SCP版 エンジェル・オーバードーズ

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イラク

 翌日、守人は早朝に施設を後にし空港へと向かっていた。麗華や獅子王、牧野も一緒だ。

 空を飛びイラク首都バグダッド空港に到着する。扉が開かれ外へと顔を出せばまぶしい光とともに異国の空気が流れ込んでくる。

 日差しが強い。中東の熱気が全身を炙るようだ。

 そこからクルマで都市サマーワ市へ向かう。初めてみる中東の町並みを窓から眺めた。

「暑いわね」

「ああ」

 守人と麗華、獅子王は後部座席に座っており、左の窓際に守人は座っていた。隣から聞こえる麗華の愚痴に首肯する。

 この日の気温は三十九度だ。まだまだ暑くなる。町の風景は砂漠の上に立った町といった感じで、建物は砂の色をしたものがほとんどだった。

 道路には車がちゃんと走っており歩道にもちゃんと人がいる。敵が潜んでいる国の一部とは思えないくらいここは平穏に見えた。

 守人は初めての外国というものを窓から漠然と見つめている。すると対向車線から日の丸が付いた給水車が走っていった。

「あれは」

 意外な場所で見かける日の丸に守人は自然と目が追ってしまう。

「あれは自衛隊の置き土産さ。今ではここの人たちが使っているそうだ。イラク戦争では自衛隊はここに宿営地を作ったんだ。それも今ではイラクの訓練施設だがね」

 珍しそうに見る守人に獅子王が解説してくれる。

 非戦闘地域としてイラクに派遣された自衛隊はここで復興活動に従事していた。

 その献身あってここでの自衛隊の評判はおおむねいい。日本人だからといって白い目で見られることはあまりないだろう。

 車はその宿営地へと入っていった。周りにはなにもない。本当の更地だ。検問の門を抜け駐車場に止まる。

 ここがイラクでの活動拠点になる。もともと自衛隊の宿営地というのもあるがイラク派遣時のパイプがあるらしい。

「荷物を持って。行くぞ」

 守人たちは車から降りた。荷物を取り出し施設へと入っていく。

「牧野さん、お疲れさまです。さっそくですが」

「分かった」

 施設に入ると受付にいた男に出迎えられる。牧野は短くうなずくと守人たちに振り返った。

「改めて確認しておくが、我々は宿営地、現在のサマワ訓練施設の視察団だ。目立つ真似はするなよ」

 メガネの奥にある瞳を針のようにして言うと牧野は男たちと一緒に行ってしまった。ここの責任者と話をしに行った。

「三人の部屋はこちらです。案内します」

 フロントに残った男が守人たちを案内してくれる。階段を上がり廊下を歩いていくと部屋が三つ並んでいた。

「手前から麗華さん、守人、獅子王博士です」

 扉のキーを渡され男は早々に去っていった。

「さて、とりあえず荷物をおきましょうか」

 麗華に促され守人は真ん中の部屋に入る。

 小さな洗面台とユニットバス、ワンルームの部屋には小さなテレビとベッドが置かれていた。白のシーツが敷かれたベッドに鞄を置き守人はカーテンを開けた。

 二階の景色は砂漠一色で遠くに町の景色がなんとか見える。窓を開ければ外の熱気が入り込んできた。日本ではない、海外の空気だ。

 ここが、一時とはいえ自分の生活の場となる。新鮮とは思えない空気に、けれど気分は一新されていく。

 だがその雰囲気に浸っている余裕はない。ここに来たのは観光でも表向きの視察でもない。

 戦闘だ。戦うために来たのだ。日本に弓を引き、世界にまで宣戦布告した敵と。

 それを思えばここは敵国のまっただ中だ。油断はならない。いくら味方側とはいえここの人たちに襲われないとも限らない。

 だが、そう思って守人は顔を横に振った。

 敵はISILだ、イラクじゃない。ましてやここの人たちでもない。疑心を膨らませても疲れるだけだ。

 守人は窓を閉じカーテンを閉めた。とりあえず持ってきた荷物の片づけを行おう。

 持ってきたものが衣服くらいなため片づけ自体はすぐに終わった。この後どうするか。そう思っていた時だった。

 トントン。

 扉がノックされ守人は振り向いた。

「司令が呼んでいる。早速任務だ」

 男の声が守人を呼んだ。

 表情が引き締まる。きたか。意識が先鋭化していくのを感じる。もう、後戻りはできない。

 守人はエフェクトスーツに着替えた。扉を出る時、守人の顔はすでに戦いの目つきになっていた。

「守人君」

 扉を出るとそこには麗華が待っていた。守人は頷き廊下の先を見る。

「行こう」

「うん」

 守人は麗華と並んで進んでいった。

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