屋根裏見たら異世界降臨

ノベルバユーザー198902

8話 第2ラウンドの相手

モンスターの咆哮が体にビリビリ来る。


「ナツ、もし俺の動きが止まったらそれをカバーしてくれないか?」


「うっうん?」


なんで?とは聞かずに了解してくれる。ありがたい事だ。


「【分身魔法】」


魔力を高めつつ、唱えるの光のエフェクトとともにハルキが増えていく。今の魔力じゃ…


「へっ?」


間抜けな声を出したのは当然と言うべきか。何を間違えたのか少しの感覚なのに本体いれて多分だが100人という人数。


「ちょ、ハル!?」


というかこの魔法久しぶりに使ったから調整がままならなかった。魔力がそれほど上がったってことだ。


「ちょ、ハルどんだけ増やせば…」


「いや、ここまで増やすつもり無かった。」


調整が効かないのは想定外だった。


「でもあんまり増やすとペナルティの方が…」


分身魔法。使わなかった理由はただ一つ。分身が殺されるたびにその痛みがハルキにすべて来るからだ。途中で解除してもいいのだがそれまでに受けたダメージを引き継ぐ。死んだ時の痛み。それはつまり大きな隙を生んでしまう。だから基本は使わないのだが


「そこらへんは多分大丈夫。なんか硬くなるやつでダメージは受けないようにする。」


「それならいいけど…」


それでもまだ心配そうな様子だがせっかくした分身を解除する気は無い。このまま戦う。というか軽くやってこれなら本気でやれば…いや今はこれでいいだろう。


「とりあえず…」


ナツは構えてタイミングを、待たせる。


全員が攻めるのは不味い。俺が一人で近接に行き分身には魔法をやってもらおう。


「みんなは魔法を使ってくれ!」


そう言うと同じ声があちこちから聞こえてくる。それを聞き、地面を蹴る。


「ハァァァァァ!」


力を込め、1個の拳に全力注ぐ。もちろん当てるのだがそれは武器に。さらにはバックステップを取るが追いかけてくる。が、それも計画通り。本体のハルキの背後、またはモンスターの背後から膨大な量の紫色の氷柱が飛んでくる。それは避け切ることなく、当たってしまう。


「グルル」


「これでも死なないとは大したものだなぁ。こりゃたまげた。」


「たま…げた?」


氷柱が、串刺しになろうが膝をつくことは無い。と思った瞬間ナツが太刀を振り下ろすのが見える。


「やっと第1ラウンドが終わったかな?」


ついに膝をつきぴくりとも動かなくなったと思えば結晶となり、散る。それでも気は抜かない。いや、抜けないと言うべきか。


「そろそろ出てこいよ。」


「僕たちには叶わないよ。」


そう声をかけると茂みの置くから大人数の男達が出てくる。


「いやーあんたらやるなぁ」


「本当に凄いよ、怪我してるだろ?治療してやるよ。」


そう言うが完全に敵は殺る気満々だ。腰には短剣をぶら下げている。


「あんたら盗賊だろ?信用ならないな。」


「ちっ、戦闘力だけじゃなく洞察力もいいのかい。それなら」


「んっ!?」


殺気の塊が飛んでくる。それを感じ取れなければ即死だったかもしれない。


「これは…矢?お前らの仲間に弓士がいるのか。」


「いや俺らの仲間じゃねぇ。というか今回はアンタらを狙いたくないのだがやらなきゃいけない理由がその弓士とか言う奴だよ。」


「???」


ハルキもナツも頭のなかでこんがらがってしまう。


「何をバラしてるのかな?」


聞いたことある声。懐かしくて落ち着く。


「ちっ違うんだ、どうせ殺すからいいだろ?」


ガサガサと音を立てながら黒い人が見えてくる。それは次第に色が見え、ハッキリと…


「メネル?」


ハルキがもう少しで見えるというところでナツがその誰かに話しかける。嗅覚がいいから匂いで判断したのか。そして今度は視界でハッキリとする。


「メネル!?こんな所に居たのか。」


「何故名前を知っている?」


「何故って冗談やめろよ!」


「何が冗談なのだ?ふざけるのはよせ」


「メネル…なんだよね?なんで?冗談なら本当にやめて!」


「もういい、貴様は私とこいつらで事が足りる。終わらそうか。」


そう言うといつもの弓を構え第2ラウンドがはじまった。

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