君は魔法で僕は剣を…。というか魔力無いんでお願いします(泣)

ノベルバユーザー198902

5話 ゼイスVSアラン

さっきより高まるこの鼓動。血は騒ぎ体には武者震いが起こる。


「これより564期、卒業大会、決勝戦を始める!」


そこには緊張もなく、躊躇いもなく、交わす言葉などはない。


「剣を構えよっ!」


ただ交わすのは視線のみ。


「始めっ!」


息遣いはお互いに聞こえず、息を止め集中力が高まっているのは分かる。
さらに始まっているのに関わらず、1歩も動かず相手の様子を見つめあっている。と思えば同時に動き始めていく。


爆裂破壊バーストクラッシュ


爆裂破壊バーストクラッシュ


剣がぶつかり合うが鉄剣が壊れることは無く、使い手の上手さが見て取れるが押し合いになることはなくアランが後ろへ下がっていく。


「くっ。」


踏みとどまれず、それを悔やみ、歯を立て、唇を噛み締める。


が、ゼイスの攻撃は連撃で受け止めるのがやっとだ。それを全て受け切るとアランから間合いを取る。


「魔力も使えよ」


それは偽りも飾りもない言葉。


表も裏もない。


たった一言。


それに観客達がどよめき、そして次の言葉を待つかのように静まり返るが、それ以上問うことも応える事も無く剣だけをお互い強く握り直す。


1人は高く。高く雄叫びを響かせ


1人はただ静かに。雄叫びを見据えている。


そしてぶつかり合う。響き合うの剣のみ。観客の声も魔法の詠唱の声すら上がらない。が、実力差は違う。分かっていた。だかそれはあまりにも努力じゃ何もできないほどに。あまりにもそれは…滑稽だった。



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