T.T.S.

沖 鴉者

FileNo.1 Welcome to T.T.S.  Chapter1-3-1




「何で紫姫音ちゃんあんなに荒れているの?」


「知らねぇよ、服かぶってる奴がいてムカつくとか訳分かんねぇ事しか言わねぇから……っぺ、な。で?今回の職人さんは何人だ?」


 柿の渋みが残っていたのか、唾と共に吐き出された源の言葉を、絵美は溜息で受けた。


到着時報告ランディングレポート聞いた感じじゃ今回は一人よ、紫姫音ちゃんならとっくにダウンロード終わっているでしょうに、何で確認しないの……ちょっと待ってね、今こっちのダウンロード終わったみたいだから……Attention」


 源の手を取り、自身の腕輪に呟いた途端、二人の身体に骨伝導音が流れ出した。


〈おはよう諸君!今回の任務もどうやら骨が折れそうだぞ。……ねえどうかな紙園君?今のイイ感じに聞こえた?あ、でも向こうが朝とは限らないか、なら……お、おはこんばんちわ!
 あ、スッゴイ古いね、マニアしか分かんないね、ごめんごめ……え?何?尺そんなない?マジで?あ、じゃあ早速いきまーす。今回の【あの馬鹿みたいな募集に釣られちゃったお馬鹿さん(笑)】は……ダラララララララララララ
 え?本当に時間ないの?ドラムロールとかいらない?あ、そう。
 じゃあさっさと言うね、今回の違法時間跳躍者クロック・スミスはっと……あれ?あれあれ?資料どこいった?ねえ、紙園君、僕の資料知らない?え?ドラムロールの締めに使おうとした紙鉄砲?……って言うと……ああコレの事か!そっか……えっと……ちょっと待ってね……ここをこうして…こうだったんだから……こっち側から……ビリィィィ!!!!
あ!破れた!大変だよ紙園君、僕の資料破れちゃっ〉


「「……」」


 尻切れ蜻蛉の本指令を聞いた二人は、それぞれ対照的な表情に変わって行った。


「あははは!ご機嫌だなぁ新主将カピタン。いぃね、この緩い感じ好きだよ、あははは!」


「どいつもこいつも……仕事を何だと思っているのよ……馬鹿しかいないの?T.T.S.ここには」


 言わずもがな、前者が源で、後者が絵美だった。


「はぁ、愚痴っても仕方ないか。アンタの方はどう?こっちより処理速い分ダウンロードはされている筈だけど、ちゃんと任務内容入っている?……って言っても、紫姫音ちゃんご機嫌斜めだし……ああもう!」


 未だに笑っている源の傍らで、絵美は段々腹が立って来た。
 跳躍先が過去である場合の初歩的注意点“未来物の持ち込み”を平然とやっておいて、何でコイツはヘラヘラ笑ってやがんだ……と。


「源……」


「へ?何?」


 一体何がツボだったのか、眼に涙を滲ませた源が絵美を見て、そして。


「……あのぉ、絵美さん?」


 彼の表情は凍った。


「何?」


「あのぉ、これ一応確認なんすけど……」


「何?」


「大変憤慨してあらせられます?」


「知りたい?」


「いや、いぃで「教えてあげる」……ぅぇ」


 広い法隆寺の境内に、鈍い音が二発と一人の男の断末魔が響いた。
 音源には、鈍器の様な物で頭部を損傷した黒長髪の男と、赤毛の女の姿があったそうな。










































T.T.S. 了

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