雑学部!!

白兎

野球の雑学

「達也くーん。ボールそっちに行ったよー」


 今日の活動は、野球部の手伝いだ。三人とも体操服に着替え、ボール拾いをしている。


「めんどくせー」


「ほらほら、もうすぐ休憩なんだからしっかり!」


 めんどくさそうにボールを拾う津楽に一ノ瀬が喝を入れる。


「それはあいつに言ってくんない?」


 注意する一ノ瀬に津楽は視線をベンチに向ける。そこにはベンチで座る霧崎がいた。


「霧崎さんは仕方がないよ。開始十分でへばってたし」


「十分休憩ー」


「やっとか」


 休憩の合図に嬉しそうにする津楽に、一ノ瀬は仕方がないなと言わんばかりの表情を浮かべる。


「お疲れ様。ごめんなさいね。任せてしまって」


 帰ってきた一ノ瀬と津楽に霧崎は申し訳ないようにする。


「いいよいいよ。体動かすの好きだし」


「俺はそうでもないんだが」


 元気が余っている一ノ瀬と今にも倒れそうな津楽。津楽は一ノ瀬に目をやると


「お前よくそんなやる気出るな。暑い上にハードな運動量。何がお前を動かしてるんだ?」


「そんなの決まってるじゃん今年は甲子園に行けるかもって噂されてるんだから、応援したいじゃん。
 それに、野球は好きだし。野球中継とかも見るし」


「へー、意外だな。お前がそんなにも野球が好きなんて」


「結構好きだよ。野球にはいろいろなドラマがあるんだから。始球式とかに好きな芸能人が出るとテンションあがるんだよね。全然違う方向に投げても、打席に立つ人は空振りしてくれるし、そこにも優しさを感じるんだよね」


 熱烈に語る一ノ瀬に津楽が口を挟む。


「始球式に空振りするきっかけを作ったのは大隈重信って知ってた?」


「大隈重信って?」


「そっからかよ。早稲田大学の創設者。
 日本で初めての始球式は明治四十一年の十一月二十二日。早稲田大学の野球部の試合で大隈重信がマウンドに立ったんだ。そこで、大隈重信はボールを向こうに投げればいいのかということで、ボールを転がしたが一塁側にそれてしまったが、打席に立っていた早稲田大学の先頭打者は大隈重信に敬意を表してわざと空振りをしたんだ。それ以来始球式では空振りする風習ができたってわけ」


「風習ってことは、決まりじゃないんだね」


「本気で打ちいく人もいるみたいだ。それでバットに当てたらすごいブーイングが来るだろうな」


「そろそろ始めるぞー」


 先ほどまでの津楽の表情が一変。次の日津楽は立つのもきついほどの筋肉痛に襲われたのであった。

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