自宅遭難

ねぎたま

自宅遭難 エピローグ

「オロク....」
家への帰り道、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。私の後ろには誰も居なかった。

オロク?どっかで聞いた気がするが、思い出せない。





直ぐには体調が戻らなかった。
一ヶ月もしたら、席を譲られなくなった。
思考が頻繁に途絶えるが、徐々に良くなっている。
あれから、体力は1年経っても本調子とは言えない。
不整脈が多くなった。
病気がちになった。
体重は順調に戻っている。お菓子を食べれば簡単に体重が増えたが、筋肉が伴っていないので、少しずつ体重を増やす事にした。
それでも、少しずつ体力を取り戻そうと自分なりのリハビリを続けている。
結局、なんの病気で動けなくなったかハッキリとしていない。病院に行って確かめる事もしなかった。

そういや、音信不通になった取引先担当者の河本さんも自宅で倒れていたそうです。私と違ったのは、奥さんが自宅に荷物を取りに戻った時に発見された事。もしかして、互いに何か悪い物でも連れてきただろうか?そんな事を言い合い、笑い話にした。
河本さんの奥さんは仕事に理由を付けて旦那が浮気をしていると思っていたらしい。
でね、河本さんは風呂に入らず仕事をしていたからさ、オヤジ臭全開の河本さんを奥さんが見つけて疑いが晴れたんだとさ。

後に河本さんから転職のお誘いがあった。
キッチリお断りしたあと、他の会社に転職した。ちなみに、次の転職先もブラックである。ここで死にそうになった話はまた今度。

遭難した家からの引越しの際、押入れから天井裏に繋がる戸が気になり、押し開けて覗いてみた。天井裏には地元の神社のお札と小さな人形が置いてあった。人形は埃で薄汚れて寂しそうに見えたので、そっと拭いて戻しておいた。

- 完 -

コメント

  • ノベルバユーザー220886

    原因は?
    只の疲労?
    夢との繋がりは?
    …「で」って突っ込みたくなる作品…

    1
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