極道検事

タカベ タクト

第一話 乙女達の友情の裁判(捜査編)

第一話 乙女達の友情の裁判(捜査編)

ある高校の昼休み、生徒達の楽しそうな声がしている

昨日のテレビドラマの話をする女子生徒達

「昨日ドラマみた?」

「みたみた!超感動したよね!」

グラウンドでサッカーをする生徒。

「いけいけ、走れ!シュートだシュート!」

そんな中、この高校の屋上から何かが落ちてくる。ゴミ?鉢植え?いや、違う!人だ!この高校の制服を着た髪の長い女の子だ!

ドーーン!!

ガシャーン!!

それまでの笑い声は全て悲鳴にかわった。

「キャーー!!」

「おい、救急車だ!早くしろ!」

「君!?君!?大丈夫か!?」



そのころ、町の都会でスーツを着た茶髪の男が歩いていた。

ドンッ!

その男はヤクザ風の2人組とぶつかってしまった。

「あ、すんません」

しかし、ぶつかられたからなのか、謝り方がいい加減だったからなのかわからないが、2人組の男は茶髪の男を睨みつけ。舎弟の1人が

「あ?てめー兄貴にぶつかっといてすんませんだとコラァッ!!」

と茶髪の男の胸ぐらを掴んだ。すると茶髪の男のスーツの襟にバッジが光っていた。そのバッジを見た兄貴の男が顔を真っ青にして舎弟に

「お、おい…のぶ手をはなせ…」

「え?兄貴どうしたんですか?」

「いいからはなせ!」

と言って舎弟を茶髪の男から引き離した。兄貴の男は茶髪の男に向きなをして

「ど、どうもうちの連れが失礼しました」

と言って歩きだした。

「どうしたんですか、兄貴?あの人兄貴の知り合いですか?」

「バカ!あのバッジが見えなかったのか?あれは検察官のバッジであいつは検事だ!」

それを聞いた舎弟も逃げるように行ってしまった。

「いったいあいつらは何がしたかったんだ?」

とつぶやきながら茶髪の男は襟元を直した。


男は駐車場に行き、車のキーを取り出し車を開けようとしたときに男のスマートフォンの着信がなった。スマートフォンを取りだし画面を見て見ると。赤井刑事と表示されていた。男は不機嫌そうな顔になり通話ではなく拒否のほうを押した。

「無視、無視!どうせまた裁判の依頼だろ、あーめんどくせ」

男は車に乗り込んだ、するとまた着信がなった。また赤井刑事からだ。今度は通話を押し

「なんだよ!さっきからうるせえなてめえ!」

「なんで拒否にするんですか、京極検事。事件ですよ!今どこでなにしてます?裁判所に申請済ませたんで来てくださいよ」

「チッ、余計なことしやがって。さっきまでチンピラかヤクザかわからん奴らに絡まれてた」

「はあ?あなたの実家の組と対立している組とですか?めんどうなことしないでくださいよ」

「バカ!ちげーよ、とにかく行かねーから、じゃーな」

「いやいや!検事でしょあなた!ダメですよ。しかも現場はあなたの妹さんの通う明慶学園ですよ!」

すると男は急に黙りこみ、ため息を一つ吐き

「わかったよ、行くよ。行けばいいんだろ!」

「やっぱり妹さんには弱いですね」

と赤井刑事は笑いながらそう言った。

「てめー後でぶっ飛ばす!」

「いやいや!冗談ですよ!ちょっと京極け」プツッ…

強引に通話を切るとカーナビの目的地をパチンコ店から明慶学園に変えて走りだした。そう、この男がこの物語の主人公、京極武瑠である。


武瑠は小学生のときに父親を殺人事件で亡くし、母親も病気で亡くしてしまった。なので武瑠と妹だけ残され母方の祖父の家に引き取られた。祖父はヤクザの組長であったが、祖父は武瑠と妹を我が子のように可愛がって育ててくれた。おかげで武瑠は大学を卒業し検察官となり、妹は有名な高校に通っている。
武瑠は高速道路に入るとカーナビをテレビに切り替えた。

「昨日のマンションで発生した殺人事件は未だ犯人逮捕に至っておらず警察は捜査を続けています…」

ニュース番組に事件現場が映り女性アナウンサーが報じていた。

「しかし、ここ最近は殺人事件が多いな、おかげでこっちは忙しくてたまったもんじゃないぜ」

武瑠はガムを一粒口に入れるとそう呟いた。ここ5年間で刑事事件は何倍も増加し、さまざまな憲法の改正や法律の改正が行われていた。これまで検察官は捜査を行わなかったが、裁判をより正確かつ短期間で終わらせるため法改正で、検察官も捜査を行うことになった

(事件が増えたから裁判の期間もどんどん短くなっていくし、少年犯罪も増加して少年法も2年前に廃止されたし、どうなっていくんだろうな)

そんなことを考えていると明慶学園の近くに来ていた。学校の周りは警察車両や人がごった返していた。武瑠は警官に検察官の証明書を見せると学校の中に車を停めた。

「ご苦労様です!」

車から降りるとすぐに警官がやって来て現場まで案内すると言ってきた。現場の近くは警察関係者や学校の生徒であふれており現場にいた生徒の聞き込みも始まっていた、それとどこかの新聞社の記者も数人来ていた。

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