コールドスリープ

堺94

幽霊



エディの目のライトが、テッドの顔を照らす。

「なにかお困りですか?」
「お困りですか、じゃないよ!見ての通りさ。
僕の冷凍睡眠装置だけ開いちゃったんだ」
「それは大変です。
じつは謎のエネルギー体との接触により、船のコンピュータに異常が起きたようなのです。
テッド様の冷凍睡眠装置が勝手に開いたのは、それが原因と思われます。
今、制御室へ向かう途中でした。
エネルギー体は船内に入り込んだようです。
わたくしは、それがなんなのか突き止めなくてはなりません」
「待って、僕も一緒に連れて行ってよ」

テッドはエディにおんぶしてもらい、暖をとる。
エディの機体は温かい。すぐさま凍え死ぬ心配はしなくて済みそうだ。

一人と一体は制御室に着く。
複雑な機械が入り乱れていて迷路のような造り。
エディの動きが止まる。

「どうしたの?」
「問題のエネルギー体を感知しました」
「何も見えないけど…あっ」

前方で、三つの光が宙を泳いでいるのが見える。

「ひ、人魂みたいだ。今度こそ幽霊かな?」

おびえてエディにしがみつくテッド。
エディは抑揚のない機械の声で「そんなはずはありません」と言う。

「幽霊とは昔の人の考えだしたフィクションです。ここは現実世界ですよ」
「冷静だなぁ、ロボットは」
「しかし、宇宙にはまだ解明されていない現象がたくさんあります。もっと近づいて、正体を見極めましょう」
「う、うん」


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