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自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十数年酷使した体はいつのまにか最強になっていたようです〜

ねっとり

第3話:こうして追放されたんだ。いやでも俺が見限ったと言っても過言ではない。

「おっさん、話がある」


 街に戻って宿に帰ろうとした時、ザブラに呼び止められた。

 帰り道は俺と一言も喋りかけてこなかったが、次のクエストの相談だろうか。

 念のため荷物も持ってきてほしいとの事だったので、クエスト報告が終わったら向かう事にした。


 クエストはギルドが全て請け負っている。

 今回のクエストは報酬が美味かった。

 コカトリスキングは並の冒険者じゃまず撃破不可能。

 それゆえ俺たちに依頼が来たんだから、美味く無いわけがない。

 さらにコカトリスクイーンの話もすると、ギルドの受付が驚いていた。

 やはり知らなかったらしい。

 それなら仕方ないな。

 依頼人には追加報酬を払うように交渉すると言われた。


 あとは荷物の補充だが、ザブラが早めにくるように言ってたのでまた後でだ。

 次のクエストの話もあるだろうし、決まってから補充した方が効率がいい。

 報酬を受け取った俺はそのままザブラの元へ向かった。



 ザブラ達が泊まっている宿に到着し部屋に入ると、机の上に1つの袋が置かれていた。

 大きさは腰からぶら下げても邪魔にならないような小ささだ。

 なんの変哲も無い麻袋。

 それをザブラが手に取りながら口を開いて来た。


「おっさん、これ何かわかるか?」

「いや、初めて見たな。ポーション入れか?」


 多分ただの麻袋だろう。

 だがそんなに嬉しそうに話すほどだ。

 何か特殊な仕掛けがあるのかもしれない。

 そうだな。例えば無限に金が出てくるとか、ポーションが無限に分裂するとか……。


「ちょっと俺の荷物をくれ」

「あたしのも」

「……私も」


 言われた通りにバカデカい荷物からザブラ達の荷物を取り出して渡す。

 それを手に取ったザブラが麻袋の口を開いた。

 もしかして、それを入れるのか?


「おぉ!すげーなこれ。本当に入ったぞ」

「ほんとだ!」

「……私のもいれて?」


 小さい麻袋にどんどん荷物が入って行く。

 あの大きさで、今さっきまであった大量の荷物が消えていったのだ。

 もしかしてそれは伝説級のアイテム……。


「まさか……マジックバッグか?」

「ご名答」


 まさかだ。

 あのマジックバッグをこの目で見れる日が来るとは!

 そんなレアアイテムこの世を探しても持ってるやつはいないだろう。

 これで俺も荷物を運ぶ苦労が減るってもんだ!


「すげぇじゃねーかザブラ!これで俺も動きやすくなるな」

「あー、その事なんだが……」


 ん?なんだ?

 イコルもフレイもニヤニヤしながらこっちを見てやがる。

 なんだ?俺の顔になんか付いてるのか?


「おっさん、お前はもういらない」

「は?」


 は?

 意味がわからない。

 いらない?どういう事だ?


「前々から思ってたんだけど気持ち悪いんだよね。別にあたしはあんたに恩なんて感じてないから。もういらないの」


 え、まてまて。

 いらないってなんだ?

 気持ち悪い?照れ隠しじゃねーのか?


「……私も無理です。その……生理的に無理です」


 いやいや。

 生理的に無理ってなんだよ。

 おかしくねーか?

 今までずっと一緒に旅をして――


「おっさんは今回ミスをした。荷物の管理ミス、クエストの誤報告。俺たちを殺しかけたんだ」

「いやそれは――」

「おっさんが悪い」


 は?なんだよそれ。

 いや今回のは俺一切悪く無いぞ?

 そうだ、ギルドも間違ってた事を認めたんだ。

 それを伝えよう。


「今回の件はギルドも伝達事項がなかったと認めていたし、そもそも――」

「おっさんのそゆとこ気持ち悪いんだよね。おっさんが悪いの。それで終わり。だからもう要らないの」


 なんだこれは。

 俺がいらない?

 今までずっと旅して来た仲間じゃねーのかよ。


「明日には俺がおっさんを追放しとく。もう二度と話しかけるな」

「なっ……」

「んじゃ、出て行け」


 ザブラに追い出されるようにして俺は部屋を追い出された。

 手元に残ったのは今回の報酬と、少しの荷物だけ。

 こうして俺はパーティから追い出されたのだ。





 それから俺は飲み続けた。

 酒に逃げて溺れたんだ。

 なんで俺がこんな目に合わなきゃならないのかわからなかった。


 でも、今思うとおかしい所はあった。

 最初に仲間に入れてくれと言って来たのはザブラだ。

 イコルもフレイも形式では頭を下げていたが、それを言っては来なかった。

 その後もクエストの受け方や戦闘の仕方を教えると同時に、世間の常識も教えていた。

 まだ彼らは若い。

 常識がないまま力だけつけてしまえば、その力に溺れることになる。

 だから俺は時には厳しいことも言い続けた。

 それで嫌われたのか。


 その頃から荷物は俺が持っていた。

 どんどん増える荷物を全員で分けていたら動きも鈍くなる。

 戦闘に集中させるために俺はサポートをメインとして動いていたんだ。

 そうしてるうちに俺より強くなってやがった。


 あの時もそうだ。

 国が指定した災害レベルの魔物が襲って来た時に、俺たちは大活躍して倒した。

 まぁ俺はサポートだけどな。

 そして国を挙げた祝宴の中、俺だけ別の用事を頼まれてた。

 パレードの中、俺は別の用事をこなしていたよ。

 なんでも俺にしか出来ない事だって言われたからな。

 今思えば、俺を遠ざけたかっただけなのかもしれない。


 ダメだ。

 思い返せば思い返すほど嫌な記憶が蘇る。

 俺はいつの間にか我慢だけをしていたんだ。

 若い奴らの成長が羨ましくて、でも俺にはそこまで出来る自信もなくて。

 なんだかなぁ。

 何してたんだろうな俺。


 俺はもうあいつらとは関係ない。

 追放されたんだ。

 こっから先は自分が思うように生きればいい。

 だが何をすればいいんだ?

 もう30代半ばで、拾ってくれるパーティもいないだろう。

 また荷物持ちか?

 ……自分で言ってて笑えるね。


 よし、自分のためだけに旅に出よう。

 俺にだってこなせるクエストはある。

 それで日銭を稼いで生きていこう。

 やりたいことをやろう。

 俺は今日で生まれ変わるんだ。



 ――――――


 とまぁこんな感じだ。

 この街『ルーフ』は初心者の街とも呼ばれるほど新米冒険者が多い。

 ここなら俺でもやっていけるだろう。


 朝は気持ちがいい。

 今日みたいな快晴の日に、俺の第2の人生が出発できるなんて幸せ者だな。

 あぁ泣くのはもうやめだ。

 前を向いて歩いていこう。

 っと、また人にぶつかってしまった。

 考え事をしながら歩くのはよくないな。

 しっかり謝っておかないと。


「おっさんどこ目ぇつけとんねん!いらんならほじくり出したろか!?あ!?」

「……」


 またあの幼女だ。

 その剣幕にちょっとぶるってしまった。

 ……うん、泣いてなんかいない。

 俺はポジティブなんだ。

 よし、今日は宿に帰って明日から頑張ろう。

「自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十数年酷使した体はいつのまにか最強になっていたようです〜」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

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