全財産百兆円の男
結婚
「退院おめでとうございます」
西田と斉藤が声を合わせて言った。
「亨、これからはきちんと健康管理をしてね」
佐藤が続けてそう言った。
「真奈美、ありがとう。西田も斉藤もありがとう。真奈美、婚姻届持ってるよね?」
「もちのろんよ」
「じゃあ西田、区役所に向かってくれ」
「かしこまりました」
斉藤は中型免許を持っていない為西田が運転する。
三十分程で千代田区役所に着いた。
「行こっか」
「うん」
「いってらっしゃいませ」
西田が頭を下げて駐車場から見送った。
戸籍係に着いた二人は係員の前に来ると婚姻届を出した。
「お願いします」
「かしこまりました。身分証明書をお願いします」
「はい」
亨は運転免許証を出し、佐藤はマイナンバーを提出した。
「ありがとうございます。少々お待ち下さい」
二人は返事をして後ろにある椅子に座った。
十分程で亨の名字が呼ばれた。
「お待たせ致しました。手続きは完了しました。こちら身分証です。ご結婚おめでとうございます」
「ありがとうございました」
二人は夫婦となった。
「これからよろしくね真奈美」
「うん。こちらこそよろしく」
二人は駐車場に戻った。
「ご結婚おめでとうございます」
西田と斉藤が頭を下げた。
「ありがとう。これからもよろしくな西田、斉藤」
「はい。頑張ります」
西田は我が子が結婚したような顔で二人を眺めた。
二人は斉藤が開けたドアからリムジンに乗り、斉藤が運転して家に帰った。
家に着いた亨たちは家に入ると全ての執事、メイドが揃っていて一斉に頭を下げた。
「旦那様、奥様、ご退院おめでとうございます。そしてご結婚おめでとうございます」
代表して橋本が言った。
「ありがとうみんな。これからもよろしく。西岡は後でリビングに来てくれ」
「かしこまりました」
西岡はそう言うと頭を下げた。
亨は自室に行って荷物を置き、真奈美は部屋に残り、亨はリビングに下りた。
「お待たせ致しました」
西岡が亨のもとにやってきた。
「納屋の改装の件なんだけど悪かったな三ヶ月も待たせちまって」
亨がそう言うと西岡は頭を振った。
「そんな。仕方ない事ですから」
「今日設計士の先生呼んでるから」
亨はそう言うと腕時計を見た。
「もうそろそろ来ると思うんだけどな」
するとインターホンの音が鳴った。
執事の一人、香川翔が出た。
「旦那様、設計士の方がお見えになりました」
「通してくれ」
香川が分かりましたと返事をして出ていった。
「西岡、鹿島――じゃなくて優も呼んだ方が良いんじゃないか」
「はい。すぐ呼んできます」
西岡は走ってメイド控室に向かった。
「甲斐様ですね? 私設計士の貝塚直巳と申します。どうぞよろしくお願いします」
貝塚が挨拶すると名刺を出してきた。
「ありがとうございます。甲斐亨です。よろしくお願いします」
亨も挨拶をして名刺を出した。
するとそこに西岡と優がやってきた。
「こちらの方が納屋に住まわれる方ですね?」
「はい。西岡裕也です。こっちは妻の優です。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします。では早速予算とどんな間取りにしたいかお伺いしたいのですが」
「はい――」
話し合いが始まった。
亨は関係ないので少し離れたところでタバコを吸っていた。
橋本が貝塚の分のお茶と和菓子を持ってきた。
「ありがとうございます」
貝塚はお礼を言うとお茶を一口飲んだ。
話し合いが進んでいくが亨はやる事がないので自分の部屋に戻った。
「亨、何時から犬見に行くの?」
真奈美が亨に聞いた。
「今の設計士の先生との話し合いが終わったらだな」
「分かった」
「どんな犬が良い?」
「室内で飼える犬が良いな」
「俺もそう思ってた」
亨は近くのペットショップを調べようとスマホを取り出して調べた。
「この近くだと神田須田町にあるね」
亨はそう言うとスマホの画面を真奈美に見せた。
「じゃあそこに行こうか」
「そだねー」
「もう流行ってないよ」
「すんません」
二年前のオリンピックで流行った『そだねー』が不発に終わった亨はタバコに火を付けて吸い始めた。
「すぐタバコに逃げる」
真奈美は笑いながらそう言うとパソコンを開いた。
「何してるの?」
「仕事」
「記者は大変だねー」
「まぁね」
するとドアがノックされた。
「はーい」
亨が返事をすると西田が入ってきた。
「会長、一回目の話し合いが終わりました」
「分かった。すぐ行く。真奈美、準備しておいてね」
「うん。分かった」
亨は西田とリビングに下りた。
「甲斐様、本日はこれで失礼致します」
貝塚がそう言うと頭を下げた。
「ありがとうございました。またよろしくお願いします」
「西田さんからお聞きしましたが次からは西岡様とお話を進めて宜しいんですよね?」
「はい。よろしくお願いします」
亨は頭を下げた。
「西田、真奈美とペットショップ行くから車出してくれ」
貝塚が出ていった後亨が西田に言うと頭を下げて返事をした。
「真奈美、行くよ」
亨が自室に行き、真奈美に言うと待ってましたと言わんばかりに張り切って部屋を出た。
リムジンに乗り込んだ二人は西田の運転のもとペットショップに向かった。
「俺インコも欲しいんだよね」
車の中で亨が言うと真奈美はこう答えた。
「別に良いけどちゃんと面倒見れるかな?」
「俺一応大人だけど――」
「分かってるよ。でも今は犬だけにしよう? ね?」
「分かった――」
亨は少しふてくされたような顔をした。
すると真奈美は笑って軽く亨の顔を叩いた。
「到着しました」
西田がドアを開けて言った。
二人は車から降りて店に向かおうとした瞬間。
「ちょっとお客さん! リムジンでなんて困りますよ」
エプロンを着た店員がやってきた。
「大変申し訳ございません。すぐにどかします。会長、近くを走っていますので終わったらご連絡下さい」
「あぁ、分かった」
西田は車に乗り、走っていった。
「さぁ、いらっしゃいませ」
店員は笑顔でそう言うと二人を店に案内した。
「今回はどのような子をお探しですか?」
「室内犬を探してるんですけど」
「それでしたらこちらになります」
店員に案内され、犬が展示してある場所に来た。
「トイプードル良いね」
「だねー。可愛い」
亨がトイプードルを指さして言うと真奈美も賛同した。
「トイプードルになさいますとトリミングが頻繁に必要になり費用がかさみますが、毛が抜けにくく臭いもあまりしないのでお勧めですよ」
店員が説明した。
「なるほどー」
「トイプードル良いんじゃない?」
「ね。じゃあこの子お願いします」
「かしこまりました。二十八万円になりますが宜しいですか?」
「はい。後必要な物一式お願いします」
「かしこまりました。少々お待ち下さい」
店員は必要な物を見繕って持ってきた。
「こちらゲージと首輪、食器、ドッグフード、トイレマット、リードです。占めて三十一万四千円です」
亨は現金で支払い、トイプードルをゲージに入れて受け取った。
「この子は男の子なのでよろしくお願いしますね」
「はい。ありがとうございました」
亨は真奈美にゲージを渡して西田に電話した。
暫くすると西田が運転するリムジンが駐車場にやってきた。
「お待たせ致しました」
西田がドアを開け、二人は入った。
「この子の名前何にする? 男の子だったよね」
「うん。もう考えてるんだ。マスタング。どう?」
「何でマスタングなの?」
「俺の好きな漫画の登場人物なんだー」
「そうなんだ。まぁ良いんじゃない?」
「よーし。お前は今日からマスタングだ」
マスタングにそう言うとマスタングは理解した様子で一回吠えた。
家に着いた二人は西田に荷物を持ってもらい、マスタングはゲージに入れたまま自室に入った。
「こちらに置いておいて大丈夫ですか?」
「あぁ。ありがとう」
「では失礼します」
亨はマスタングをゲージから出して首輪を付けた。
すると慣れない部屋だからか、少し臆病になっている。
「少しづつで良いからなー」
亨はそう言ってマスタングを撫でた。
西田と斉藤が声を合わせて言った。
「亨、これからはきちんと健康管理をしてね」
佐藤が続けてそう言った。
「真奈美、ありがとう。西田も斉藤もありがとう。真奈美、婚姻届持ってるよね?」
「もちのろんよ」
「じゃあ西田、区役所に向かってくれ」
「かしこまりました」
斉藤は中型免許を持っていない為西田が運転する。
三十分程で千代田区役所に着いた。
「行こっか」
「うん」
「いってらっしゃいませ」
西田が頭を下げて駐車場から見送った。
戸籍係に着いた二人は係員の前に来ると婚姻届を出した。
「お願いします」
「かしこまりました。身分証明書をお願いします」
「はい」
亨は運転免許証を出し、佐藤はマイナンバーを提出した。
「ありがとうございます。少々お待ち下さい」
二人は返事をして後ろにある椅子に座った。
十分程で亨の名字が呼ばれた。
「お待たせ致しました。手続きは完了しました。こちら身分証です。ご結婚おめでとうございます」
「ありがとうございました」
二人は夫婦となった。
「これからよろしくね真奈美」
「うん。こちらこそよろしく」
二人は駐車場に戻った。
「ご結婚おめでとうございます」
西田と斉藤が頭を下げた。
「ありがとう。これからもよろしくな西田、斉藤」
「はい。頑張ります」
西田は我が子が結婚したような顔で二人を眺めた。
二人は斉藤が開けたドアからリムジンに乗り、斉藤が運転して家に帰った。
家に着いた亨たちは家に入ると全ての執事、メイドが揃っていて一斉に頭を下げた。
「旦那様、奥様、ご退院おめでとうございます。そしてご結婚おめでとうございます」
代表して橋本が言った。
「ありがとうみんな。これからもよろしく。西岡は後でリビングに来てくれ」
「かしこまりました」
西岡はそう言うと頭を下げた。
亨は自室に行って荷物を置き、真奈美は部屋に残り、亨はリビングに下りた。
「お待たせ致しました」
西岡が亨のもとにやってきた。
「納屋の改装の件なんだけど悪かったな三ヶ月も待たせちまって」
亨がそう言うと西岡は頭を振った。
「そんな。仕方ない事ですから」
「今日設計士の先生呼んでるから」
亨はそう言うと腕時計を見た。
「もうそろそろ来ると思うんだけどな」
するとインターホンの音が鳴った。
執事の一人、香川翔が出た。
「旦那様、設計士の方がお見えになりました」
「通してくれ」
香川が分かりましたと返事をして出ていった。
「西岡、鹿島――じゃなくて優も呼んだ方が良いんじゃないか」
「はい。すぐ呼んできます」
西岡は走ってメイド控室に向かった。
「甲斐様ですね? 私設計士の貝塚直巳と申します。どうぞよろしくお願いします」
貝塚が挨拶すると名刺を出してきた。
「ありがとうございます。甲斐亨です。よろしくお願いします」
亨も挨拶をして名刺を出した。
するとそこに西岡と優がやってきた。
「こちらの方が納屋に住まわれる方ですね?」
「はい。西岡裕也です。こっちは妻の優です。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします。では早速予算とどんな間取りにしたいかお伺いしたいのですが」
「はい――」
話し合いが始まった。
亨は関係ないので少し離れたところでタバコを吸っていた。
橋本が貝塚の分のお茶と和菓子を持ってきた。
「ありがとうございます」
貝塚はお礼を言うとお茶を一口飲んだ。
話し合いが進んでいくが亨はやる事がないので自分の部屋に戻った。
「亨、何時から犬見に行くの?」
真奈美が亨に聞いた。
「今の設計士の先生との話し合いが終わったらだな」
「分かった」
「どんな犬が良い?」
「室内で飼える犬が良いな」
「俺もそう思ってた」
亨は近くのペットショップを調べようとスマホを取り出して調べた。
「この近くだと神田須田町にあるね」
亨はそう言うとスマホの画面を真奈美に見せた。
「じゃあそこに行こうか」
「そだねー」
「もう流行ってないよ」
「すんません」
二年前のオリンピックで流行った『そだねー』が不発に終わった亨はタバコに火を付けて吸い始めた。
「すぐタバコに逃げる」
真奈美は笑いながらそう言うとパソコンを開いた。
「何してるの?」
「仕事」
「記者は大変だねー」
「まぁね」
するとドアがノックされた。
「はーい」
亨が返事をすると西田が入ってきた。
「会長、一回目の話し合いが終わりました」
「分かった。すぐ行く。真奈美、準備しておいてね」
「うん。分かった」
亨は西田とリビングに下りた。
「甲斐様、本日はこれで失礼致します」
貝塚がそう言うと頭を下げた。
「ありがとうございました。またよろしくお願いします」
「西田さんからお聞きしましたが次からは西岡様とお話を進めて宜しいんですよね?」
「はい。よろしくお願いします」
亨は頭を下げた。
「西田、真奈美とペットショップ行くから車出してくれ」
貝塚が出ていった後亨が西田に言うと頭を下げて返事をした。
「真奈美、行くよ」
亨が自室に行き、真奈美に言うと待ってましたと言わんばかりに張り切って部屋を出た。
リムジンに乗り込んだ二人は西田の運転のもとペットショップに向かった。
「俺インコも欲しいんだよね」
車の中で亨が言うと真奈美はこう答えた。
「別に良いけどちゃんと面倒見れるかな?」
「俺一応大人だけど――」
「分かってるよ。でも今は犬だけにしよう? ね?」
「分かった――」
亨は少しふてくされたような顔をした。
すると真奈美は笑って軽く亨の顔を叩いた。
「到着しました」
西田がドアを開けて言った。
二人は車から降りて店に向かおうとした瞬間。
「ちょっとお客さん! リムジンでなんて困りますよ」
エプロンを着た店員がやってきた。
「大変申し訳ございません。すぐにどかします。会長、近くを走っていますので終わったらご連絡下さい」
「あぁ、分かった」
西田は車に乗り、走っていった。
「さぁ、いらっしゃいませ」
店員は笑顔でそう言うと二人を店に案内した。
「今回はどのような子をお探しですか?」
「室内犬を探してるんですけど」
「それでしたらこちらになります」
店員に案内され、犬が展示してある場所に来た。
「トイプードル良いね」
「だねー。可愛い」
亨がトイプードルを指さして言うと真奈美も賛同した。
「トイプードルになさいますとトリミングが頻繁に必要になり費用がかさみますが、毛が抜けにくく臭いもあまりしないのでお勧めですよ」
店員が説明した。
「なるほどー」
「トイプードル良いんじゃない?」
「ね。じゃあこの子お願いします」
「かしこまりました。二十八万円になりますが宜しいですか?」
「はい。後必要な物一式お願いします」
「かしこまりました。少々お待ち下さい」
店員は必要な物を見繕って持ってきた。
「こちらゲージと首輪、食器、ドッグフード、トイレマット、リードです。占めて三十一万四千円です」
亨は現金で支払い、トイプードルをゲージに入れて受け取った。
「この子は男の子なのでよろしくお願いしますね」
「はい。ありがとうございました」
亨は真奈美にゲージを渡して西田に電話した。
暫くすると西田が運転するリムジンが駐車場にやってきた。
「お待たせ致しました」
西田がドアを開け、二人は入った。
「この子の名前何にする? 男の子だったよね」
「うん。もう考えてるんだ。マスタング。どう?」
「何でマスタングなの?」
「俺の好きな漫画の登場人物なんだー」
「そうなんだ。まぁ良いんじゃない?」
「よーし。お前は今日からマスタングだ」
マスタングにそう言うとマスタングは理解した様子で一回吠えた。
家に着いた二人は西田に荷物を持ってもらい、マスタングはゲージに入れたまま自室に入った。
「こちらに置いておいて大丈夫ですか?」
「あぁ。ありがとう」
「では失礼します」
亨はマスタングをゲージから出して首輪を付けた。
すると慣れない部屋だからか、少し臆病になっている。
「少しづつで良いからなー」
亨はそう言ってマスタングを撫でた。
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