コールドスリープ

堺94

100年の眠り



船の改造が済むと、テッドは頭にヘルメットのような装置を被せられ、記憶を消去される。
しかし、宇宙警察の船がハイパースペースの中へ消えた後、ミーティア人がテッドの記憶を復元する。

「脳の記憶は消せても、魂の記憶は消せないからね」
「テッドはもう僕たちの友達だ。忘れたりなんかさせないよ」
「ありがとう、君たち。僕、この冒険の思い出を惑星αへ持っていきたいんだ。開拓民として大事な教訓だと思う」

テッドは、フェルミオン人が直してくれた冷凍睡眠装置の中に入る。
ミーティア人は名残惜しそうに言う。

「また眠ってしまうの?つまんないね」
「いっそ、テッドも肉体を捨てて精神生命体になっちゃいなよ」
「そうよ。自由気ままに、宇宙を冒険できるのよ?」
「うん、それも楽しそうだけど、僕には家族がいるからね。
原始の惑星を切り開くのは困難だけど、僕、とってもわくわくしてるんだ。
新天地での生活が待ち遠しいよ」
「なら僕たち、惑星αに着くまで、船を見守っていてあげるよ」
「テッドが目覚めた時、僕たちそばにいるよ」
「ええ?百年も先だよ?」

ミーティア人たちは自信満々に言う。

「僕たちは不死身なんだよ?今まで何千年も何万年も生きてきたんだ」
「百年なんか、あっという間よ」
「そっか。目覚めるのが楽しみだな。
起きたら僕のお父さんとお母さんを紹介するよ。
じゃあエディ、頼むよ」
「はい、テッド様。お休みなさいませ」

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