話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

小さき蒼雷の魔法使い

柊木凪

第五話「水神龍」

「――っ!? 水神龍!?」

 ライガは驚愕に目を見開く。
異世界に転生して成り行きで偶然行き着いた洞窟。その内部で現れた少女の口から発せられた言葉は、ライガの予想出来る範疇を越えていたのだ。驚きもするだろう。

(この女の子の話通りなら、俺と戦ったドラゴンが水神龍なのか? 若しくは関係する龍なのかもしれないけど)

 内心でドラゴンの事について考えていたライガは、次の少女の言葉で一度考えることを止めた。

「驚くのも無理は無いか。この場所は一部の者しか知らんしのぅ」

「一部の者しか知らない?」

 ライガはこの洞窟の事ではなく“水神龍”という存在に驚いていたのだが、折角の話が脱線しても面白くないと感じ、訂正すること無く疑問に思ったことを口にする。

「ん? 名くらいは聞いたことがあると思うのだが、この場所は限られた者にしか知られていないのだ。それも理由があるが」

 少女はライガの質問には答えることなく話題を逸らし続けた。

「ふむ、まぁいいか。そんなことよりも、お主は何故我との戦闘のときに鑑定を使わなかったのじゃ? それだけでは無い。他の魔法も含めてのぅ」

 少女は聞きたいことを真っ直ぐにライガへと問いかける。しかし質問を聞いたライガの思考は更に混乱の渦へとはまり込んでいく。

(この女の子と戦闘? 何のことを言ってるんだ?)

 ライガ自信が戦闘と聞いて思い当たるのは、ゴブリン戦とドラゴン戦の二回のみのはず。だが少女は自分を指し“我”と言ったことで謎は深まる。
 そんなライガの雰囲気を感じ取った少女は、続けて言葉を言い放つ。

「よし! まずは理解をしてもらう方が早いだろう。我に鑑定を使ってみるのじゃ!」

 自身の疑問の解決の為にも、少女の指示に従うことにしたライガ。しかし鑑定によって表示された少女のステータスは――。


ステータス
名 前:サラスヴァティ
種 族:神龍
性 別:女
年 齢:???
レベル:532
職 業:水龍王 神龍
称 号:水神龍 龍最強の一角

   次のページへ→ (1)


ステータス
体 力:2,696,600/2,696,600
魔 力:2,691,600/2,691,600
状 態:人化
魔 法:水 氷獄 聖 支援魔法
スキル:鑑定 念話 人化 体魔自然回復
    龍魔法 危機回避 身体能力向上
    状態異常耐性 水化 極隠蔽

   ←前のページへ (2)

≪龍:竜の更に上位に位置する。高い知能と戦闘能力を有する≫

この世界での“龍”は割りと生息している。その中でも最上位の“神龍”は7体しか存在していないため超貴重な存在である。
 そして龍を人が倒すことは、まず不可能に近いとされている。
 一部の例外で龍を倒すことに成功したものは、例え最下位の下級龍でも、龍殺しと呼ばれ、人外を更に超えた人外とされている。


 少女のステータスはライガに衝撃を与えた。
 そして自信に満ちた眼差しで「どうだ? 凄いだろう」と言わんばかりに胸を張って立ってこちらを見ている少女。

(まさか洞窟の主である水神龍本人とは……)

 ライガの思考を読み取るように少女が言葉を発する。

「どうじゃ! 少しは状況がわかったかの?」

「いや全くわからないけど? 分かったのはあなたが“水神龍”であることと、名前がサラスヴァティってこと。あとは戦闘力が異常に高いなってことぐらいだろ」

 少女の問いに素直に答えたライガ。
 そして帰ってきた答えを聞いて、間の抜けた表情でこちらを見ている少女がいた。

「ん? 今お主自身が答えを言っていたではないか」

(……何を言ってるんだ??)

 ライガの様子から未だに理解していないことを察した少女は自ら改めて名乗る。

「説明せねばわからんか。なら改めて名乗ろう! 我の名はサラスヴァティと言う。そしてお主と戦った“ドラゴン”じゃ!」

 少女は両手を腰に当て、サラスヴァティと名乗りこちらを見ていた。しかしライガは少女の言葉を聞き思考を始めた。

(そもそもの話、俺と戦ったドラゴンはここまで強くなかったはずだ。仮にドラゴン本人であるとしても、正直どちらでもいいけど)

 少年の様子を見て大した驚きが無い事が分かると、つまらなさそうに話題を変えて質問をして来た。

「まあいい。次の質問だが、お主は何用でこの洞窟に来たのじゃ?」

「用は時に無いな。迷子になって偶然辿り着いた」

「迷子? お主が? 何故?」

 ライガは今までの流れを、順に説明することにした。そしてそれを聞いた少女は、ガイヤを叱ることに決めたのだった。

「あの、サラスヴァティさん?」

 ガイヤへの怒りが漏れ出ていたため、ライガは穏便に声をかけた。すると呼ばれた少女は怒りを納めて微妙な声で言う。

「少年。我はサラスヴァティと呼ばれるのは好かん。だからサラとでも読んでくれれば良いぞ」

「わかった。俺はライガだ」

 サラの言葉に頷き、ライガも名乗り返した。

「さてもう一つだけ聞いておこうかの。ライガのステータスにある“転生者”について聞いても良いか?」

 サラはガイヤとサーシャに話をする前に“転生者”の事を二人がどこまで知っているのか確かめる必要があった。

 (二人が何も知らないようなら情報を共有しておかなければ、これから先が大変だろうな)

「聞いてもいいけど、俺は何も分からないぞ?」

「そんなことは分かっておる。ライガの両親はこの事を知っているのか?」

 ライガはサラの言っている意味が分からず思ったことをそのまま口にした。


「俺の両親って?」


 この世界に転生してからライガは両親に会っていない。そのため両親が居るのか分かっていなかった。
 そしてライガの返答をサラ自身予想していなかったことから、お互いに数秒の時を見つめ合うことになる。
 その後、先に我に返ったサラはライガに改めて両親の事を聞くことにした。

「……ライガ? お主、まさか両親が分からないのか?」

「小さき蒼雷の魔法使い」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く