君と俺の一年

星河☆

エピローグ 5年後・・・

 「星河先生~! こちらにもポーズをお願いします!」
俺は鈴木星河。
 職業は小説家だ。
 っていうか今日、デビューした。
 小説の名前は『君と俺の一年』だ。


 「星河先生! この小説は実体験を基に書かれた小説なんですよね?」
記者が俺に質問を求めて聞いた。


 「はい。私が高校生の時の話です。男が恋愛物を書くって少し珍しいですけどね」
俺は笑いながら記者の質問に答えた。


 「では、物語の最後に手術をした後に亡くなってしまうというのは書くの辛かったんじゃないですか?」


 そう。俺の小説の最後にまりあが死んでしまう………


 手術は成功するが、後に死んでしまった。


 「まあ、そうですね……」
俺はそう答えると
 「皆さん! 後は小説を読んでください!」


司会者がそう言って記者会見を切り上げた。


 司会者というのが俺の唯一無二の大親友、匠だ。


 「お疲れ様先生・・! 星河が小説家か……まさか本当になるとはな……」


匠は笑ってそう言った。


 今の俺はそこそこ充実している。
 高校時代に学んだ事をしっかり活かして小説家人生を送りたい……


 控え室に戻るとまりあのお母さんが居た。
 「お母さん……来てくれてたんですか……」
 「うん! 星河君のせっかくの晴れ舞台だもの! まりあも喜んでると思うわ」
お母さんはそう言って黙り込んだ。
 「そうですね! ありがとうございます!!」
そう言って頭を下げた。




 後の記者会見は順調に終わり、俺の家でデビューのお祝いをするので匠と一緒に向かっていた。
 奈津美と由美は先に俺の家に居る。
 「由美とは順調か?」
俺が匠に聞いた。
 匠と由美は去年結婚した。
 お似合いのカップルだ。
 「まぁな! たまにケンカするけどな」
そう言って匠は笑った。
 「お前はどうなんだ?」
匠が俺に聞いてきた。


 フィクションって必ずしも正確に書かなければいけないわけではない。




 「ただいま~!」


 実は俺の小説には少し手を加えてある。
 まりあは手術が成功して、植物状態から奇跡的に目が覚めた。
 白血病を完全に治して。
 俺の願いが届いた。
 まりあの願いが届いた。
 そしてまりあは退院し、一緒に高校を卒業した。
 そして20歳の時、俺はまりあにプロポーズした。
 その答えは……


 「お帰り! 星河! お疲れ様!」
満面の笑みでまりあが迎えてくれた・・・・・・

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