても金額は知れてるだろうけどね。

「それでは、隣に当ギルドが管理する倉庫があるので、そちらに運んできては貰えないでしょうか?」

ん?運ぶ?

……あっ、ああっ!成る程。

ちょっと言ってる意味が理解できなくて固まってしまった。

要するに彼女が言いたいのは、倒した魔物はどこかの倉庫に預けているのだから、こっちに運んできてって言いたいんだね。

『イベントリ』なんて便利機能があるもんだから、スッカリ忘れてたよ。

「いや、魔法袋マジックバックに仕舞ってるから、すぐに出せるよ」

アルトが魔法袋の存在を教えてくれたのが、こんな所で役立つとは…。
やっぱり、情報は大切だね!

「ま、マジックバックですかっ!?」

でも、魔法袋ってのは容量が少なくてもかなり高級な物になるらしく、人前で使ったりしたら悪い人に襲われる可能性が高いから、余り大きな声で言えない物だったりする……のだけど…アリサさん…やっちゃったね。

酒場で酒を煽っていた冒険者も、暇そうに天井の染みを数えていた冒険者も、愚痴を垂れ流していたり、武勇伝を語っていたりする冒険者も、全員が俺達の事を凝視した。

その瞳からビシビシと金銭欲的なものが感じられる。

アリサさんも、思わず声を上げてしまった事に遅れて気が付き、ハッとして口元を両手で覆い隠している。

「ねぇ、ドコ。不味いんじゃないの?」

あ、まだ居たのかリーリ。
てっきりリョウ達と一緒に行動してるものだと思ってた。

「なによ。『まだ居たの?』みたいな目を向けないでよ」

あ、心読まれた。

「そ、その…ごめんなさい…」

しゅん、と落ち込むアリサさん。
なんだかそそられるモノが…ゴホンっ。

まぁ、本人が反省してるんだし、俺がとやかく言う必要はない。

「別に良いよ。いつかはバレてただろうしね」

これでフォローになるかは分からないけど…あ、そうだ。バカの真似をしたら良いのか。

「……そ、そう!何を隠そう!このポーチはマジックバックなんだっ!」

くぅぅ…。地味に恥ずかしいな、コレ…。
リーリも変な奴を見るような目つきで見てくるし…。

でも、俺の演技力をナメて貰っちゃ困る。

これでも、演劇部に是非来てくれと何度もお誘いが来たぐらいなんだからねっ。

ドヤ顔をしながら仁王立ちで胸を張る。
小金持ちで自慢したがりのバカがやりそうな行動だ。

どうだ!俺の演技力!

「アンタ、バカじゃないの?」

分かっててやった事だけど、実際に言われると凄く傷付くんだけど…。

「仕方ないわねっ!このAランク冒険者のリーリィ・ランスロットが今日一日だけアンタを守ってやるわっ!感謝しなさいっ!」

「ごめんなさい。やめて下さい」

「なんでよっ!」

いや、なんでって言われても…。

リーリが取ったドヤ顔の方が俺に勝ってたから…じゃなくて、今日は一日中寝るから…と言う建前で人には見せれない事を沢山するから遠慮したかった。

とか、言えないよね?



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