SCP版 エンジェル・オーバードーズ

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SCPゾンビ病戦

『作戦内容を伝えるわ。今回はタドムルで活動中のSCP、008ゾンビ病の殲滅よ。これは粘膜や体液によって感染し、その感染率、致死率は100%にもなる恐ろしいものよ。

 しかしこれが持つ最も恐ろしいことは感染者は死亡後、自立行動を開始し他の人々を襲い始めるの。

 そして襲われた人は新たな感染者となりねずみ算式に数を増やしていく。そのため可及的速やかに感染者を殲滅する必要があるわ。

 一体も見逃しては駄目。感染者は細胞が壊死していき認知能力は著しく低下するものの筋組織は向上しているわ。

 活動を停止させるためには頭部へダメージを与えて。それ以外の損傷は意味を持たないわ。

 SCPとの対決。当初の予定にはなかったことだけど、でも……君ならやれる。頑張って』



 守人はヘリの中で座り意識を集中させていた。ヘリは目的地のタドムルへと向かっておりエフェクトスーツはすでに展開している。ヘルメットを被った彼の表情は誰にも伺えない。

「守人」

 そこへ声をかけたのは藤森だった。今回は彼の部隊も同行している。戦闘服に身を包み武装を完了した彼らはいつでも戦える。藤森は守人の対面に座り話しかけてきた。

「今回は俺たちも作戦に同行している。理由は分かるか?」

 二十代そこそこの、それでいて数多くのSCPと遭遇してきたエキスパートであり、守人よりも年上の青年は真面目な顔で聞いてきた。

 SCPを想定した初の戦闘。なにが起こるか分からず、その点経験豊富な彼が傍らにいるのは心強いと言える。

 しかし彼の同行はそれを意味していない。それを、守人は察していた。

「敵の特性は聞いている。感染率100%。もし俺が感染した場合、止める者が必要だ」

「そういうことだ」

 お互いに冷静に話をしていくがその内容は冷酷だ。

 感染率100%。その数字が持つ意味は残酷の一言だ。もし感染してしまえば直す手段はない。

 唯一直す方法として万能薬と呼ばれるSCPがあるにはあるがこの場ではどうしようもないことだ。

「俺の任務はな、ファースト。お前が感染した時、お前を射殺してその遺体を持ち帰ることだ。感染から発症までは約三時間ある」

 G4のゾンビ病感染。考えられるもので最悪の事態だ。通常兵器では歯が立たない怪物が人々を無差別に襲うのだ、なんとしても止めなければならない。

「もしやつらに噛まれるなどして感染した場合、すぐに遮蔽物のない、できるだけ見晴らしのいい場所に出ろ。そして力を抑えとけ。あとは俺の仕事だ」

 すると藤森は肩から下げた銃器を小さく持ち上げた。見れば藤森の武器はスナイパーライフルだ。

「はじめに言っとく。俺はお前を助けない、いいな?」

 ここにいるのは仲間ではあるが味方ではないということだ。誰かに助けてもらおうなんて甘えは許されない。それが戦場では素人同然の新兵でもだ。

 一人だ。どれだけ言い繕っても、戦場では守人は一人。自分でなんとかするしかない。

 できなければ、死ぬだけだ。 

「助かるよ」

「?」

 が、返ってきた言葉に藤森が眉間に皺を寄せた。助かる? 予想していなかった返事だった。なにを考えているのか見てみるがヘルメットを被ったままでは分からない。

 守人は藤森を見つめ、自分に同行してくれる仲間に頼んだ。

「その時は頼んだぞ」

「…………」

 このとき、藤森は思い出していた。世界中から集められたクズの集まりであるDクラス職員。中には何人もの人間を殺めてきた救いようのないギャングもいた。

 そんな連中であっても、SCPへ向かう時は恐怖に固まったものだ。右を見ても左を見てもお前らは処刑台にでも行くのかと思うほどビビっていた。

 そして、はじめの頃は自分もアゴがカスタネットみたいに音を出していたのを思い出す。

 それほどまでに怖い。SCPというのは普通の戦闘とは次元が違う。怖いのだ、人を殺すのとはわけが違う。

 なのに。目の前のこいつは違う。この男からはそうした恐怖や不安を感じない。伝わってくるのは強い使命感だ。G4だから? いや、それも違う。守人は死ぬ覚悟すらできている。

 藤森は自分が思い違いをしていたことを自覚した。佐宝事件に巻き込まれた一般人と聞かされていたためどんなトーシローかと危惧していたがそれは杞憂だ。

 こいつは戦士だ。戦いの恐怖よりも使命感に燃えている。

「分かってるならいいんだよ」

 藤森は納得し前に傾けていた体を座席に沈めた。

 それからは無言の時間が流れた。目的地に近づいていくのを静かに受け止め、その時が来るのを待つ。

 SCPとの対決を。

「もうすぐ降下地点だ!」

 パイロットが叫んだ。全員が進行先を見る。 

 砂漠の大地が広がっていた。その先に遺跡の跡地が見えてきた。砂漠の上に立つ煉瓦づくりの崩れた建物、他にも壁や柱があり、付近一帯にはヤシに似た木が大きな葉を揺らしていた。

 ここはテロ行為が起きたとして国連軍によって包囲されており車道には装甲車が停まり、何人もの軍人が列を作っていた。

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