死んで神を殴りたいのに死ねない体 ~転生者は転生先で死を願う!?~

八神

1. ロイデというおっさん冒険者

 
 突然ですが、おっさんの朝は早い。



 「んああ・・もう朝か・・・昨日の残りのシチュー暖めるか・・」

 このおっさん「ロイデ」もその例に漏れず、まだ陽の出ない内から、朝ごはんを食べ、仕事の準備をしているところですね。

 ロイデの職業は『冒険者』

 ここ”キルアットダリウスオーマイングレゴット”の世界に住む、住人の一人です。
 お、火の魔法でシチューを温めるようですよ。

 「今日は魔物討伐の仕事が入っていたな……」

 ロイデの言うように、冒険者は主に魔物を狩って生計を立てます。
 その他、荷物の護衛や、戦争への参加など「戦い」に特化した仕事が多いので覚えておいてください。

 依頼は主に……おや、丁度そこへ行くようです。ちょっと追ってみましょう。


 「おはよう……お、ロイデか。今日は”チャージボア”の討伐だっけ?」

 ここは冒険者ギルドですね、ここで依頼や素材の買い取り等も行っています。
 重要施設の一つなので覚えておいてくださいね?

 「ああ、1頭だから大して手間にもならん。ミュージの畑が荒らされてるんだろ? 早い所退治してやりたいよ」

 そう、こういった住民の依頼をこなしていくのも大切なのです。
 キチンとこなすとまた依頼を個人宛で出してくれる可能性も少なくありません。信頼と実績は何者にも代えがたいものだと分かっていただけると思います。

 ……はい、それでは続きを見てみましょう。


 「あいつか……畑の野菜を食ってちょっとでかくなってるが……奇襲をかけて首を狙えば……」

 ロイデは水を飲んでいるチャージボアを見つけたようです。大きいですが、冒険者はこういった魔物を倒すのがお仕事です。

 もっと大きい魔物も居ますが、武器を強くして鍛えればだいたい倒せるようになります。
 そうそう、分かりやすく言うと「ドラゴン」とかもですね。あ! ロイデがいきましたね!


 「おりゃあ!!」

 ロイデの一撃がチャージボアの首にヒットして、血しぶきが出ましたね。
 ああ、ちょっと衝撃映像でしたね、でもこれから冒険者になるかもしれない人は見ておいた方がいいですよ。
 

 「ふう……まあこんなもんだろう、さて解体といくか……」

 解体用のナイフで皮を剥ぎ、内臓を取り出しましたね。
 この内臓を放置するとまた別の魔物がやってくるので、取り扱いには注意が必要です。

 「内臓はこの穴に入れて埋める……と」

 こういう細かいケアも重要です。内臓を放置すると他の魔物が近寄ってくる可能性がありますからね?
 大事な事なので二回言わせていただきました。

 「さて、戻るとするか」

 今日の依頼はこれだけのようです。時間縛られない生活、いかがですか?
 ……ああ、もちろん依頼を受けたりしないと生活費は入りませんが、食べるだけなら獲物を取ればいいんですから自由度は高いと思いませんかね?

 カチッ


 「戻ったぞー」

 「早かったな、そいつが例の?」

 「ああ、チャージボアだな。ちょっとでかくなってたが余裕だったよ」

 見栄を張りましたねー(笑)
 奇襲をかけて倒さないと危なかったのに、余裕ときましたよこのおっさんは。

 「だ、誰だ!? 聞こえてるぞ! 喧嘩売ってんのか!」

 おっと……!? いけませんね……。

 カチッ

 これで大丈夫かな? あーあー


 「どうした? 急に大声を出して」

 「い、いや。今な、若い兄ちゃんの声で見栄をはっただの、おっさんだの聞こえてきてな……」

 「なんだあそりゃ? ここはいつもおっさんで溢れ返ってるだろ? 若い兄ちゃんも居ない訳じゃねぇが、今日は居ないよ、見て見ろ」

 はい、大丈夫なようです。

 おっさんは周りを見渡しますが、おっさんとおばさんしか居ませんね。

 は? かっこいい人は居ないのかですって?
 うーん、ここには居ないようですけど、他の所なら居るかもしれませんね。


 「……みたいだな、何だったんだろうなあ」

 「疲れてるんじゃねぇか? そいつ、買い取ってやるから酒場にでも行って今日は休めよ」

 「悪ぃな、そうさせてもらわぁ」

 きました! どこの世界もお酒は命の水ですからね、酒場も完備しています。
 そうそう、そこの貴男! いかにも好きそうな顔をしていらっしゃる。
 ちょっと覗いて見ましょう。


 「やってるか?」

 おっさんがぶっきらぼうに店に入ります。だいたいこんなもんです。
 
 「はーい、いいですよー!」

 元気のいい女の子の声ですね、よっと……どうやらこの子みたいですね。
 はいはい、騒がないでください! この世界は食がそれほど進んでいませんからね、この子のようにすらりとした子が多いんですよ。かわいいですか? ああ、だったらいいかもしれませんねー。

 「ロイデさんでしたかっ! こちらへどうぞーって言ってもまだお客さん居ないんですけどねー」

 「まだ昼を少し過ぎたところだからねえ、いやはや情けないやら……」

 「何にします?」

 「無難にビールかな。後、ソーセージの盛り合わせと蒸かしイモを頼むよ」

 ほほう、昼間からビール、いいですねー。

 カチッ

 ソーセージの盛り合わせとか、この看板娘に食べさせたいっ! とかどうせ思ってるんですよきっと?
 おっさんはモテませんからねえ。

 「聞こえてるぞ!? だ、誰もいねぇ? 今日はおかしいな……」

 カチッ

 ……危ない所でした……。

 おや昼間からビールに食いつきましたね? そうですよね、真夏の営業回りなんてやってたら倒れちゃいますよね? ああ、それでここに? ご愁傷様です。

 どうやらもう一杯いくみたいですね、追加は……ゲソのから揚げと枝豆ですか。シンプルですが、ここはからあげを頼んでほしかったですね。

 「ごちそーさん……」

 「ありがとうございましたー!!」

 
 このまま真っ直ぐ帰るようです。さっき売ったボアの素材……肉とか毛皮のお金でふところは暖かいですが、無駄遣いはできません。
 欲しい物があれば仕事をするのはどこも同じですね。


 「今日は空耳が多いな……早めに寝るか……?」

 とか言いながらも、装備の手入れを始めるおっさんです。
 冒険者は装備で生死が分かれますから当然でしょう。

 え? そんな危ない事はできない? そう言う方は、先程の女の子のようにお店で働くのもいいでしょうね。
 意外と慣れたら出来るものみたいですよ?

 おっと、入浴シーンですか……おっさんの入浴など誰得なので一旦消しますね。

 その間にそちらのアンケート用紙、記入をお願いしますー。

 カチッ

 「さっぱりした。いや、やっぱり風呂上りにビールの方が良かったか? まあいいか……明日はパンしかないのか……朝は何か買ってギルドへ行くか……」



 おっさんは就寝のようですね。ちょっと早いですが、ここまでにしましょうか。
 おっさんの寝顔とか見たくないでしょう?

 「さっきから誰だ!? どこに居やがる! 人をおっさん呼ばわりしやがって! ぶっ殺してやる!」

 おおお……

 カチッ

 ふう……今日はこれで終わりです。
 冒険者の一日、分かってもらえましたか?

 え? これだけじゃ何とも言えない? 
 そうですか、まあ時間はありますので冒険者を見たい方は明日もこちらへお越しください。







 次回もまた、おっさん冒険者の日常に付き合ってもらいますね。

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