雑学部!!

白兎

干支の雑学

 放課後の雑学部。
 いつものように一ノ瀬の話が、広い教室の気まずい空間を明るく変えていた。


「そういえば、私のおじいちゃんが今度還暦なんだけど、何のお祝いが良いのかなぁ?」


 一ノ瀬の相談に最初に答えたのは珍しく霧崎だった。


「無難なところなら赤い衣服、最近のものなら旅行券やギフトが良いんじゃないかしら? あなたの祖父の趣味や性格にもよるのだけれど……」


「でも旅行券とかは高校生には無理じゃないか? 普通に手軽なもんでいいだろ」


「手軽かぁ……お酒は買えないし、おじいちゃん服は興味ないし……」


「因みに一ノ瀬のじいさんの趣味とかってなんなんだ?」


「散歩かなぁ。朝早くに起きて町内を歩いてるみたいだし」


「なら、万歩計なんかどうかしら? 今の万歩計ならカロリー消費計算や時計の機能も付いているし実用的かと思うのだけれど」


「万歩計か……達也君はどう思う?」


「良いんじゃねぇの? まぁ、機械の扱いが苦手なら知らんけど」


 津樂が言うと、一ノ瀬はじゃあそうすると言ってにっこり笑う。
 すると、一ノ瀬が唐突に疑問符を浮かべた。


「そういえば、還暦って生まれた年の干支に帰るからなんだよね?」


「そうね。それがどうかしたの?」


「でも干支って十二支じゃん? 一周どころか五周してるよね? なら十二歳や二十四歳でも還暦にならないの?」


「あー干支って言うのはな中国の序数知識なんだよ。十干じっかん十二支、きのえきのとひのえひのとつちのえつちのとかのえかのとみずのえみずのとと、子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥。それぞれの組み合わせが年暦で使われてたんだよ」


「干支の干って十干からきてたんだ」


「最初は甲子、次に乙丑って感じで進めて、癸酉に行くと十干は最初に戻って甲戌。そんな感じに進めていくと六十年目で最後の癸亥になるんだよ。だから満六十歳、数え年で六十一歳で生まれた干支に戻ってくるってことで、暦が還るで還暦ってわけ」


「へぇ~じゃあ、百二十歳生きれば還暦が二回味わえるんだぁ」


「因みに百二十歳は大還暦って言うんだ。まぁ一ノ瀬ならそれぐらい余裕で生きれるんじゃね?」


「そう思う? よーし、じゃあ長寿祝い完全制覇目指そっと」


「じゃあ天寿までがんばれ」


「天寿? よくわからないけど頑張る!」


(天寿は二五〇歳なのだけれど……)



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