雑学部!!

白兎

コカ・コーラの雑学

「今日は俺ちょっと早く帰るわ」


 放課後の雑学部、相変わらずの風景で、津樂はその場にいる一ノ瀬と霧崎にそう言った。


「何か用事?」
「あぁ、ちょっと哲司の奴が合コンに誘われたらしいんだけど、その合コンに俺を連れてくとかほざいたせいで俺も行くことになった」


 まさかの返答に、一ノ瀬は津樂の方を見たままフリーズ。


「彼も策士ね。自分より低い人を連れて行けば自分を引きたてれるものね」
「残念だったな。俺は哲司には負けてない顔だと思っている」
「自分で言っちゃうんだ。それにしても意外だね。達也くんが合コンとか似合わないけど」
「侵害だな。こう見えて合コンで盛り上がりそうな話の一つや二つはある」
「無駄知識は豊富だものね」


 一ノ瀬は哲司との対決を思い出して苦笑い。


「まぁでも、達也くんみたいなのがいたら話題には困らなそうだよね。あ、そうだ。じゃあちょっと練習しとく?」


 一ノ瀬の突然な提案に、津樂は少し考えた後、その案に乗ることにし、一ノ瀬の前に椅子を置いた。


「一対一っていうのも変だけど……ゴホンッ。私は一ノ瀬 楓。趣味は運動、好きな食べ物はクレープです」
「え~俺は津樂達也。趣味は……特にないな……好きな食べ物……よ、羊羹?」
「なんで疑問形? ていうか自分のことなのになんで自信なさげなの」
「それに答えた内容もつまらない返答だったわね」


 冷ややかな表情の霧崎に、津樂は悪かったなと呟いて、


「俺の紹介なんてどうでもいいだろ。要は会話を盛り上げればいい」
「知らないかもしれないけれど、人が人を判断するのはほとんどが第一印象よ。あなたを見て反応するのは警察ぐらいだわ」
「悪人顔って言いたいのそれ?」


 いつもの二人に、一ノ瀬はまぁまぁと前置きし、


「じゃあ、どんな感じで話を盛り上げるの?」
「そうだな……例えば、飲み物でコカコーラ頼だろ? コカ・コーラのコカってコカインのコカって知ってたか? 今は含まれてないけど、当初はコカインは禁止薬物じゃなくてな、コカ・コーラを作った人は薬剤師で、コカの葉を入れていたそうだ」
「へぇ~そうなんだ」


 感心する一ノ瀬に、霧崎は一言。


「いきなりうんちくを話す男は嫌だと思うのだけれど」


 霧崎の一言に、津樂は言い返せなかった。

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