ダイスワークス✡リポート
三年目の苦悩
大学生活は短い。
入学当時、そんな事を両親は言っていた。
♢『何を言ってるんだ?まだ始まったばっかりじゃないか』
そう思っていた。つい先日までは。
♢「本当に短いじゃないか……ああーどうしよう……」
思わずそうボヤキながら、俺はキャリアセンターのパソコンを睨む。
大学三年の春が来た。社会進出を嫌がおうにも意識し出す春が。
親の仇の様に俺が睨む先には、大量の社名が羅列されていた。画面上部のタブには、「インターンシップ」の文字。
♢「知らなかった。こんなにあるんだ、会社って」
スクロールがどこまでいっても止まらない。
止まった所で、次のページへのリンクがあるだけだ。それ以外、どこもかしこも企業名・社名・庁舎名……ゲンナリする。
行き過ぎた自由のプレッシャーが俺を圧迫していた。
何にも考えず遊び呆けていた自分が憎い。
一応国立大学なので潰しは効くが、公務員試験対策も教職資格も全然念頭に置いていなかった大学生活プランを、我ながら恨めしく思う。
それにしても、インターンシップなんて言われても。
♢「英語は碌に喋れないしなあ……」
はい、これで外資系と商社系はカット。
IT企業もパソコンそこまで詳しい訳じゃないからカット。
さて、
♢「俺一体何が出来るんだろう……ハァ……」
不甲斐ない自分のスペックに思わずため息が出る。
これだけ並んだ仕事の中、俺は一体どこで通用するのだろう?
♢「分からない。どんな仕事探せばいいのかも…」
クスリと笑い声がしたのは、その時だった。
力なく凭れ掛かっていた俺の真後ろの席からだ。
そこに誰がいるのかは知っている。
俺がここに来る切っ掛けを作った奴だからだ。
背凭れに一層背中を押しつけて、逆さまになった世界の住人に俺はムッとした。
♢「何で今笑ったんだよ」
♧「いや、やっぱこうなったかって思って」
ニヤニヤと嫌味な笑顔の女が一人、俺を見ていた。
♢「予想通りだったって事?」
♧「概ね、ね」
チェッと零れた舌打ちを表情に昇華して、正位で女を睨む。
♢「相変わらず性格悪いね、三葉は」
♧「大哉が人が良すぎるだけよ」
今一度舌打ちして三葉から目を逸らす。
城下三葉。
俺はどうにも彼女が苦手だった。
具体的にどこが苦手なのかと言うと、
♧「拗ねないのー」
♢「うわ!……いきなり引っ付かないでよ」
気を抜くと直ぐに過激なボディランゲージをしてくる、この人を喰った言動だ。
幸いと言うか、何と言うか、三葉はどこもかしこもボーイッシュで、そこまで女性だった身体的特徴を持っていない。
だが、“女性らしさ”とは見た目だけの、視覚的なものだけではない。
いい匂いするイイ匂いする良い匂いする!!!!
プワッと鼻腔をくすぐる女の子特有の甘い香り。
控え目であれどしっかりと母性を感じさせる双丘の感触。
視覚に不自由があっても分かる気配に俺の理性が揺さぶられる。
しかも――
♧「……ところでさ」
耳元でボソッと囁かれ、チラリと向けた視線の先に綺麗な三葉の顔があるんだから、堪ったものじゃない
。
♢「な、何?」
♧「インターン先に提案があるんだけど、乗らない?」
入学当時、そんな事を両親は言っていた。
♢『何を言ってるんだ?まだ始まったばっかりじゃないか』
そう思っていた。つい先日までは。
♢「本当に短いじゃないか……ああーどうしよう……」
思わずそうボヤキながら、俺はキャリアセンターのパソコンを睨む。
大学三年の春が来た。社会進出を嫌がおうにも意識し出す春が。
親の仇の様に俺が睨む先には、大量の社名が羅列されていた。画面上部のタブには、「インターンシップ」の文字。
♢「知らなかった。こんなにあるんだ、会社って」
スクロールがどこまでいっても止まらない。
止まった所で、次のページへのリンクがあるだけだ。それ以外、どこもかしこも企業名・社名・庁舎名……ゲンナリする。
行き過ぎた自由のプレッシャーが俺を圧迫していた。
何にも考えず遊び呆けていた自分が憎い。
一応国立大学なので潰しは効くが、公務員試験対策も教職資格も全然念頭に置いていなかった大学生活プランを、我ながら恨めしく思う。
それにしても、インターンシップなんて言われても。
♢「英語は碌に喋れないしなあ……」
はい、これで外資系と商社系はカット。
IT企業もパソコンそこまで詳しい訳じゃないからカット。
さて、
♢「俺一体何が出来るんだろう……ハァ……」
不甲斐ない自分のスペックに思わずため息が出る。
これだけ並んだ仕事の中、俺は一体どこで通用するのだろう?
♢「分からない。どんな仕事探せばいいのかも…」
クスリと笑い声がしたのは、その時だった。
力なく凭れ掛かっていた俺の真後ろの席からだ。
そこに誰がいるのかは知っている。
俺がここに来る切っ掛けを作った奴だからだ。
背凭れに一層背中を押しつけて、逆さまになった世界の住人に俺はムッとした。
♢「何で今笑ったんだよ」
♧「いや、やっぱこうなったかって思って」
ニヤニヤと嫌味な笑顔の女が一人、俺を見ていた。
♢「予想通りだったって事?」
♧「概ね、ね」
チェッと零れた舌打ちを表情に昇華して、正位で女を睨む。
♢「相変わらず性格悪いね、三葉は」
♧「大哉が人が良すぎるだけよ」
今一度舌打ちして三葉から目を逸らす。
城下三葉。
俺はどうにも彼女が苦手だった。
具体的にどこが苦手なのかと言うと、
♧「拗ねないのー」
♢「うわ!……いきなり引っ付かないでよ」
気を抜くと直ぐに過激なボディランゲージをしてくる、この人を喰った言動だ。
幸いと言うか、何と言うか、三葉はどこもかしこもボーイッシュで、そこまで女性だった身体的特徴を持っていない。
だが、“女性らしさ”とは見た目だけの、視覚的なものだけではない。
いい匂いするイイ匂いする良い匂いする!!!!
プワッと鼻腔をくすぐる女の子特有の甘い香り。
控え目であれどしっかりと母性を感じさせる双丘の感触。
視覚に不自由があっても分かる気配に俺の理性が揺さぶられる。
しかも――
♧「……ところでさ」
耳元でボソッと囁かれ、チラリと向けた視線の先に綺麗な三葉の顔があるんだから、堪ったものじゃない
。
♢「な、何?」
♧「インターン先に提案があるんだけど、乗らない?」
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