霊感少年

夜目

見えないもの1

 夏の主張するような日差しは、冬生まれの久我 静人くが せいとには受け入れ難いものだった。そもそもが、高校生活最後の夏休みになぜ自分はこんなことをしているのだろうかと、確かに明確な目標はあったはずではあるが疑問に思ってしまうのが、静人の本音の部分であった。
 「着いた、ここだ。ここに運命を感じる」
 静人はうんざりすると同時に、恨めしそうに目の前の男を見る。男は汗一つ流している様子はなく、涼やかな顔を静人に向ける。目に入るだけで、取り巻く日常を振り払ってしまいそうな真っ白な髪と、軽く上半身をひねらせ振り向くその様が、男らしくない綺麗な顔立ちに厭に似合っている。それがまた、静人を苛立たせる要素の一つになった。
 「いかにもっていう感じの場所だなあ、南雲」
 静人のひきつった笑みに気付く様子もなく、南雲なぐもと呼ばれた男は「ふむふむ」と顎に手を添えて一人で頷いている。視線の先には、廃校になってしまった小学校があった。南雲は静人の言葉を完全に無視している。と、言うよりかは考え事をしていて、静人が話しかけてきたことに気づいていないようである。マイペースさが際立つ男に静人も慣れているのか、「やれやれ」といった感じで、その廃校を観察しながら、つぶやいた。
 「ここで殺人が行われた」

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