黒猫が通った道
黒猫が通った道
僕の主は死んだ。
車に轢かれて死んだ。
僕が1人の時、何回も通った道で死んだ。 
その道には思い入れがあった。僕の母が死んだ場所だからだ。母が死んでからは1人だった。
僕はある日、その道を通っていた時、主に出会った。あの優しさや温もりを忘れかけていた時に僕に向けられた笑顔は心に刺さった。
それからいつの日か僕は主が散歩しているのを見かける度に後ろからついて行っていた。
それから早2年。僕は4歳を迎えようとしていた。その頃には主の家に家族として向かい入れられ一緒に住み、今日も今日とて散歩について行くのである。
「よーしよしよし、ちゃんと来てるな!」
主はそう言いながら僕の顔を見ると笑って見せた。
僕は主の右後ろを歩いた。今日も一緒に歩けるけて嬉しい。こっそり大きく回って左からびっくりさせちゃおうっと。
その時僕は主のことしか見ていなくて気づけなかったんだ。
「あっ危ないっ!」
主の声が聞こえた。だけどとてつもない衝撃とともにそれはかき消された。だけど僕は無傷であった。痛むところは特にない。気づけば僕は主の腕にいた。よーく見ると真っ黒なはずの僕の体はところどころ赤くて、それが血だと理解するとともに主のだとも理解した。だけど笑って起き上がってくると思っていた。
【ぺろっ】
ほっぺたを舐めてみる。だけど反応は無いみたい。僕をからかっているのかな?
【ぺろっ】
もう大丈夫だから起きて?
【ぺろっぺろっ】
おーい?
おーい?
その瞬間気づけば車が止まっており、そこにも主の血らしきものが付着していた。その時に車から守ってくれたのだと。やっと理解出来た。
「あ、あの?」
初めて聞く声だ。もしかして車に乗って人?つまり、主を殺した…
思わず毛を逆立て主を守るように精一杯威嚇する。
「お、お前が悪いんだろっ!」
気づけば人だかりが出来ていた。
「救急車を早く!って黒猫?」
「そう言えばあのおじいさん黒猫飼ってたしね〜」
主を引いたのはあいつだ。今、あいつの首を髪ちぎれば…
「あの黒猫が居たからじゃない?」
その瞬間僕の体が弾け飛んだような気がした。そして視界が歪み、別の空間に見えてくる。
思えばそうだ。僕を助けようとしなければ主は車に轢かれる事なんてなかったんだ。僕が調子に乗って急に動いてそれを助けようとしたせいで。むしろ僕と主は出会わなければ良かったんだ。
「あっち行けよ」
「やだ、私たちまで殺されちゃうわ」
おばさん達は黒猫から離れるように1歩1歩下がっていく。
違う。もう調子に乗らないから。お願い、ひとりにしないで。それでも1人は嫌だから。
何日経ったか。僕は外に出ず、ずっと主の家にいた。
そんな時、主の写真の前に座って泣いていた主の奥さんがこちらを向いた。
「こっちにおいで?あの人が大切にした家族の1人なんだから。」
主の奥さんは泣きながら、そう言った。僕は嬉しかった。それとともにあそこへ行って今はもういない主に謝ろうと思った。
次の日、いつもの時間にそこの場所へ行き、悲しみを噛み締めてから必死に謝った。僕は満足した。家に帰って見ると主の娘が泣いていた。その日その場所で主の奥さんが…
亡くなったらしい。
車に轢かれて死んだ。
僕が1人の時、何回も通った道で死んだ。 
その道には思い入れがあった。僕の母が死んだ場所だからだ。母が死んでからは1人だった。
僕はある日、その道を通っていた時、主に出会った。あの優しさや温もりを忘れかけていた時に僕に向けられた笑顔は心に刺さった。
それからいつの日か僕は主が散歩しているのを見かける度に後ろからついて行っていた。
それから早2年。僕は4歳を迎えようとしていた。その頃には主の家に家族として向かい入れられ一緒に住み、今日も今日とて散歩について行くのである。
「よーしよしよし、ちゃんと来てるな!」
主はそう言いながら僕の顔を見ると笑って見せた。
僕は主の右後ろを歩いた。今日も一緒に歩けるけて嬉しい。こっそり大きく回って左からびっくりさせちゃおうっと。
その時僕は主のことしか見ていなくて気づけなかったんだ。
「あっ危ないっ!」
主の声が聞こえた。だけどとてつもない衝撃とともにそれはかき消された。だけど僕は無傷であった。痛むところは特にない。気づけば僕は主の腕にいた。よーく見ると真っ黒なはずの僕の体はところどころ赤くて、それが血だと理解するとともに主のだとも理解した。だけど笑って起き上がってくると思っていた。
【ぺろっ】
ほっぺたを舐めてみる。だけど反応は無いみたい。僕をからかっているのかな?
【ぺろっ】
もう大丈夫だから起きて?
【ぺろっぺろっ】
おーい?
おーい?
その瞬間気づけば車が止まっており、そこにも主の血らしきものが付着していた。その時に車から守ってくれたのだと。やっと理解出来た。
「あ、あの?」
初めて聞く声だ。もしかして車に乗って人?つまり、主を殺した…
思わず毛を逆立て主を守るように精一杯威嚇する。
「お、お前が悪いんだろっ!」
気づけば人だかりが出来ていた。
「救急車を早く!って黒猫?」
「そう言えばあのおじいさん黒猫飼ってたしね〜」
主を引いたのはあいつだ。今、あいつの首を髪ちぎれば…
「あの黒猫が居たからじゃない?」
その瞬間僕の体が弾け飛んだような気がした。そして視界が歪み、別の空間に見えてくる。
思えばそうだ。僕を助けようとしなければ主は車に轢かれる事なんてなかったんだ。僕が調子に乗って急に動いてそれを助けようとしたせいで。むしろ僕と主は出会わなければ良かったんだ。
「あっち行けよ」
「やだ、私たちまで殺されちゃうわ」
おばさん達は黒猫から離れるように1歩1歩下がっていく。
違う。もう調子に乗らないから。お願い、ひとりにしないで。それでも1人は嫌だから。
何日経ったか。僕は外に出ず、ずっと主の家にいた。
そんな時、主の写真の前に座って泣いていた主の奥さんがこちらを向いた。
「こっちにおいで?あの人が大切にした家族の1人なんだから。」
主の奥さんは泣きながら、そう言った。僕は嬉しかった。それとともにあそこへ行って今はもういない主に謝ろうと思った。
次の日、いつもの時間にそこの場所へ行き、悲しみを噛み締めてから必死に謝った。僕は満足した。家に帰って見ると主の娘が泣いていた。その日その場所で主の奥さんが…
亡くなったらしい。
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