自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十数年酷使した体はいつのまにか最強になっていたようです〜
第23話:いいか?生物ってのは喜怒哀楽が存在する。それを無視することなど出来ないんだよ。
『ふむ。感情はまだ残っておるのぉ』
空中から物見の見物に徹しているギアが口を開いた。
『仕方あるまい。その為にもあの人間を選んだのだ』
ウバシャスが髭を弄りながらそれに答える。
『しかし、この場に英雄の子孫と始祖の魔王がいるとはな』
ウートがザブラと魔王を交互に見ながら口を開いた。
全員がこの戦いを注視している。
『全くだ。だが……ほれ。争ったツケか?もう英雄の子孫は死に絶えた』
ザブラがリムの攻撃で物言わぬ肉塊へと変貌した。
それを面白そうに手を叩きながら見ているのはグーゼットだ。
『しかし、リムがやられた場合は我々も危険ではないのか?』
ルストが口を挟む。
八柱はリム……いや終焉の魔王の復活の為に力を殆ど使い果たしている。
万が一狙われればひとたまりもない。
それゆえ空中に避難し、この動向を見守っていた。
『大丈夫じゃろう。飛べるのもリムだけじゃ』
『魔王も……もう瀕死じゃな』
『人間……魔物……哀れなものじゃのぉ』
『最後にあそこにいる男を殺して完成じゃ』
八柱の目線の先には、まったく動けなくなったケイドがいた。
リムは今ケイドと言う心の支えを侮辱され、殺されかけた恨みなどで覚醒している。
その状態で心の支えを自身で殺した時、本当の意味でリムは終焉の魔王として覚醒するのだ。
『感情をなくし我々の命令のみ聞く』
『邪魔するものはもうおらぬ』
『我らの悲願、世界の終焉』
『我らだけの楽園はもう目の前だ』
◇
リムと魔王の戦いは激しいものだった。
いや、激しく見えるだけで魔王が押されていた。
魔王がどんな攻撃をしても、リムはそれを避け、弾き、掻き消す。
逃げろと言われたフレイとイコルは、変幻自在に動くリムから逃げられずその場に佇んでいた。
「くそぉぉぉぉ!!」
魔王が叫びながら攻撃を繰り出している。
右手から放たれた『魔炎光弾』。
濃縮された魔力は触れたものをかき消すほどの威力。
事実通った地面は削られているほどの魔法だ。
「……」
しかしリムが右手を振り払うと、その魔法は掻き消えた。
打つ手がない。
魔王の表情にも焦りの表情が浮かんでいる。
「オワリ……ダ」
リムの目が光った。
魔王も何が起きても対処できるように構えを解いてはいなかった。
しかし、反応できるスピード以上の速さで魔王へ向かっていった。
「う……ぐっ!」
一本の光線。一筋の光。
魔王を襲った光は、右半身を消滅させていた。
傷口は焼けただれており、魔王の口から吐血した。
誰が見ても致命傷だ。
「ぐっ……あああ……」
首だけをリムの方へ向ける。
だがその瞬間魔王の首は宙を舞った。
「ククククク……」
遊んでいる。リムはこの状況を遊んでいるのだ。
空中に飛んだ魔王の首を蹴りで粉砕すると、残った魔王の体が音を立てて地面に沈んだ。
残っているのはイコルとフレイ、そして俺だ。
「おっさん!!なんとかしなさいよ!!」
イコルが目に涙を溜めながら叫んだ。
だが俺は……何もできない。
ダメなんだ。心が……折れてるんだ。
「きゃぁぁぁぁ!!」
地面を向いていた顔を上げると、リムがフレイとイコルを両手で同時に持ち上げていた。
片手に一人ずつ。頭を鷲掴みにしている。
「やだっ!やめてぇぇぇぇ!!!」
「死にたく……死にたくないぃぃぃ!!」
耳をつんざくような悲鳴が聞こえてくる。
泣き叫ぶようなイコルとフレイの声。
見たくない。
聞きたくない。
俺は……止めるべきだ。
この殺戮を……止めるべきだ。
だが折れた心は動かない。
迷っている間に少し硬い果物が砕けた音がした。
果物は潰され、液体の滴る音。
その音は生命を2つ摘み取った音だ。
「ケイド……」
低く聞きなれない声が俺にかけられた。
近寄ってくるリムは全身に返り血を浴びている。
指先からも血が滴っており、可愛かった過去は全て消え去ったよう。
目の前にいるのは……ただの怪物だ。
「あ……あ……」
確かに目の前にいるのは怪物だ。
しかし……やっぱりリムなんだ。
俺にはわかる。むしろ俺にしかわからないのかもしれない。
リムは……リムだ。
「ケイド……ケイド……」
何度も俺の名前を呼びながら近づいてくる。
周りは死屍累々。リムが……いや、俺たちが引き起こしたんだ。
『待てリム。目の前の男は敵だ』
急に空から声が聞こえてきた。
この声はウバシャスだ。
俺が敵?どういう意味だ?
リムも困惑しているのか、その場で立ち止まってしまった。
多分俺を敵だと言われて混乱しているのだろう。
先程までずっと俺の名前を叫び続けていたのに。
八柱がすぐ近くまで降りてきた。
そしてリムを囲うようにして回っている。
『さぁ最後の仕上げだ』
『この男を殺せ』
『全ての情を断ち切るのだ』
八柱が手をかざしリムへ何か魔力を込めている。
なんだ?リムに何をしているんだ?
『グォァァァァ!!』
リムが苦しそうな顔をしている。
辞めろ。辞めてくれ。
これ以上リムを苦しめないでくれ。
「やめろぉぉぉぉぉ!!」
俺は気付くと声を荒げながらじーさんに向かって走っていた。
リムは苦しんでいる。
この殺戮もリムの本心ではなかったのかもしれない。
このじーさん……いや、じじい共に操られて……。
「おるぁ!!」
右手を振るいじじいに思いっきりぶちかました。
だがじじいに届く前に俺の体は吹き飛ばされる。
いてぇ。なんだよこいつら。
これは……結界か?
『身の程をしれ。ゴミが』
じーさんが俺に向き直ると、数多の魔法を繰り出して来た。
なんとか立ち上がり避けるが、数が多すぎる。
「くっそぉぉぉ!」
両手に魔力を集め叩き落とす。
何発も叩き落とすが、それでも魔法はやむ気配がない。
落としそこねた魔法弾が肩に、膝に、腕に当たる。
「ぐはっ」
ダメだ。
俺がいくら撃ち落としてもキリがない。
ちくしょう。やっぱ勝てねーのか。
『はぁ、はぁ……さぁリムよ。トドメを刺せ』
「ケイ……ド……」
『全てを……はぁ、はぁ……断ち切れ……』
地面に横たわりながら俺は目線だけをじじい達に向けた。
なんだよ。じじい共も疲れてるじゃねーか。
その中心にいるリムは……どうした?
大人しくなってるじゃねーか……。
『殺せ!全てを断ち切り終焉へ向かうのだ!』
『奴はもう用済みじゃ!殺れ!!』
「……ケイド……」
ゆっくりリムが俺に近付いてくる。
くそっ。俺の人生はここで終わりを迎えるのか。
こんな惨めな姿で……地面に寝たまま終わるのか。
いや、最後ぐらいかっこよく死なせて……貰うぜ。
「ぐっ……おおおおぉぉぉぉ!!」
俺は叫びながら全身に力を込めた。
震える膝を叩き起こし、力の入らない背骨を伸ばす。
顔を上にあげながら叫び、自分を奮い立たせた。
「ケイド……」
リムの目には俺がどう映ってるのかな。
最後のあがきをするおっさんか?
利用されて捨てられるゴミか?
いや、ゴミだと思ってるのはこのじじいだけのはずだ。
リムは……俺の知ってるリムはそんなことない。
「さぁリム。……お前に殺されるなら本望だ」
俺は構えをとった。
体なんて動かねぇ。
いや動かす方法はあるが……今のリムには何をしても意味がないだろう。
じじい共に利用されて殺されるのはしゃくだが……。
もうリムの目には俺がうつってないんだろうな。
だからリムに殺されるなら、俺もまだ我慢できる。
「ケイ……ド……」
リムの手が俺の腕に伸びて来た。
不思議と怖くはない。これから死ぬのに。
リムの手はあの温もりはもうなかった。
ゴツゴツとした手。背も俺より高い。
その手が……俺の首にかかる。
「…………リム」
『さぁ殺せ!全てを断ち切るのじゃ!!』
外野がうるせぇ。
今は俺とリムだけの世界なんだ。
最後ぐらい静かに看取ってくれよ。
「リム……今まで……ありがとな」
「…………!!」
リムの目に光る物が見えた。
これは……涙か?
リムが泣いて……いるのか。
最後の最後に泣かせちまったな。
……ごめんな、リム。
「ケイド……ケイドケイドケイド……グオォォォ!!」
一際大きな咆哮がリムから上がった。
どうしたんだ?一体何が?
『チィ!不完全か!』
『一緒にいた期間が長すぎたのか!』
『これほどまでに……貴様は我々の人形のはずじゃ!』
「ふざけるな!!」
クソジジイ供め。
勝手なことを言うんじゃねぇ!
「リムはリムだ!てめぇらの人形なんかじゃねぇ!」
ふざけたこと言いやがって。
リムは……俺の大事なリムは……。
「リムは人間だ!俺と一緒に旅をした大事な仲間だ!!」
その瞬間俺はまた弾き飛ばされた。
ウバシャスが放った魔法が俺に直撃し、息をするのも苦しい。
くそったれが……。
「う……ぐ……」
『何も知らぬゴミが』
『我々に口答えをするな道化』
『もう一度じゃ。もう一度理性を飛ばすのじゃ』
またジジイ共が詠唱を始めた。
リムを囲うようにして、リムに右手を伸ばす。
そのリムは……ずっと俺を見ていた。
「ケイド……」
『殺すのじゃ』
「ケイドケイドケイドケイド……」
『お前は人形じゃ』
「ケイド……ケイド……」
『さぁ全てを解き放ーー』
その瞬間ウートの体が横に真っ二つになった。
空中から物見の見物に徹しているギアが口を開いた。
『仕方あるまい。その為にもあの人間を選んだのだ』
ウバシャスが髭を弄りながらそれに答える。
『しかし、この場に英雄の子孫と始祖の魔王がいるとはな』
ウートがザブラと魔王を交互に見ながら口を開いた。
全員がこの戦いを注視している。
『全くだ。だが……ほれ。争ったツケか?もう英雄の子孫は死に絶えた』
ザブラがリムの攻撃で物言わぬ肉塊へと変貌した。
それを面白そうに手を叩きながら見ているのはグーゼットだ。
『しかし、リムがやられた場合は我々も危険ではないのか?』
ルストが口を挟む。
八柱はリム……いや終焉の魔王の復活の為に力を殆ど使い果たしている。
万が一狙われればひとたまりもない。
それゆえ空中に避難し、この動向を見守っていた。
『大丈夫じゃろう。飛べるのもリムだけじゃ』
『魔王も……もう瀕死じゃな』
『人間……魔物……哀れなものじゃのぉ』
『最後にあそこにいる男を殺して完成じゃ』
八柱の目線の先には、まったく動けなくなったケイドがいた。
リムは今ケイドと言う心の支えを侮辱され、殺されかけた恨みなどで覚醒している。
その状態で心の支えを自身で殺した時、本当の意味でリムは終焉の魔王として覚醒するのだ。
『感情をなくし我々の命令のみ聞く』
『邪魔するものはもうおらぬ』
『我らの悲願、世界の終焉』
『我らだけの楽園はもう目の前だ』
◇
リムと魔王の戦いは激しいものだった。
いや、激しく見えるだけで魔王が押されていた。
魔王がどんな攻撃をしても、リムはそれを避け、弾き、掻き消す。
逃げろと言われたフレイとイコルは、変幻自在に動くリムから逃げられずその場に佇んでいた。
「くそぉぉぉぉ!!」
魔王が叫びながら攻撃を繰り出している。
右手から放たれた『魔炎光弾』。
濃縮された魔力は触れたものをかき消すほどの威力。
事実通った地面は削られているほどの魔法だ。
「……」
しかしリムが右手を振り払うと、その魔法は掻き消えた。
打つ手がない。
魔王の表情にも焦りの表情が浮かんでいる。
「オワリ……ダ」
リムの目が光った。
魔王も何が起きても対処できるように構えを解いてはいなかった。
しかし、反応できるスピード以上の速さで魔王へ向かっていった。
「う……ぐっ!」
一本の光線。一筋の光。
魔王を襲った光は、右半身を消滅させていた。
傷口は焼けただれており、魔王の口から吐血した。
誰が見ても致命傷だ。
「ぐっ……あああ……」
首だけをリムの方へ向ける。
だがその瞬間魔王の首は宙を舞った。
「ククククク……」
遊んでいる。リムはこの状況を遊んでいるのだ。
空中に飛んだ魔王の首を蹴りで粉砕すると、残った魔王の体が音を立てて地面に沈んだ。
残っているのはイコルとフレイ、そして俺だ。
「おっさん!!なんとかしなさいよ!!」
イコルが目に涙を溜めながら叫んだ。
だが俺は……何もできない。
ダメなんだ。心が……折れてるんだ。
「きゃぁぁぁぁ!!」
地面を向いていた顔を上げると、リムがフレイとイコルを両手で同時に持ち上げていた。
片手に一人ずつ。頭を鷲掴みにしている。
「やだっ!やめてぇぇぇぇ!!!」
「死にたく……死にたくないぃぃぃ!!」
耳をつんざくような悲鳴が聞こえてくる。
泣き叫ぶようなイコルとフレイの声。
見たくない。
聞きたくない。
俺は……止めるべきだ。
この殺戮を……止めるべきだ。
だが折れた心は動かない。
迷っている間に少し硬い果物が砕けた音がした。
果物は潰され、液体の滴る音。
その音は生命を2つ摘み取った音だ。
「ケイド……」
低く聞きなれない声が俺にかけられた。
近寄ってくるリムは全身に返り血を浴びている。
指先からも血が滴っており、可愛かった過去は全て消え去ったよう。
目の前にいるのは……ただの怪物だ。
「あ……あ……」
確かに目の前にいるのは怪物だ。
しかし……やっぱりリムなんだ。
俺にはわかる。むしろ俺にしかわからないのかもしれない。
リムは……リムだ。
「ケイド……ケイド……」
何度も俺の名前を呼びながら近づいてくる。
周りは死屍累々。リムが……いや、俺たちが引き起こしたんだ。
『待てリム。目の前の男は敵だ』
急に空から声が聞こえてきた。
この声はウバシャスだ。
俺が敵?どういう意味だ?
リムも困惑しているのか、その場で立ち止まってしまった。
多分俺を敵だと言われて混乱しているのだろう。
先程までずっと俺の名前を叫び続けていたのに。
八柱がすぐ近くまで降りてきた。
そしてリムを囲うようにして回っている。
『さぁ最後の仕上げだ』
『この男を殺せ』
『全ての情を断ち切るのだ』
八柱が手をかざしリムへ何か魔力を込めている。
なんだ?リムに何をしているんだ?
『グォァァァァ!!』
リムが苦しそうな顔をしている。
辞めろ。辞めてくれ。
これ以上リムを苦しめないでくれ。
「やめろぉぉぉぉぉ!!」
俺は気付くと声を荒げながらじーさんに向かって走っていた。
リムは苦しんでいる。
この殺戮もリムの本心ではなかったのかもしれない。
このじーさん……いや、じじい共に操られて……。
「おるぁ!!」
右手を振るいじじいに思いっきりぶちかました。
だがじじいに届く前に俺の体は吹き飛ばされる。
いてぇ。なんだよこいつら。
これは……結界か?
『身の程をしれ。ゴミが』
じーさんが俺に向き直ると、数多の魔法を繰り出して来た。
なんとか立ち上がり避けるが、数が多すぎる。
「くっそぉぉぉ!」
両手に魔力を集め叩き落とす。
何発も叩き落とすが、それでも魔法はやむ気配がない。
落としそこねた魔法弾が肩に、膝に、腕に当たる。
「ぐはっ」
ダメだ。
俺がいくら撃ち落としてもキリがない。
ちくしょう。やっぱ勝てねーのか。
『はぁ、はぁ……さぁリムよ。トドメを刺せ』
「ケイ……ド……」
『全てを……はぁ、はぁ……断ち切れ……』
地面に横たわりながら俺は目線だけをじじい達に向けた。
なんだよ。じじい共も疲れてるじゃねーか。
その中心にいるリムは……どうした?
大人しくなってるじゃねーか……。
『殺せ!全てを断ち切り終焉へ向かうのだ!』
『奴はもう用済みじゃ!殺れ!!』
「……ケイド……」
ゆっくりリムが俺に近付いてくる。
くそっ。俺の人生はここで終わりを迎えるのか。
こんな惨めな姿で……地面に寝たまま終わるのか。
いや、最後ぐらいかっこよく死なせて……貰うぜ。
「ぐっ……おおおおぉぉぉぉ!!」
俺は叫びながら全身に力を込めた。
震える膝を叩き起こし、力の入らない背骨を伸ばす。
顔を上にあげながら叫び、自分を奮い立たせた。
「ケイド……」
リムの目には俺がどう映ってるのかな。
最後のあがきをするおっさんか?
利用されて捨てられるゴミか?
いや、ゴミだと思ってるのはこのじじいだけのはずだ。
リムは……俺の知ってるリムはそんなことない。
「さぁリム。……お前に殺されるなら本望だ」
俺は構えをとった。
体なんて動かねぇ。
いや動かす方法はあるが……今のリムには何をしても意味がないだろう。
じじい共に利用されて殺されるのはしゃくだが……。
もうリムの目には俺がうつってないんだろうな。
だからリムに殺されるなら、俺もまだ我慢できる。
「ケイ……ド……」
リムの手が俺の腕に伸びて来た。
不思議と怖くはない。これから死ぬのに。
リムの手はあの温もりはもうなかった。
ゴツゴツとした手。背も俺より高い。
その手が……俺の首にかかる。
「…………リム」
『さぁ殺せ!全てを断ち切るのじゃ!!』
外野がうるせぇ。
今は俺とリムだけの世界なんだ。
最後ぐらい静かに看取ってくれよ。
「リム……今まで……ありがとな」
「…………!!」
リムの目に光る物が見えた。
これは……涙か?
リムが泣いて……いるのか。
最後の最後に泣かせちまったな。
……ごめんな、リム。
「ケイド……ケイドケイドケイド……グオォォォ!!」
一際大きな咆哮がリムから上がった。
どうしたんだ?一体何が?
『チィ!不完全か!』
『一緒にいた期間が長すぎたのか!』
『これほどまでに……貴様は我々の人形のはずじゃ!』
「ふざけるな!!」
クソジジイ供め。
勝手なことを言うんじゃねぇ!
「リムはリムだ!てめぇらの人形なんかじゃねぇ!」
ふざけたこと言いやがって。
リムは……俺の大事なリムは……。
「リムは人間だ!俺と一緒に旅をした大事な仲間だ!!」
その瞬間俺はまた弾き飛ばされた。
ウバシャスが放った魔法が俺に直撃し、息をするのも苦しい。
くそったれが……。
「う……ぐ……」
『何も知らぬゴミが』
『我々に口答えをするな道化』
『もう一度じゃ。もう一度理性を飛ばすのじゃ』
またジジイ共が詠唱を始めた。
リムを囲うようにして、リムに右手を伸ばす。
そのリムは……ずっと俺を見ていた。
「ケイド……」
『殺すのじゃ』
「ケイドケイドケイドケイド……」
『お前は人形じゃ』
「ケイド……ケイド……」
『さぁ全てを解き放ーー』
その瞬間ウートの体が横に真っ二つになった。
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