雑学部!!

白兎

好感の心理学(前編)



「貴様はッ! 天草新里あまくさ しんり!」


 脳に電撃でも食らったかのように哲司は天草新里を指さした。
 最初は誰だと思った俺も、哲司の指さした方向と周りの反応から誰のことを言っているのかすぐに分かった。 
 改札を出てきた三人の少女の内最後に出てきた少女、黒髪ショートで眼鏡をかけた女の子。


「で、誰だ?」
「う、い、いや俺の知り合いだ。気を付けろ。奴は見かけによらず恐ろしいぞ」
「見かけって言われても……」


 見た感じクール系美少女なんだけど。
 こそこそと話す俺と哲司を尻目に、久賀は緊張しながら話を進める。


「じゃあそろそろ行こうか。自己紹介とかは店でやろう」
「ていうか普通現地集合じゃないのか?」
「みんなこの辺初めてだから案内も兼ねてってことで」


 なるほど。よく分からんけどここは久賀に従っておこう。
 ということで近くのカラオケに移動。ってカラオケかよ、マジかよ。作戦変更、久賀の恋愛を成就させるのは後回し、まずは如何にして歌わずに済むかを考えよう。


 カラオケ~入店~


 自己紹介は意外にもすんなり終わった。俺以外は。趣味ってなんだよ。なんでそこまで言う必要あるの?
 ポニーテールの少女は今井加奈いまい かな、ゆるふわウェーブの子は紅井雫あかい しずく。一つ歳下の少女はどちらも今時の少女と言った感じだった。俺的には紅井さんが好み。なんか萌える。
 哲司の哲学論や自慢話、久賀の楽しい会話。こいつら合コン慣れしてないか?


 ただ、それと同時に気になったことがある。
 今井はなんか哲司と同じタイミングで飲食するし、元気だけどなんか無理してる感あるし、久賀の話を天草は完全無視、それどころか今井をフォローしてるし。
 紅井さんはさっきから食べてばっかりだし……かわいい。


「すいません。お化粧直ししてきます」
「あ、私もー。雫もいこ」
「わかった」


 おーこれが作戦タイムとか言うやつか。
 三人が部屋の外へと出て良き、残ったのは男三人。


「で、久賀の狙いは?」
「そ、その……天草さんですけど」
「はぁ!? 貴様正気か!?」
「哲司うっせぇ」


 もじもじと答える久賀。まぁ予想出来てたけど、哲司の反応からしてどうなんだ、天草って奴。
 あと、そんな久賀にはかわいそうな話があるんだが……どうしよう伝えた方が良いのか?


「おい哲司ちょっといいか?」
「なんだ津樂達也。別にこそこそしなくても気になっている紅井君はこの場にはいないぞ」
「べ、別に気になってねぇーし! ちょっとポッキー食べる姿とか小動物みたいで可愛いなとか思ってただけだし! ……じゃなくて、ちょっと話があるんだけど」
「なんだ?」


 もじもじしながら呼吸を整える久賀を尻目に、哲司は俺の話に耳を傾けた。


 後編に続く。




 ……え、続くの?
 

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