SCP版 エンジェル・オーバードーズ

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『自分を責めることはない。君はよくやった』

『平気なんて嘘。それくらい分かるわよ』

 二人の言葉が思い出される。二人とも自分を心配している。そのことは素直に嬉しい。

 けれど、同時に思い出される言葉があるのだ。

 目をつぶれば、瞼の裏に焼き付いている。

『助けて!』

 少女の声が聞こえる。

『きゃあああ!』

 悲鳴が聞こえる。

 守人の両手が拳を作る。再生される記憶に感情が再熱していく。

「はあ。はあ。はあ」

 じっとしているのに呼吸と脈拍が上がっていく。

 声が聞こえる。助けを呼ぶ声が聞こえる。大勢の悲鳴が聞こえる。

『きゃあああ!』『助けてくれ!』『うわあああ!』『止めろ!』『誰か助けて!』『いやあああ!』

 部屋中がうるさい。鼓膜が破れそうだ。

「はあ! はあ! はあ!」

 守人は額に手を当てた。手を見てみれば汗でべっとりだ。守人は深い息を吐いた。

 静かな部屋に、守人の息だけが響いていく。

 コンコン。

 その時だった。扉がノックされる音が響く。麗華だろうか。彼女のことだからなにかしたいとやってきたのかもしれない。

 守人は疲れた顔を上げ扉を開いた。

「ん?」

 が、扉にいた人物に声が漏れる。

「お疲れさまです。少々、お時間よろしいですか?」

 その人物は牧野だった。この場の責任者がこんな場所になんのようだろうか。話なら会議室だろうに。

 守人は違和感を覚えつつも拒むわけにもいかず、牧野を部屋に招き入れた。

「話というのは?」

 部屋の中央ほどまで戻り牧野に振り返る。牧野は扉を閉めたところだった。

「…………」

 聞こえなかったのだろうか。それとも意図的に黙っているだけなのか、彼女は守人の質問には応えなかった。静かに扉の前に立ち視線は守人を見ていない。

 すると、彼女はスーツを脱ぎ始めた。黒の上着を椅子の背もたれに置き、さらにはシャツのボタンにも手をかけていく。

「…………」

 彼女の行動に守人はなにも言えなかった。

 そうしているうちに牧野はシャツも脱ぎ、さらにはスカートのファスナーも下ろし、彼女は下着姿になった。上下ともレースのついた黒の下着で、彼女らしいシックな下着だった。刺繍の模様が彼女の体にさらに色気をもたらしている。

 守人の目の前には白く、スレンダーな女性の半裸がある。

「なぜ脱ぐ」

 そこでようやく異常だと分かり牧野に尋ねた。

「仕事ですので」

「仕事?」

 牧野が電気を消した。彼女の姿が見えなくなるが近づいてくるのが足音から分かる。ゆっくりと。一歩ずつ近づいてくる。

 彼女が守人の前で立ち止まる。すると彼の首に腕を回し、そのまま口づけをしてきた。

「…………ん」

 唇が離れる。牧野は守人の胸を軽く押し、ベッドに横になった。



「今回の任務は連戦で大変でしたね」

 牧野はベッドに腰掛け下着を身につけていく。机の上にあったスタンドライトの光だけが彼女の肌を淡く照らしている。

「まあな」

 守人はベッドに横になり布団の中から天井を見上げている。

「ずいぶんと大事らしい」

「と言うと?」

「あんたにまで心配されるとはな」

 SCPフェルナンド、そしてG4ベルトラム。この二人との戦いは苛烈だった。守人もそれは認めていたがまさか彼女から深夜の訪問をさせるほどとは。この件は自分の思っている以上に深刻な事態だったらしい。

「あなたは特戦の所有物です。整備と管理も重要な仕事ですので」

「ふ、みたいだな」

 事務的な話口調に守人は小さく笑った。人の心配も彼女からすれば整備ときたか。こんな夜分遅くに精が出るものだ。

「実際、どうなのですか?」

「というと?」

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