雑学部!!

白兎

体感時間の雑学

「で、結局雑学部って何するの?」


 自己紹介を終え、一ノ瀬が二人に雑学部の活動内容について質問する」


「お前なんでうちに来たの?」


 呆れるような顔をして津楽が質問を質問で返すと、一ノ瀬はキラキラと目を輝かせながら、


「だって、なんか楽しそうじゃん。活動内容不明の部活とか私の中の好奇心がくすぐられるよ!」


 熱く語っている一ノ瀬の言葉を遮るように霧崎が口を開く。


「雑学部は、雑務学芸部の略よ。主に先生たちの雑用係ね」


「なんか楽しそう」


 一ノ瀬のまさかの反応に津楽が、「どこがだよ」と嫌な顔をして、


「こんな先生にこき使われるだけの部活、罰ゲームでもなければ入部しないよ普通。雑務学芸部なんて名乗っているけど雑務ばっかで学芸のがの字もないからね」


「じゃぁ二人は何で入部したの?」


 一ノ瀬は二人が入部したのは自分の意志ではないように感じたので二人の入部の経緯を聞いてみる。


「お前、ガンガン来るな。いろいろあったんだよ。いろいろ」


 津楽が暗い顔をすると、何かを察したのか一ノ瀬はそれ以上何も聞かなかった。
 重い空気が漂っていたので霧崎が話題を変える。


「でも、普段は先生から何も言われないから部室で読書しているだけなのだけど」


「それって楽しいの?」


「もともと読書は好きだから。ただ、目の前の人が来てからはより本と向き合うようになったわ」


「それはあれか、視界に俺を入れたくないあまりに本に逃げていたという遠回しな悪口か」


「あら、誰もそんなことは言ってないわ。被害妄想が激しいわよ。それに逃げたという表現は適切ではないわ。本の世界に一時避難したというところかしら」


「まぁ、俺は退屈だな。いつも早く終わらねぇかなって思ってる」


 まったく覇気のない態度に一ノ瀬は異議を唱えるように立ち上がり


「駄目だよそんな考えは。卒業なんて思ってるよりすぐ来るんだから、一分一秒を楽しまないと。私もちょっと前まで小学生だったのにもう高二だよ。時間の流れは早いんだから」


「ジャネーの法則だな」


「ジャネーの法則?」


 いきなり知らない単語を言う津楽に一ノ瀬はそのまま復唱してしまう。


「歳を取れば取るほど時間の流れが短くなる心理的現象のことだよ。同じことを繰り返ししてると脳が記憶をそのまま重ねるとか、心拍数の減少とかが原因らしい」


 ジャネーの法則について話すと、一ノ瀬は机を力強く叩き、


「遠回しにおばあちゃんなんてひどい!!」


「んなこと言ってねぇよ!?」


 腑に落ちない怒られ方をした津楽であった。



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