俺の青春は魔法と共に!
第1章 06 『試験前の1週間(後編)』
  異世界転生されて5度目の朝。
 今日の俺は───
 「おっはよう! チヒロ君朝ですよー」
 「んんー。あと5分.……、ってだれ!?」
 
 俺は朝のもうろうとした意識の中で声の聞こえた方向に目を向けた。
 そこには手のひらサイズの白いうさぎではなく、俺と同じジャージ姿の黒髪にショートボブで大きな丸メガネをつけた女の子だった。
 しかも、超可愛い!! マジ俺のタイプ!!
 「初めまして! 私はエイミー·ルミエール。エイミーちゃんって呼んでね」
 そうです。つまり俺は今日、人生で初めて女の子に起こしてもらいました!
 やだっ、寝顔見られちゃった、恥ずかしい!
 「ええっとー。エイミーさんすか?」
 「さん付けじゃなくてもいいよ〜。そもそも私も君と同じ16歳だから」
 「そ、そう? じゃあエイミー……、その、おはようございます」
 「うん。おはよう」
 あぁぁぁあ! やばい可愛い!!
 ん? てか、こっちきて初めて人間と話したな。うさぎと普通に会話してたせいか気づくのが遅れてしまったぜ。
 そういえばなんでこの人俺の名前と年齢知ってんの?
 「えっと、エイミーはさ、なんで俺のこと知ってんの?」
 「あっ! そうだよね、忘れてた」
 「もしかして、どっかで俺のこと見つけて一目惚れして調べまっくったとか!? いや〜照れるな〜」
 
 「ちょっと何言ってるのか分かんないな。私はただシエルちゃんから聞いただけだよ」
 「シエル? そういえばあいつはどこにいるんだ?」
 
 よく考えてみればなんでこの人俺のこと起こしに来たんだろう?
 「シエルちゃんは大切な用事があって今日はチヒロ君とは一緒にいれないんだって」
 召喚しといて俺をほったらかすな!
 「だから今日は私が君に剣を教えてあげます」
 「え!? 君が教えてくれるの? ほんとに〜?」
 「もう、信用してないなー? 私はこう見えてマーリ学園の推薦を勝ち取ったんだから!」
 「推薦!? この世界の学校にも推薦入試があったのか! ちなみにそれって何人くらいなの?」
 「マーリ学園の推薦枠は2人だよ」
 「ええ!? すげえな!! ちなみに一般入試はどれくらいなんだ?」
 「んんー。たしか今年は6千人中8百人だったとおもうよ」
 「倍率高すぎだろ! 召喚されたての俺には無理ゲーだわ!」
 なんてこった。たぶんこっちの世界のやつらは試験のために小さい頃から剣とかやっているだろう。
そんな中俺はどのくらい戦えるのだろうか。いや、戦えない。
 うむ。俺ながら見事な反語だ。ちなみに反語とは俺がゆいいつ漢文で習得した文法である。漢文難しい!
 「大丈夫! 君はいままでシエルちゃんと練習してきたんでしょ?」
 「それがなんか関係あんのかよ?」
 「この学園の推薦には3つの条件があるの」
 「条件? 学力、魔法、剣術ってとこか?」
 「正解。自分で言うのもなんだけど、私は学力と魔法は成績が良かったの、でも剣術だけは全然で……」
 「じゃあどうして受かったんだよ?」
  「それはね。私が偶然シエルちゃんに出会えたから。そしてある条件で私はシエルちゃんに剣を教えてもらったのよ」
 「ある条件?」
 「そう、私たちがいるこの書庫は私の家の2階なの。で、そこを学園の入試まで貸してほしいって」
 「ええっと。ええ? どういうこと? だってこの部屋のドアは草原につづいてて……」
 「『ウェズリー草原』ね。この部屋のドアは『マジックアイテム』なの、だから鍵さえあれば好きなところにいけるの」
 「それってどこでもド〇じゃん! まぁだいたいはわかった。でも、なんでシエルに教われば合格できるのかがわからないな」
 「私はシエルちゃんとの練習で何回も死にかけたの。その度に回復してもらってね。君もそうなんでしょ?」
 「まぁ、うん。そんなんで強くなれんの?」
 「そうだよ。戦士ってのは死闘を繰り返すたびに強くなるんだから! きっと君も本番になったらわかるよ」
「オーケー、了解。じゃあ頑張るわ」
 「じゃあそろそろ質問のお時間は終了ね。着替えたらシエルちゃんが作ってくれた朝ごはん食べてね。私は先に外で体動かしてるから」
 「え!? ちょっといきなり……」
 俺の言葉がドアの閉まる音で遮られエイミーは行ってしまった。
 「急展開すぎて頭まわんねえよ。ま、ひとまず俺のヒロイン候補が1人登場したな。それさえ分かれば十分かな」
 エイミー……か、ひひひ、と心の声が漏れているのにも気づかず俺は急いで支度し、エイミーのもとへ向かった。
 
 「おっ、待ってたよ。早く戦いたくてうずうずしてたんだ〜」
 扉を開けて草原に出ると、準備運動をしていたエイミーはニコニコしながら俺に話しかけてきた。
 「やっぱり実戦形式なのね。まぁ俺は男女平等主義者なんで手加減しませんよ!」
 「言うねぇー。じゃあこっちも手加減なしでいくね。『ルミニーク』」
  ルミニーク? あっ、これ魔法だわ。だってエイミーの体がちょっと青色の光につつまれてるもん!
  分かったぜ! これはいわゆる負けイベントだな!
 「ちなみにそれってどんな感じの効果なの?」
  
 「『ルミニーク』は私の得意な光魔法なの。簡単に効果をいうと移動速度の上昇ってとこね」
 光魔法の移動速度上昇? それってピカピカの実をたべたってことかな? おぉ〜、こわいねぇ〜。
と、人気海賊漫画の三大将のことをおもいだしているなか、エイミーが剣を鞘から取り出したのが見えた。
 「説明もしたし始めようか。 チヒロ君は私に一撃でも当てれたら勝ちね」
 この世界の人とウサギは俺のことなめすぎしゃないですか?
 
  そんなツッコミを入れようとした瞬間、目の前にいたはずのエイミーの姿が光とともに消えてなくなった。と、同時に背後から見えない斬撃がとんできた。
 
 あっ、死んだな。
 
 背後から迫る死の気配に気づく。
 でももう手遅れだ。世界がスローモーションになって見える。
 あぁ、これがいわゆる走馬灯ってやつか。
 
 だが次の瞬間、俺の想像していた未来とは別のことが起きていた。
 俺の思考とは別に、剣を持った右腕がエイミーの剣を受けとめていた。体が勝手に動いたのだ。
 「はぁはぁ、今何が起きたんだ?」
 「おっと! よく反応できたね。だって光の速さだよ、いまの」
なるほど。つまり今の見えない斬撃だと思っていたものは、エイミーが光の速度できりつけてきたものだったのか。
 はぁ〜? なんで生きてんの俺?
 「俺でもわかんねえんだよ。てか、本気で死ぬかとおもったんだけど……」
 「まぁ急所外すけど当てるきだったからね♪」
 「最初から言ってくれる!?」
 「ごめんごめん。でもこれで君も自分の成長がわかったんじゃないかな?」
 「俺の成長? どういうこと?」
 「さっきも言ったけど君は昨日までシエルちゃんと練習をしてきた。でしょ?」
 「それがなんだっていうんだよ?」
 「まだわからないの〜。シエルちゃんと私、戦ってみて何か違うことはなかった?」
 「戦ったっていってもたった一撃だろ。まぁ、でも言われてみればシエルより的が大きい分なんか気配みたいなのが感じやすかったような。あと、身体が勝手に動いたかも」
 「それそれ。なんかわかんないけど身体が勝手に動くとか、気配が分かるとか、右腕がうずくとか」
 「最後のひとつは知らないけどまぁ理解したよ。要するに小さいシエルに毎日集中してたから身体がそれになれたわけだ」
 スポーツも毎日やると次どうしたらいいかわかるようになるからな。
 バスケとかサッカーはとくにそんなきがする。
 「はい! 休憩終わり〜。じゃあ10秒後にはじめるよ。10 9 8……」
 「えっ、ちょ、まって! おいぃぃぃ!」
 またもやエイミーが光とともに消えどこからともなく現れる。俺は自分の能力を完全に使いこなせるようにエイミーになんとかくらいついっていった。
 そして俺たちは夜まで剣を交え続けたのだった。
 「練習お疲れ様」
 
 練習を終え薪を囲いながら俺たちは夕飯の支度をしていた。今日のご飯はエイミーが家から持ってきた魚を塩で焼いたものだ。
 「疲れた〜。もう動けない〜。でもご飯は美味しい! ていうかここじゃなくてお前の家で食べればよかったんじゃね?」
 「えぇー……。チヒロ君そんなに女の子のお家に行きたいの? まぁチヒロ君って女の子のお家行ったことなさそうだから分からなくもないよ」
 「そういう訳じゃなくて、ていうか俺だって女の子のお家くらい行ったことあります……おいニヤニヤすんな! 」
 「へぇ〜。じゃあ彼女とかいるの?」
 
 「いないけど。べ、べつに彼女がいようがいないが関係ないだろ!」
 なんで女子ってどの世界でも恋バナが好きなわけ? すいませんね、そういうネタ持ってなくて。
 「じゃあさ、明日デートしよう!」
 「へ?」
 「明日、私と一緒に王都に買い物にいこうよ。だってチヒロ君は彼女いないから大丈夫だよね」
 「デートとか言うと俺みたいな男の子は勘違いしちゃうから好きな人にしか使っちゃだめだぞ。でも明日は入試前日だから練習した方がいいんじゃないかな」
 そう、明日は入試前日なのだ。人生で初めてのデートの誘いだがシエルを裏切りわけにはいかない。
 ていうかあいつは俺もほったらかしてどこいったんだよ!
 「前日にしたって今日とそんな変わんないって。やっぱり体を休めることも大切だしね」
 「でも、シエルがなんて言うかわかんねえし……」
 「シエルちゃんも誘ったらいいよーって言われたよ」
 あのうさぎぃぃぃぃ、今度会ったらぶん殴ってやる。
 
 「分かった。了解。そういうことなら明日俺とデートしようぜ!」
 「あれっ? てことはチヒロ君は私のこと好きなの?」
 「俺は世界中の可愛い女の子は全員大好きだぜ」
 「キメ顔でめっちゃキモイこと言ってるよこの人。うん、でもこれで決まりだね。じゃあ明日の朝迎えに行くから待ってて」
 
  最後にそんなとこを言うと、俺にキュピーン☆とウィンクをし、エイミーは魔法の扉から帰っていった。
 「明日はデート。うあー、楽しみすぎて眠れねえ。ぐへへへへ。うわ俺キモ」
 なんて自分にツッコミをいれ満天の星空を見上げた。
 
 「もう少しで満月だな。この世界なら狼男とか普通にいそうだよな。俺の満月の加護ってほんとに大丈夫なのかな」
 まっいっか。俺は明日のために早く寝ようと書庫にもどる。
 この時の俺はまだ知らなかった。
明日のデートでこの世界の歴史に巻き込まれてしまうことを。
 
 今日の俺は───
 「おっはよう! チヒロ君朝ですよー」
 「んんー。あと5分.……、ってだれ!?」
 
 俺は朝のもうろうとした意識の中で声の聞こえた方向に目を向けた。
 そこには手のひらサイズの白いうさぎではなく、俺と同じジャージ姿の黒髪にショートボブで大きな丸メガネをつけた女の子だった。
 しかも、超可愛い!! マジ俺のタイプ!!
 「初めまして! 私はエイミー·ルミエール。エイミーちゃんって呼んでね」
 そうです。つまり俺は今日、人生で初めて女の子に起こしてもらいました!
 やだっ、寝顔見られちゃった、恥ずかしい!
 「ええっとー。エイミーさんすか?」
 「さん付けじゃなくてもいいよ〜。そもそも私も君と同じ16歳だから」
 「そ、そう? じゃあエイミー……、その、おはようございます」
 「うん。おはよう」
 あぁぁぁあ! やばい可愛い!!
 ん? てか、こっちきて初めて人間と話したな。うさぎと普通に会話してたせいか気づくのが遅れてしまったぜ。
 そういえばなんでこの人俺の名前と年齢知ってんの?
 「えっと、エイミーはさ、なんで俺のこと知ってんの?」
 「あっ! そうだよね、忘れてた」
 「もしかして、どっかで俺のこと見つけて一目惚れして調べまっくったとか!? いや〜照れるな〜」
 
 「ちょっと何言ってるのか分かんないな。私はただシエルちゃんから聞いただけだよ」
 「シエル? そういえばあいつはどこにいるんだ?」
 
 よく考えてみればなんでこの人俺のこと起こしに来たんだろう?
 「シエルちゃんは大切な用事があって今日はチヒロ君とは一緒にいれないんだって」
 召喚しといて俺をほったらかすな!
 「だから今日は私が君に剣を教えてあげます」
 「え!? 君が教えてくれるの? ほんとに〜?」
 「もう、信用してないなー? 私はこう見えてマーリ学園の推薦を勝ち取ったんだから!」
 「推薦!? この世界の学校にも推薦入試があったのか! ちなみにそれって何人くらいなの?」
 「マーリ学園の推薦枠は2人だよ」
 「ええ!? すげえな!! ちなみに一般入試はどれくらいなんだ?」
 「んんー。たしか今年は6千人中8百人だったとおもうよ」
 「倍率高すぎだろ! 召喚されたての俺には無理ゲーだわ!」
 なんてこった。たぶんこっちの世界のやつらは試験のために小さい頃から剣とかやっているだろう。
そんな中俺はどのくらい戦えるのだろうか。いや、戦えない。
 うむ。俺ながら見事な反語だ。ちなみに反語とは俺がゆいいつ漢文で習得した文法である。漢文難しい!
 「大丈夫! 君はいままでシエルちゃんと練習してきたんでしょ?」
 「それがなんか関係あんのかよ?」
 「この学園の推薦には3つの条件があるの」
 「条件? 学力、魔法、剣術ってとこか?」
 「正解。自分で言うのもなんだけど、私は学力と魔法は成績が良かったの、でも剣術だけは全然で……」
 「じゃあどうして受かったんだよ?」
  「それはね。私が偶然シエルちゃんに出会えたから。そしてある条件で私はシエルちゃんに剣を教えてもらったのよ」
 「ある条件?」
 「そう、私たちがいるこの書庫は私の家の2階なの。で、そこを学園の入試まで貸してほしいって」
 「ええっと。ええ? どういうこと? だってこの部屋のドアは草原につづいてて……」
 「『ウェズリー草原』ね。この部屋のドアは『マジックアイテム』なの、だから鍵さえあれば好きなところにいけるの」
 「それってどこでもド〇じゃん! まぁだいたいはわかった。でも、なんでシエルに教われば合格できるのかがわからないな」
 「私はシエルちゃんとの練習で何回も死にかけたの。その度に回復してもらってね。君もそうなんでしょ?」
 「まぁ、うん。そんなんで強くなれんの?」
 「そうだよ。戦士ってのは死闘を繰り返すたびに強くなるんだから! きっと君も本番になったらわかるよ」
「オーケー、了解。じゃあ頑張るわ」
 「じゃあそろそろ質問のお時間は終了ね。着替えたらシエルちゃんが作ってくれた朝ごはん食べてね。私は先に外で体動かしてるから」
 「え!? ちょっといきなり……」
 俺の言葉がドアの閉まる音で遮られエイミーは行ってしまった。
 「急展開すぎて頭まわんねえよ。ま、ひとまず俺のヒロイン候補が1人登場したな。それさえ分かれば十分かな」
 エイミー……か、ひひひ、と心の声が漏れているのにも気づかず俺は急いで支度し、エイミーのもとへ向かった。
 
 「おっ、待ってたよ。早く戦いたくてうずうずしてたんだ〜」
 扉を開けて草原に出ると、準備運動をしていたエイミーはニコニコしながら俺に話しかけてきた。
 「やっぱり実戦形式なのね。まぁ俺は男女平等主義者なんで手加減しませんよ!」
 「言うねぇー。じゃあこっちも手加減なしでいくね。『ルミニーク』」
  ルミニーク? あっ、これ魔法だわ。だってエイミーの体がちょっと青色の光につつまれてるもん!
  分かったぜ! これはいわゆる負けイベントだな!
 「ちなみにそれってどんな感じの効果なの?」
  
 「『ルミニーク』は私の得意な光魔法なの。簡単に効果をいうと移動速度の上昇ってとこね」
 光魔法の移動速度上昇? それってピカピカの実をたべたってことかな? おぉ〜、こわいねぇ〜。
と、人気海賊漫画の三大将のことをおもいだしているなか、エイミーが剣を鞘から取り出したのが見えた。
 「説明もしたし始めようか。 チヒロ君は私に一撃でも当てれたら勝ちね」
 この世界の人とウサギは俺のことなめすぎしゃないですか?
 
  そんなツッコミを入れようとした瞬間、目の前にいたはずのエイミーの姿が光とともに消えてなくなった。と、同時に背後から見えない斬撃がとんできた。
 
 あっ、死んだな。
 
 背後から迫る死の気配に気づく。
 でももう手遅れだ。世界がスローモーションになって見える。
 あぁ、これがいわゆる走馬灯ってやつか。
 
 だが次の瞬間、俺の想像していた未来とは別のことが起きていた。
 俺の思考とは別に、剣を持った右腕がエイミーの剣を受けとめていた。体が勝手に動いたのだ。
 「はぁはぁ、今何が起きたんだ?」
 「おっと! よく反応できたね。だって光の速さだよ、いまの」
なるほど。つまり今の見えない斬撃だと思っていたものは、エイミーが光の速度できりつけてきたものだったのか。
 はぁ〜? なんで生きてんの俺?
 「俺でもわかんねえんだよ。てか、本気で死ぬかとおもったんだけど……」
 「まぁ急所外すけど当てるきだったからね♪」
 「最初から言ってくれる!?」
 「ごめんごめん。でもこれで君も自分の成長がわかったんじゃないかな?」
 「俺の成長? どういうこと?」
 「さっきも言ったけど君は昨日までシエルちゃんと練習をしてきた。でしょ?」
 「それがなんだっていうんだよ?」
 「まだわからないの〜。シエルちゃんと私、戦ってみて何か違うことはなかった?」
 「戦ったっていってもたった一撃だろ。まぁ、でも言われてみればシエルより的が大きい分なんか気配みたいなのが感じやすかったような。あと、身体が勝手に動いたかも」
 「それそれ。なんかわかんないけど身体が勝手に動くとか、気配が分かるとか、右腕がうずくとか」
 「最後のひとつは知らないけどまぁ理解したよ。要するに小さいシエルに毎日集中してたから身体がそれになれたわけだ」
 スポーツも毎日やると次どうしたらいいかわかるようになるからな。
 バスケとかサッカーはとくにそんなきがする。
 「はい! 休憩終わり〜。じゃあ10秒後にはじめるよ。10 9 8……」
 「えっ、ちょ、まって! おいぃぃぃ!」
 またもやエイミーが光とともに消えどこからともなく現れる。俺は自分の能力を完全に使いこなせるようにエイミーになんとかくらいついっていった。
 そして俺たちは夜まで剣を交え続けたのだった。
 「練習お疲れ様」
 
 練習を終え薪を囲いながら俺たちは夕飯の支度をしていた。今日のご飯はエイミーが家から持ってきた魚を塩で焼いたものだ。
 「疲れた〜。もう動けない〜。でもご飯は美味しい! ていうかここじゃなくてお前の家で食べればよかったんじゃね?」
 「えぇー……。チヒロ君そんなに女の子のお家に行きたいの? まぁチヒロ君って女の子のお家行ったことなさそうだから分からなくもないよ」
 「そういう訳じゃなくて、ていうか俺だって女の子のお家くらい行ったことあります……おいニヤニヤすんな! 」
 「へぇ〜。じゃあ彼女とかいるの?」
 
 「いないけど。べ、べつに彼女がいようがいないが関係ないだろ!」
 なんで女子ってどの世界でも恋バナが好きなわけ? すいませんね、そういうネタ持ってなくて。
 「じゃあさ、明日デートしよう!」
 「へ?」
 「明日、私と一緒に王都に買い物にいこうよ。だってチヒロ君は彼女いないから大丈夫だよね」
 「デートとか言うと俺みたいな男の子は勘違いしちゃうから好きな人にしか使っちゃだめだぞ。でも明日は入試前日だから練習した方がいいんじゃないかな」
 そう、明日は入試前日なのだ。人生で初めてのデートの誘いだがシエルを裏切りわけにはいかない。
 ていうかあいつは俺もほったらかしてどこいったんだよ!
 「前日にしたって今日とそんな変わんないって。やっぱり体を休めることも大切だしね」
 「でも、シエルがなんて言うかわかんねえし……」
 「シエルちゃんも誘ったらいいよーって言われたよ」
 あのうさぎぃぃぃぃ、今度会ったらぶん殴ってやる。
 
 「分かった。了解。そういうことなら明日俺とデートしようぜ!」
 「あれっ? てことはチヒロ君は私のこと好きなの?」
 「俺は世界中の可愛い女の子は全員大好きだぜ」
 「キメ顔でめっちゃキモイこと言ってるよこの人。うん、でもこれで決まりだね。じゃあ明日の朝迎えに行くから待ってて」
 
  最後にそんなとこを言うと、俺にキュピーン☆とウィンクをし、エイミーは魔法の扉から帰っていった。
 「明日はデート。うあー、楽しみすぎて眠れねえ。ぐへへへへ。うわ俺キモ」
 なんて自分にツッコミをいれ満天の星空を見上げた。
 
 「もう少しで満月だな。この世界なら狼男とか普通にいそうだよな。俺の満月の加護ってほんとに大丈夫なのかな」
 まっいっか。俺は明日のために早く寝ようと書庫にもどる。
 この時の俺はまだ知らなかった。
明日のデートでこの世界の歴史に巻き込まれてしまうことを。
 
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