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小さき蒼雷の魔法使い

柊木凪

第五十六話「報告」

 ライガ達は情報の交換をしながら、領主の屋敷に着くのを待っていた。

 ルーベンスの街には中央部が商店街となっていて、円状の外に向かうにつれて区画が分けられている。

 今回訪れる領主の屋敷は、他の街や国から来ている貴族や重要人物が住んでいるエリアの一角に大きく建物が立っている。

 そして、重要人物が多くいることからも分かる通りルーベンスの街の中で一番警備が厳重な場所の一つでもある。


「見えて来たぞ。」


 ウィドの声に馬車の小窓から前方を見た。


「街の中に門?」


「そうじゃ。あそこから奥は貴族階級……つまり爵位を貰っている方々や国にとって重要な人物たちが住んでいる場所じゃ。


失礼の無いようにしてくれ。」


 ライガたちはウィドの言葉を聞き流しつつ改めて近づく門を見た。

 門の前にはこの街の衛兵が2人左右に立って警戒していた。


「とまれ!身分証明が出来るものと要件を教えてくれ。」」


 門に近づくと衛兵が声をかけて来た。


「お主らはそこで待っていなさい。

儂が説明してくる。」


 それだけを言い残しウィドは外へと出て行った。

 そして、その姿を確認した衛兵は直ぐに態度を変えた。


「ギ、ギルドマスター!?」


「御苦労じゃの。少し領主に用がある故通してくれるかの?」


「はい!因みにお一人ですか?」


 衛兵はウィドが馬車から出て来たので他にもいるのかと思って聞いたのだ。

 衛兵の規則として貴族街の出入りの際は誰がいつ何の目的で出入りしたのかを確認し記録しておかなければならない。

 この規則は、重要人物が万が一にでも誘拐などにあってしまった際記録を遡り素早い対応が求められるからであるだ。


「いや、冒険者を三人連れている。

貴族の子供たちの一件の関係者だ。」


「なるほど……了解しました。

念のために記録をお願いします。」


「わかった。」


 ウィドは素早く用紙に記入をして馬車に戻った。

 そして、馬車は再び領主の屋敷へと動き出した。

 それから、十分ほどの時間が過ぎ馬車は動きを止めた。


「三人とも着いたぞ。」


「やっとか……思ったより長いドライブだったな。」


「どらいぶ?なんじゃ、それは?」


「あ~いや、こっちの話だ。気にしないでくれ。」


 思わず口を滑らしてしまったライガは、少し動揺してしまったので素早く馬車から下りることにした。

 馬車から最初に降りるとそこにはとても広い屋敷があった。


「どうじゃ?すごいじゃろ?

この屋敷はな、ルーベンスの街で最古で最大の建物でのぅ。いつからあるのかは儂も知らん。」


「(だからなんで自慢げに話してるのか……あんたの屋敷じゃないだろうに。)」


 後からウィドが降りて来て、なぜか誇らしげであった。

 ライガは疑問を抱きつつも口には出さずにいた……。

 そして、カレンとシオンも馬車から下りて来て、馬車は裏へと移動して行った。


 ちょっとした屋敷の自慢話を聞きながら三人は屋敷へと足を踏み入れた。

 屋敷の中は……例えるなら古い老舗の旅館?みたいな感じと言えば分かるだろうか……。


 だが、やはり違和感が残る。街全体は異国……海外みたいなのだが、この屋敷に入ると突然日本みたいな感じなのだ。


「(まあ、今は深く考えるのは止めよう。それよりも報酬の話の方が先だ!)」


 この頃癖になりつつあるライガの思考時間の間も皆は奥へと進んだ。

 すると、先ほどの使用人が合流した。


「ウィド様、現在バルト様は執務室にいらっしゃいます。

なので、応接室でお待ち頂けますか?」


「わかった。応接室へ行こう。」


「では、こちらです。」


 使用人の案内で応接室に移動し、使用人は素早くお茶を三人分用意し机に置いた。


「では、しばしお待ちください。

バルト様をお呼びいたします。」


 使用人は静かに応接室を退室した。

 使用人の退室した後の室内は……優雅な時間が流れなかった。


「ライ君!このお茶、おいしいよ!!」


「そうですね。ご主人もどうぞ。冷めないうちに」


 そう、なぜか2人が左右から執拗にお茶を勧めて来ているのだ。


「わかったから話が始まるまでは少しゆっくりしような?」


「「はーい」」


 これで少しは落ち着いてくれるだろう。


 そして、ライガは目の前にあるお茶を一口飲んだ。

 この瞬間ライガを爽やかな気持ちにさせ緑茶の香りと少しの苦み、後味に甘みが口に残っていた。


「……このお茶は、いったい?」


 ライガはこの味に覚えがあった。

 実際に飲んだ記憶が無くとも経験と感覚が知っている味だと言っているのだ。


 その時、執務室の扉を叩く音がした。


「失礼。入るよ?」


「おお、昨日ぶりだな。バルト。」


 室内に入って来たのは、この街の領主のバルトだった。

 バルトは周りを見渡し、ライガを見て笑顔を見せた。


「そのお茶、美味しいだろう?

大昔、ルーベンスの街が出来た頃に訪れた異界の者がお茶となる葉を植えて育て方を教えてくれたそうだ。


その葉は、ルーベンスの隠れた名物なんだよ。

因みに、この屋敷も異界の者によって建てられたらしいのだが、詳しくは私も分からないんだよね。


まあ、いらない話は置いといて今回の件の……ライガ君的には報酬の話と言った方がいいかな。」




皆様、柊☆黐です。


本日もお読み頂きありがとうございます。

是非ブックマークとポイント評価をよろしくお願いします。

最近徐々にですが、ブックマークが増えて来てとてもうれしく思っている作者です。
読者の皆様には最大限の感謝と幸運をお祈りしています。

今後ともこの作品と作者をよろしくお願いします。

さて、次回は五十七話「シエルの選択」でお会いしましょう。

お楽しみにっ♪


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