勇者の孫、パーティーを追放される~杖を握れば最強なのに勇者やらされてました~
第七話 『噂』
「エリザっち起きろ~」
「――は!? わたしは一体何を!?」
教会で治療を受けたエリザが目を覚ました。
「エリザ、お前のその貧弱なHPなんとかして上げることはできないのか?」
「何を言うんですかアルフさん! わたしのHPが1しかないのは才能だってお母さんが言ってました。辛いときにすぐ意識を失えるなんて羨ましいって」
「低HPをとっても好意的に解釈するお母さまだな……。てかよくそのHPで魔王討伐パーティーに入ろうなんて思ったよな」
「人々を苦しめる魔王は許せませんから!」
「真面目なエリザらしい理由だな。ミカはどうしてなんだ?」
ぼけーっと聞いているミカに話を振ってみた。
「ほへっ? うちはママの病気さえ治せればなんでもいいよ。ただ稼ぐのには滅茶苦茶強い賢者と組んだほうがいいって思っただけ」
滅茶苦茶強い賢者ってここに来てから何回言われてるんだろうか。
妙にダサいからもっと良い肩書が欲しいところ……。
――ドン、ドン、ドン!
教会のドアが叩かれる音だ。
その直後に人が雪崩のように入り込んできた。
「滅茶苦茶強い賢者がいると聞いたのですが!」
「家の庭に住み着いたゴブリンを倒してくれ!」
「そんなことより向かいの山に潜んでいるドラゴン退治を!」
「俺と力試ししてくれ!」
一体どういうことだ。何故俺の噂が広がっているんだ。
「あー、それでしたら神殿の受付のお姉さんが、『何でも解決してくれる滅茶苦茶強い賢者がこの町に来てくれたんです』って触れ回ってましたよ」
えー、パーティー募集の張り紙だけじゃなくてそんなことまでやってたのかあの人は。
「それにデュラハンを倒しちゃったらこの町で噂になるのは避けられないってうち思うな」
言われてみれば確かに……。
「わかったわかった、依頼は一人ずつ聞くからみんな一斉に喋るのはやめてくれ」
俺の前には長蛇の列ができた。その数およそ百人。
「何で俺こんなボランティアみたいなことやる羽目になってるんだ」
「いいじゃないですか、世の為人の為それすなわち自分の為になりますよ!」
いいように使われているだけな気もするが、何故か断りにくい雰囲気が出来てしまっている。
俺は甘んじて受け入れることにしたのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
結局全員の話を聞くだけで夜中になってしまった。
「アルフさんお疲れ様でした。明日からは依頼頑張ってくださいね!」
この騒動の元凶である神殿の受付嬢が何食わぬ顔で差し入れを持ってきた。
「あの、お姉さん? 俺達って魔王討伐パーティーなんですよ? 何か勘違いされているような……」
「アルフさんが魔王を倒すのは何の為ですか?」
「人々の平和の為」
「ほら、ね? 同じことでしょ?」
「勝ち誇ったような顔をして言っているが絶対おかしいからなァ!」
俺はやけになって差し入れのフライドチキンを口いっぱいにほうばった。
「ふふっ。サービスで今日の宿代はわたしが払っておきますから、しっかり頼みますね」
それだけ言い残してお姉さんは教会から出て行った。
「……俺達も宿に向かうか」
「はーい」「うぃーっす」
パーティー結成、デュラハン討伐、教会での依頼受託、これ全部一日の出来事である。本当に濃い一日だった……。
「――は!? わたしは一体何を!?」
教会で治療を受けたエリザが目を覚ました。
「エリザ、お前のその貧弱なHPなんとかして上げることはできないのか?」
「何を言うんですかアルフさん! わたしのHPが1しかないのは才能だってお母さんが言ってました。辛いときにすぐ意識を失えるなんて羨ましいって」
「低HPをとっても好意的に解釈するお母さまだな……。てかよくそのHPで魔王討伐パーティーに入ろうなんて思ったよな」
「人々を苦しめる魔王は許せませんから!」
「真面目なエリザらしい理由だな。ミカはどうしてなんだ?」
ぼけーっと聞いているミカに話を振ってみた。
「ほへっ? うちはママの病気さえ治せればなんでもいいよ。ただ稼ぐのには滅茶苦茶強い賢者と組んだほうがいいって思っただけ」
滅茶苦茶強い賢者ってここに来てから何回言われてるんだろうか。
妙にダサいからもっと良い肩書が欲しいところ……。
――ドン、ドン、ドン!
教会のドアが叩かれる音だ。
その直後に人が雪崩のように入り込んできた。
「滅茶苦茶強い賢者がいると聞いたのですが!」
「家の庭に住み着いたゴブリンを倒してくれ!」
「そんなことより向かいの山に潜んでいるドラゴン退治を!」
「俺と力試ししてくれ!」
一体どういうことだ。何故俺の噂が広がっているんだ。
「あー、それでしたら神殿の受付のお姉さんが、『何でも解決してくれる滅茶苦茶強い賢者がこの町に来てくれたんです』って触れ回ってましたよ」
えー、パーティー募集の張り紙だけじゃなくてそんなことまでやってたのかあの人は。
「それにデュラハンを倒しちゃったらこの町で噂になるのは避けられないってうち思うな」
言われてみれば確かに……。
「わかったわかった、依頼は一人ずつ聞くからみんな一斉に喋るのはやめてくれ」
俺の前には長蛇の列ができた。その数およそ百人。
「何で俺こんなボランティアみたいなことやる羽目になってるんだ」
「いいじゃないですか、世の為人の為それすなわち自分の為になりますよ!」
いいように使われているだけな気もするが、何故か断りにくい雰囲気が出来てしまっている。
俺は甘んじて受け入れることにしたのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
結局全員の話を聞くだけで夜中になってしまった。
「アルフさんお疲れ様でした。明日からは依頼頑張ってくださいね!」
この騒動の元凶である神殿の受付嬢が何食わぬ顔で差し入れを持ってきた。
「あの、お姉さん? 俺達って魔王討伐パーティーなんですよ? 何か勘違いされているような……」
「アルフさんが魔王を倒すのは何の為ですか?」
「人々の平和の為」
「ほら、ね? 同じことでしょ?」
「勝ち誇ったような顔をして言っているが絶対おかしいからなァ!」
俺はやけになって差し入れのフライドチキンを口いっぱいにほうばった。
「ふふっ。サービスで今日の宿代はわたしが払っておきますから、しっかり頼みますね」
それだけ言い残してお姉さんは教会から出て行った。
「……俺達も宿に向かうか」
「はーい」「うぃーっす」
パーティー結成、デュラハン討伐、教会での依頼受託、これ全部一日の出来事である。本当に濃い一日だった……。
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