桜の花道

クロム ジェル

目覚め

   目覚ましが鳴り朝を知らせてくれる。
あのままなら、ラジオ体操に行ってから朝食を食べて親友の雪ちゃんと遊びに行く約束していたのになぁと思いながら重たい身体を持ち上げるつもりだった。
「あれ?身体が軽い」
周りを見渡すと私の部屋、あの狭い監獄ではなく、子供の時の姿で睡眠を取った昔の部屋だ。
まだ、夢の続きなのだろう。
それなら予定通りに行動して夢の世界楽しめる。
とりあえず、ラジオ体操に行こうと思い立ちタンスから服を出し着替えて歯を磨いて家を出た。




「…葉…ーい、…和……」
遊歩道を通り公園に向かう途中信号に引っ掛かり押しボタンを押して待って居ると後ろから抱きつかれる。
突然の出来事でビックリしながらも振り向くとそこには、雪ちゃんが居た。
「雪ちゃんかぁ、良かったー!小ちゃいままだぁ」
「小ちゃいってなによ!あまり変わらないでしょ!もぅ!」
「ごめんごめん、んでいきなりどうしたん?」
「いきなりじゃないよ!さっきから呼んでるのに気づかないんだもん!」
そうだっけと言いながら懐かしい雰囲気に顔が緩む。
雪ちゃんとは家が近くて幼馴染の同級生、幼稚園の時から仲が良く大学まで一緒になるとは思って居なかったけれど、この娘のおかげで楽しかったし、あの病気にかかっても治る事を信じて頑張れた。私の唯一無二の親友だと言える。
「何変な顔してこっち見てんのよ!」
「何もないちゃ」
そう言い信号が青に変わった為歩き始めた私を雪ちゃんは納得がいかないような顔をしながらも追いかけ横に並びたわいも無い話をしながら公園へ向かった。


ラジオ体操は代わり映えしなくラジオ体操第二までやり終えると、小学校で配られたスタンプカードを判子を押してくれる六年生のところへ持っていき雪ちゃんと2人で話しながら帰路についた。
「ねぇ、ねぇ、なんか雰囲気変わった?」
雪ちゃんの一言に反射的にそんな事ないよと言ってしまった。
「ん?まぁ、なんか大人な感じがしたから聞いて見たんだけど、なんもないのかぁ…」
あっ、そうか、雪ちゃんは小さい頃からみんなより背が伸びなくて高校の時に伸び始めたし、小さいのがコンプレックスだったもんね。
「高校生になったら伸びるから今は小さくて可愛いままでいいよ!」
「なんでそんな事わかんのよ!伸びないかもしれないし、雰囲気と身長は関係ないでしょ!」
「年相応が雪ちゃんの良いところだちゃ」
別れる場所に着いたためまた後でと言い家方面へ向かう。
「10時に自転車で第三公園だからねー!」
右手を挙げてわかってるよと言い振り返ると雪ちゃんは振り切れんばかりに右手を笑顔で振っていた。

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