ひととかぜと日常
Episode1 夜
ー夜ー
1
トントンと窓を叩く音で目が覚める。
大きく溜息をつきながら体を起こし、窓を開け放つと大きな風が部屋一杯に入ってきた。カーテンがはためき、机に置きっぱなしのシャーペンが転がる。
すぐに風は静かになり、今度はベットが軋む音がした。そこに腰掛けるは高校生くらいの青年である。
「……夜中ですケド。どこ行ってたん」
目を擦りながら不満げに問うと彼は、ただの暇つぶしだよと和らかな声で答えた。
微笑みと同時に細めたその目は若草色で、暗闇の中でも美しく輝く。これに魅入ってしまうのはきっと私だけではあるまい。
「…そ……なら、はよ寝ろ」
窓はそのままに布団を頭まで被ったのだが、今度はその布団を引っ張ってきた。
……正直うっとおしい。明日は学校が休みとはいえ、まだ夜中の2:00だ。
どうせ目が冴えて眠れないから構え、の意思表示だろう。
「朝構ってやるから寝かせて下サイ、まじで」
布団を引っ張り返すと今度は抵抗がなかった。そのかわり一緒に布団の中に潜り込んできたのだがこの際、睡魔には勝てまい。
夜はきっと、すぐに明ける。
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トントンと窓を叩く音で目が覚める。
大きく溜息をつきながら体を起こし、窓を開け放つと大きな風が部屋一杯に入ってきた。カーテンがはためき、机に置きっぱなしのシャーペンが転がる。
すぐに風は静かになり、今度はベットが軋む音がした。そこに腰掛けるは高校生くらいの青年である。
「……夜中ですケド。どこ行ってたん」
目を擦りながら不満げに問うと彼は、ただの暇つぶしだよと和らかな声で答えた。
微笑みと同時に細めたその目は若草色で、暗闇の中でも美しく輝く。これに魅入ってしまうのはきっと私だけではあるまい。
「…そ……なら、はよ寝ろ」
窓はそのままに布団を頭まで被ったのだが、今度はその布団を引っ張ってきた。
……正直うっとおしい。明日は学校が休みとはいえ、まだ夜中の2:00だ。
どうせ目が冴えて眠れないから構え、の意思表示だろう。
「朝構ってやるから寝かせて下サイ、まじで」
布団を引っ張り返すと今度は抵抗がなかった。そのかわり一緒に布団の中に潜り込んできたのだがこの際、睡魔には勝てまい。
夜はきっと、すぐに明ける。
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