生意気な義弟ができました。
生意気な義弟ができました。〈年越し編 その1〉
「おにーさん、飲みすぎなんじゃない?」
スマホを片手にリビングに戻ってきた零央が、お酒の缶を握ってこたつでぼーっとする俺を見て言った。
「んなことないー…」
俺がそっぽを向いて返事すれば、零央は同じようにこたつに足を入れてから、俺の握る缶を取り上げた。
「あ、おい…まだ半分残ってる…」
「知ってる、これ以上飲んだらおにーさん年越す前に潰れて寝ちゃうでしょ」
「…あと10分くらいじゃんか」
それくらい起きてられるのに、零央はお酒を返してくれる様子はない。零央の方が呑んでいるはずなのに、あまり酔っていなさそうなのがやはりムカつく。
「…こたつ狭い…」
「二人だからちっちゃいのでいいって言ったのおにーさんでしょ。いいじゃんくっつけて」
そう言って笑うので、俺はまたそっぽを向いた。
「おにーさん、さっきからなに拗ねてんの」
「……別に」
目を合わせずに短く答えれば、零央は俺から取り上げたお酒をコトリと置いてから、こっち向いて、と一言かけてきた。それも無視して黙っていれば、突然耳にぬるっとした生温い感触が触れた。
「っ、ちょ、なんだよいきなり…っ」
零央は俺の頭を掴んで、耳を舐めたり、時には甘噛みしたりして弄んだ。その度にぞくぞくと背筋にいやな感覚が走る。
「んっ、やめ、ろってぇ…」
「…どう?えっちしたくなった?」
そう耳元でつぶやかれて、またぞくりと俺は肩を震わせた。
「ふ、ふざけるな…っ」
俺がやっと零央を引き剥がすと、零央は楽しそうに笑っていた。
「なに拗ねてんのか教えてって」
「…………だから何もないって…」
俺はまた目を逸らしてそう答えた。するとその瞬間、不意をつくように零央に唇を奪われた。
「っん、………ぁ、や、」
抵抗する間もなく、あっという間に零央の舌が侵入してきて慣れたように俺の弱いところばかり撫でる。こうなると、いつも俺は力が抜けてしまって零央にされるがままだ。
長いキスを終え、酒の力も相まってぼーっと零央を見つめていると、零央はまた笑った。
「……い、いっつも余裕そうでほんとムカつく…」
「なに、そんなことで拗ねてたわけ?」
「ち、ちがう」
「じゃあなに」
そう問われて、なんだか俺も答えないわけにはいかないような気がしてきてしまった。
「…………さっきから、電話ばっかで向こう行っちゃうから…ちょっとムカついてた、だけ…」
俺が目を泳がせながらそう小さな声でつぶやくと、零央はしばらくしてから、クスクスと笑いだした。
「ごめんって、上司とか同僚とか、仕事関係の人からめちゃくちゃ連絡来ててさ。構って欲しいなら素直にそう言えばいいのに」
「か、構って欲しいとかじゃないけど…!」
「はいはい、ほんと素直じゃないなーおにーさん。あとでたっぷり可愛がってあげるからさ」
含みのある笑みを浮かべてそう言うので、俺は思わずびくりと肩を震わせた。そんなの求めてない、と言おうと口を開いた瞬間、横に置いていたスマホのアラームが軽快に鳴り響いた。
「あっ、年明けた!」
24時にセットしていたアラームが、年明けを報せる。零央はそれを止めると、ちゅ、と軽く唇を触れるだけのキスをしてきた。
「今年もよろしくね、おにーさん」
相変わらず整った顔に近距離でそう微笑まれて、俺の顔は自然と熱くなる。
「………よ、よろしく、お願いします」
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