君と俺の一年

星河☆

怒られてしまった・・・

 由美の突然の告白の翌日……




 「おはよう! 今日はもう大丈夫なの?」
8時半にまりあの家に着き、もう外に出ていたまりあに俺が聞くと
 「うん。もう大丈夫。ありがとう。」
そう言って歩き始めた。




 5分程歩くと突然まりあが
 「あのさ……こんな事聞くのはあれなんだけど……佐藤さんって星河君とお付き合いしてるの?」
首を傾げて小さい声で聞いてきた。
 首を傾げる姿も可愛い……
見とれている場合じゃなかった!! 否定しないと……


 「ううん。由美はただの友達だよ。中学が一緒だったんだ」
そう言うとふぅんと言ってまた俯いてしまった。しかし直ぐに顔を上げて
 「でもさ……私が言うのも何だけど……佐藤さんって星河君の事好きなんじゃない?」
今日のまりあどうしてんだろう……良くしゃべる……
俺的には凄く嬉しいけど……
 「まぁ、それは無いんじゃない? 由美とは仲良いけどそんな事無いよ」
昨日告られたなんて口が裂けても言えない。
 「そうなんだ……」
再びまりあは俯いてしまった。




 10分程して匠達との待ち合わせ場所に着いた。
今日も奈津美は居なかった。


 「よう! 今日も奈津美は休み?」
俺が匠に聞くと
 「まぁね……でも治ってるんだけど今日は念のため休むって言ってさ……」
匠がそう言って三人で歩き始めた。
 まりあは口を閉じている。






 学校に着き、教室に入ると由美と目が合ってしまった。
 由美は直ぐに目を逸らして席に座ってしまった。
 まりあはその様子を見ていて怪訝そうに俺を見つめている。
 俺がまりあに目を向けると直ぐに目を逸らし、座った。






 HRが始まり、前田が
 「今日は実行委員の集まり無いみたいだからな~」
俺とまりあにそう言って出席を取り始めた。






 二時限目の理科の教室に向かう途中に
 「お前佐藤と何かあったのか?」
一緒に理科の教室に向かっていた匠が俺に聞いてきた。


 「何でだよ?」
俺がそう返すと
 「いや、なんとなく……星河の様子も佐藤の様子も何か変だからさ……」
匠はそういう所にも目が行く。


 「昼に屋上で話すよ」
そう言ってその場は終わった。






 今日の理科の授業は質量保存の法則の実験だった。
 適当に先生が一人一人席を決めて席に着かせた。
 俺のグループは俺、まりあ、高木、そして……
 「先生……頭が痛いので保健室に行っても良いですか?」
そう、由美だ……
 とことん俺を避けたいみたいだ。
 由美が教室を出ると
 いつもよりも小さい声でまりあが
 「星河君……何かあったの?」
恥ずかしがり屋のはずなのにこの時は俺の目を真っ直ぐ見ている。
 まりあも何か変だと感じ取っているのか……
 「何にもないよ。本当に頭が痛いんじゃないのかな?」
俺がニッコリ笑いながら言うとまりあが慌てて目を逸らした。
 目をずっと合わせていたことにやっと気づいたみたいだ。
 もっと目を合わせていたかったのに……(笑)






やっと昼になり、屋上へ行くと
 「遅いぞ~」
匠が手を上げた。
 「お前がいつも早すぎるんだよ!」
俺が一蹴すると匠が笑った。




 「で、何があったんだ?」
食堂で買った弁当を食べていると匠が聞いてきた。
 昨日あった事を話すと


 「やっぱりか……」
そう言って匠は頭を抱えた。そして続けて
 「実はさ……佐藤に相談されてたんだよね……星河に告りたいって言われて相談されてさ……最初は良いんじゃない? って言ったんだけど渡辺が来てからマズイかなと思って止めとけって言ったんだけど……言っちゃったか……」


 匠に相談してたのか……昨日俺が送っちゃったからかな……
匠にそう聞くと
 「それもあるんじゃない? あいつが昨日星河と一緒に渡辺の家に行くって言った時からヤバイなって思ったんだけどさ……まぁ、俺が何とか言っておいてやるよ! お前は断れない奴だからな!」
匠はそう言うと残りの弁当を一気にかきこんだ。


 俺は弁当を食べずにずっと考えていた……
どうすれば良いかを……






そんなこんなで一日が終わり、今日は実行委員の集まりが無いので匠、まりあと一緒に帰る事になった。




 「じゃあ、また明日な!」
分かれ道になり、匠が言うと
 「あのさ……奈津美ちゃんのお見舞い行っても良い?」
まりあが突然言った。
 俺と匠がビックリしていると
 「あ、ごめんさない……迷惑なら良いんです……」
そう言って俯いてしまった。
 俺は匠にアイコンタクトすると匠は頷いて
 「奈津美も喜ぶよ! 星河も来いよ!」
するとまりあは顔をほころばせてありがとう。と言った。




 匠の家に着き、中に入ると
 「お兄ちゃんお帰り! あ! 星河兄ちゃんとまりあ姉ちゃん!」
階段から降りてきた奈津美が俺とまりあを見て驚きながら言った。
 「奈津美! お見舞い来てやったぞ!」
俺がそう言うと奈津美は笑って
 「本当は来る予定なんて無かったくせに!」
そう言って俺に肘付きをした。




リビングに行くと匠の母親の美佐みさが居た。


 「あら、星河! いらっしゃい! あれ? その子は噂の美人転校生?」
美佐が言うとまりあは顔を赤くして
 「こんにちは……渡辺まりあです」
やはり小さい声で言うと
 「奈津美から聞いてるわ! いらっしゃい!」
そう言ってお茶を出してくれた。




 「お兄ちゃんと星河兄ちゃんはお兄ちゃんの部屋にでも行ってなさい! 女の子同士話があるんだから!」
奈津美が笑いながら言うと俺と匠、まりあは苦笑した。




 二階の匠の部屋に行くと
 「女同士の話って何だよなぁ?」
俺に同意を求めてきた。




 一時間程俺は匠とテレビゲームをしていると
 「まりあ姉ちゃんもう帰るって~」
下から奈津美の声がして匠と下に行き
 「もうちょっと居れば良いのに」
匠が言うと
 「居たいけどもう帰らないと……」
小さい声でまりあが言った。




 「じゃあ、俺も帰るから! 奈津美! 明日は学校来いよ!」
そう言って家を出た。




 少し歩いた所で
 「女同士の話ってなんだったの?」
俺が聞くとまりあは笑って
 「女同士の話に男子は口出しちゃダメ」
俺の方を見て言った。
 こんなに笑顔のまりあ初めて見た……


 俺がまりあの横顔に見とれていると
 「そういえば佐藤さんと何があったのか教えて……」
やっぱり気になってたのか……
 まりあには知られたくはないが誤魔化していると嫌われるかもしれない……




 昨日あった事を話すと
 「そうだったんだ……星河君てモテるんだね……」
全て話すと小さい声でそう言った。
 「告られるなんて初めてだよ……俺なんて全然モテないよ?」
少し笑いながら言うと
 「それでどうするの?」
そこが重要なんだよな~……
俺は本当に断れないし、そういうの苦手なんだよな……


 「匠が何とかしてくれるって言ってたからそれを待つしかないかな……」
俺がそう言うと少し怒ったような顔で
 「勇気を持って告白してくれた子に人を使ってどうにかしようなんてそんな事しちゃダメだよ!」
まりあがこんな事言うなんて……
 俺が呆気に取られていると
 「あ、ごめん……」
そう言って俯いてしまった。


 「ううん。まりあは悪くないよ……俺が勇気無いだけかもしれないな……」
そう俺に勇気がないだけだ……
 まりあの言うとおりちゃんと自分で言わなきゃいけない……
 まりあが顔を上げて俺にじゃあどうするの? というような顔をしてきた。


 「頑張って俺が断れるようにするよ」
そう言うとまりあがえ? というような顔をして
 「断るの!? え? だって星河君って佐藤さんの事好きなんじゃないの?」
目を丸くして言う。


 「どこでそんな話聞いたの? 俺そんな事言ってないよ?」
俺が少し笑いながら言うと
 「そうなんだ……」
良かった……


まりあの最後の言った言葉は少し聞き取りずらかったがそう聞こえた気がする……
何が良かったんだろう……




 こうしてまりあの家の前に着き
 「じゃあ明日ね!」
俺がそう言うとうん。ばいばいと言った後
 「佐藤さんに自分で言うって約束してね!」
まりあがそう言うと俺は、うん。約束する
 そう言うとまりあは家に入っていった。


 まりあが少しづつだけど話してくれるようになったかな……




 でも今は取り合えず由美の事をどうにかしないと……




 家に着き、リビングに行くと母の由香ゆかと父のたけしが座って話していた。


 「ただいま~」
そう言って冷蔵庫を開けて牛乳を飲んでいると(ちなみに俺は身長が160しかない)
 「星河! お前何かあったな? 昨日から少しおかしいぞ?」
父さんがそう聞いてきた。
 俺の家族とは何でも話せる仲なので告られた事を話し、断りたい事を話すと
 「まぁ、それはあれだな。母さんに聞いてみろ! 父さんは母さんに振られまくった」
笑いながら言い、母さんに話を振ると
 「好きな子が他に居るんだったらそれを正直に言いなさい。居ないけどその子を断りたいならちゃんと相手の目をみてちゃんと謝りなさい。どちらにしても勇気を持って告白してくれた子を絶対に辱める真似だけはやめなさいね? 告白してくれた子にちゃんと感謝の気持ちだけは持つのよ」
まりあと同じような事を言った。
しかし、そんな簡単にいったら苦労しない…… 
 「ありがとう! 参考にするよ!」
そう言って俺は自室に行った。




 感謝の気持ちか……
ちゃんと由美に伝わるかな……


 その日の夜に匠に
 「由美には俺が自分で言うから匠は何も言わなくていいから」
そうメールした……


 ちゃんと伝えられるように言葉考えておこう……



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