野球部┌(┌^o^)┐短編集

あんころ餅

┌(┌^o^)┐

終礼が終わり、急いで部室に向かう。甲子園の常連で、伝統のある我が野球部は規律に厳しく、先輩の言うことは絶対だ。まして先輩より遅く行くなどもってのほかだ。しかし、今日の終礼は検定や修学旅行に関しての知らせが多く時間を取られてしまっている。「ちっ、これもう先輩来ちゃってるだろ。」ため息をつきながら部室の前に到着する。軽く息を整えて扉を開けると同時に頭を下げる。「すいません、遅れました!」出来るだけ反省したような顔を作り、顔を上げると、そこにはチアの格好をした俺とバッテリーを組んでいる太一が居た。「弘良……遅いよォー……」若干涙目になりながら、俺の女房が俺を見つめる。「え?!どういう状況??」あまりの急展開に頭が追いつかない。「あーあ、弘良が遅いから。女房が可哀想やわー笑」そう言いながら笑っているのは、この騒動の原因であろう先輩、齋藤さん。我が野球部のエースで4番を務めているがお調子者でよく変なことを考えている人だ。どうやら俺が遅れた罰をなににしようか考えている時にちょうどグラウンド整備を終えた太一が帰ってきたため、これを思いついたらしい。やっぱり、天才は少しオカシイ人が多い。「でも、これってどっちかっていうと太一のバツになってません?」確かに女房役である太一が女装しているのは可哀想だが、言ってしまえば俺へのダメージはない。そんな俺の言葉を待ってましたと言わんばかりに齋藤先輩は悪い顔をした。「そうだな、バッテリーはお互いを大切にしなくちゃならない。相方がミスをしたらもちろんカバーし合うべきだ。だからお前にも恥をかいてもらう」とうとう言葉をオブラートに包むこともやめた先輩にむかって嫌な予感を感じながら聞いてみる「じゃあ、何すればイイっすか?」はぁ……めんどくさいことをさせられそうだ「素直でよろしい!大丈夫、簡単なことだ。弘良、太一とキスしろ。あ、もちろんディープなやつでな」……は??いま、なんていった?きす?太一と……!??!なに言い出してんだこの人は!?太一も驚いているところをみるとこのことは聞いてなかったらしい。「そんな!!聞いてないですよ!酷いですよ齋藤先輩!」太一が必死に先輩にむかってやめてもらうように言っているが、何故か齋藤さん以外の先輩も乗り気で聴く耳もたずだった。「仕方ないだろ、弘良が遅れたんだから」そう言いながら先輩はヘラヘラ笑っている。……はぁ、仕方ない。バックを地面に置き、太一の手をとり此方に引き寄せる。「なに、ひろよっ……!?」急に引き寄せられて驚いている太一の顔に手を添え、口を塞ぐ。急なことで閉じきれなかった太一の口にしたをねじ込み、歯をなぞりながらその口の中を犯していく。最初は抵抗していた太一も、だんだん顔が惚けていく。一通り太一の口の中に舌を巡らせたら緩み切った口から顔を離す。離された口と口を混ざりあった唾液が薄く糸を引き、別れを名残惜しんでいる。先輩の方を見ると大爆笑している。「アハハ!!、さすが学校一のイケメンはちがうなぁ!まさか、こんなにディープにするとは思わなかったわ笑」少し不満げな顔をしながら、口を拭う「これで満足ですか?」先輩はまだ笑いながら答える「もちろん笑、大満足だわー笑。」少し息を整えると先輩はグローブを持ち、部室の扉を開ける。「あぁ、楽しかった。早く準備しろよー」そう言いながらグラウンドに向かう先輩について、既に着替え終わった人たちがグラウンドに向かう。ハッと正気に戻りその後をついて行く太一を捕まえ耳元で囁く「今日、うちに来るよな?」身体をビクッとさせ、顔を赤らめながらも頷く太一。旦那役として、中途半端に女房を焦らす訳にはいかない。しっかりと満足させてやるのも旦那の務めだからな。

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く