コールドスリープ
スターエレメント
着いてみると、そこは宇宙に浮かぶ人工都市。
「あれ?ミーティア人は惑星の上に住んでいないんだ?」
「彼らの故郷の惑星は、ずっと昔に滅んだよ。いくつかの惑星に植民してはいるけどね。本拠地はこの人工都市なんだ」
「すべてのものが機械でできている…すごい科学力だなぁ」
緑はなく、銀一色の世界。
物差しで正確に測ったかのような、升目状の居住区がどこまでも広がる。
几帳面な種族の性質がうかがえる。
「野蛮なボゾン人に比べたらはるかにまともだけど、あんまり窮屈な文明もいかがなものかしらね」
「僕の故郷の地球も、科学が発展してゆくほどこうなるのかしら…」
「どうだろうね」
宇宙警察の最高責任者と、テレパシーで連絡を取る。
地球人のテッドの証言で、宇宙警察はすぐに出動してくれる。
「宇宙をさすらう伝説の賢者。生物進化の最終形態。
ミーティア人の方々にお会いできるなんて光栄です」
最高責任者はうやうやしい態度。
それを見て、テッドは三匹を見直す。
「へえ、君たちってすごいんだ」
「えへん」
「まあね」
ミーティア人たちは気を良くする。
「それと、地球の少年。テッドくんと言ったね。
海賊の逮捕に協力してくれてありがとう。
先に宇宙進出した先輩の種族として恥ずかしい話だが、我々はいまだ、宇宙社会から無法者を根絶するに至っていない。
宇宙に真の平和と秩序をもたらすには、すべての種族が一丸となって悪と戦わなくてはならん。
君の種族は秩序を重んじ、平和的だろうね?」
「もちろんです!」
とは言ったものの、若干後ろめたい気持ちがないでもない。
地球人は平和的?そうだと信じたい。
遠い未来、宇宙進出が進み、地球人が独自の文明を発展させたなら、果たしてボゾン人のように野蛮になるのか、それともフェルミオン人のように冷静で機械的になるのか…
「テッドが悩むことないわよ。
私たちを見て?ボゾン人のようでも、フェルミオン人のようでもないわ。
地球人だって、まったく新しい価値観を創り出すに違いないわよ」
「うん…きっとそうだよね」
テッドは勇気づけられる。
「あ、ところで…」と、テッドは言う。
「これ、なんだか分かりますか?宇宙海賊のものらしいんですが」
「これは…スター・エレメント?
宇宙の『聖域』と呼ばれる場所に封印されていたと言う、あの伝説の…」
「いったいなんなんですか?スター・エレメントって…」
「うむ、君たちの文明のレベルでは、じゅうぶん理解することができないだろう。地球人がもう少し成長したら、後々知ることになるだろうよ。
ただ、これには『銀河を生む力』が宿っているとされている。
それほどの圧倒的なエネルギー。悪者の手に渡ると危険だから、古代人…我々よりもずっと昔に宇宙で栄えた種族が、固く封印したんだ。
これは、宇宙警察が責任をもって聖域に戻しておくよ」
テッドは、エディが「宇宙にはまだ解明されていない現象がたくさんあります」と言ったのを思い出す。
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