やはりオレは恋をしてしまっている

春川 桜

3.すれ違ったお互いの誤解

舞結と一緒に暮らすことになったオレだったが、それはハプニングの毎日だったのだ。
洗濯は別々でお互いのは触らない、干してある物はしまわない・お風呂はレーデイーファーストで入っている時は看板をかける、ラフな格好禁止などと厳しいルールがあったのだが…。

「きゃー変態 ︎」
「違うってばぁ〜」

看板がかかってなくて風呂場に行くと着替え中の舞結と鉢合わせなどが何度もあり、口さえ聞いてもらえない事があり、暮らし始めて3日目がたった。

「はぁ~上手く行かないよな。女子と2人暮らしとか」

ある日の、お昼にオレは庭にある椅子に座りながら落ち込んでいた。
前に好きだった女の子と再会したと思ったら一緒に暮らすことになって、ハプニングの日々で嫌われるのだから。

「何とかして許してもらわなきゃなぁ」
「あら〜新居人さんかしら?」
「あなたは?」
「桜荘の2階の部屋に住んでいる歩美と申します」
「響夜です。2階って倉庫なんじゃなかったんですか? 」
「ちゃんとした部屋よ~同居人の子もいるけど今は海外だからねー」
「それで、どうしたの?落ち込んで」
「それがですね…」

オレは今まで起きた事を歩美さんに話した。
何が起きて、どうなったのかまで全てを話した。

「あなたと舞結ちゃん面白い事になってるわね」
「面白くないですよ!」
「だったらコレで舞結ちゃんと仲直りしてなさい ︎」

オレは歩美さんに言われた事を参考にしてプランを考えて舞結を誘いに部屋へと戻った。
部屋に戻ると、そこには不機嫌な舞結がいた。

「あの〜愛川さん?」
「……なに?」
「ちょっと付き合ってほしい場所があるんだけど……いいかな?」
「ちょっと…だけなら」

舞結を誘い出す事に成功したオレは一緒にゲーンセンターへと向かった。
オレなりに考えて、まずは遊んだ後に、お茶をするプランを考えたのだ。

「じゃあ何したい?」
「はぁ。こうゆう事だと思ったわよ」
「えっ?気に入らなかった?」
「別に…じゃあアレやりたい」

舞結が指をさしたのはダンスゲームだった。
それは画面に映し出されたキャラクターと同じをするゲームだった。

「はい。準備は大丈夫だよ!曲選んで」
「うん。じゃあ離れて、本気でやるから」
「あっ…はい。」

舞結の目が本気の目になってアイドルグループの曲の難易度expertを選んだ。
曲が始まると完璧にリズムに合って踊っていた。それは舞う様に綺麗でオレはその姿に見惚れてしまった。

「ふぅ。スッキリした ︎」
「凄いじゃん ︎パーフェクトじゃん」
「昔から得意だからね。踊るのは」

舞結はめっちゃくちゃスッキリした顔をして大満足そうにしていた。歩美さんの言ったことは本当だったようだ。
その後に買い物などを一緒にして周り、そしてオレと舞結は、オシャレなカフェでお茶をしていた。

「今日はどうだった?」
「楽しかったわよ!あと…ごめんなさい」
「えっ?何で謝るの」
「その…怒って…キツく当たっちゃって」
「そんな事ねぇよ!オレが全て悪いんだから」
「でも…私、昔もあなたに…」

舞結は少し落ち込んでしまった。
オレが不甲斐ないから、こんな悲しそうな顔させちまって。
そのあと、2人の間に沈黙が続き時間が過ぎていった。

「じゃぁ、あと一ヶ所だけ付き合ってよ」
「いいけど、どこに行くの?」
「ついてからのお楽しみだよ!」

オレは舞結を連れていったのは中学校だった。
そこはオレにとっての、トラウマの場所であり、とっても大切な思いが詰まった場所。
そして今日…けじめをつける為にココに連れてきた。

「綺麗だろ。ここから見る夕陽は」
「うん。とっても綺麗だね」
「あの日、オレはま…愛川に手紙を書いて、お前の親友に渡して夕陽を見ながら待ったけど来なくて、次の日にオレは悪者になってた。」
「えっ?手紙なんて私もらってないよ ︎しかも悪者にしたのも私じゃない ︎噂の話を聞いてから避けたのは確かだけど…」
「ちょっと待てよ…それって…」
『誰かが悪者にした人間がいる ︎」

オレと舞結は顔を合わして息ピッタリに同じ言葉を言い、2人で誰が犯人かを考えて、ある人物が2人の頭の中に浮かんだ。
そして舞結は直ぐに電話んかけた。

「もしもし…久しぶりね春花」
「どうしたの舞結〜何か用?」
「あなた…あの日に響夜から手紙を受け取ったわよね?」
「うん。受け取ったわよ?それで?」
「そう。あなた、だったのね!響夜を悪者にしたのは ︎」

しばらくすると、返事が返ってきた。
舞結は、その返事を聞いて驚いた。

「そうよ…私が悪者にしたのよ!」
「何でそんな事したの?」
「羨ましかったのよ2人が。仲が良くて付き合ってる様に仲が良いのに付き合ってなくて、でも響夜くんはあなたの事が好きで ︎羨ましかったのよ!」
「そんな…嘘でしょ…響夜が私のこと…」

舞結はこちらを見ると顔を真っ赤かにして顔を隠した。
春花になにを言われたかは分からなかったが恥ずかしがっているのは分かった。

「はぁ。本当に気づいてなかったのね…そこにいるんでしょ!響夜くん」
「うん…」
「変わりなさい」

舞結は顔を下にしながらオレに携帯を渡してきて、オレはそれを受け取り電話をとった。
その後に春花から聞いた言葉にオレは2つの意味で驚いた。

「久しぶりね響夜くん」
「あぁ。久しぶりだな春花」
「悪かったわね。でも、これからだからね。」
「はっ?何言ってるの?」
「舞結に全てを話したわ。そこにいる舞結は顔が真っ赤でしょ。それは響夜の気持ちを知らなかったからよ。あの子は天然さんだから気づいてなかったの。だから教えてあげたのよ」
「って事は… ︎」

それで、オレの中に全ての考えが頭の中によぎった。
舞結はオレの気持ちを知らなかった、そして今それを教えてあげたという事は。

「そうよ。あの子は今あなたが好きだってことを知ったのよ。だから今から始まるけど、あなたも天然で他人を好きにさせちゃうから気をつけなさいよ ︎じゃあね」
「ちょっと ︎」
「終わった?」
「おう。そのだな〜まぁ気にすんな!昔の事だし好きな人も出来てるだろうしな!」
「ばか…今も昔も好きな人は変わらないわよ…」
「何か言ったか?」
「別に!なんでもないわよ!」

舞結は顔を赤くしながらも笑顔になっている顔を見てオレは後ろの方を振り返って扉の方へと歩いていると後ろから走って来る音が聞こえると右腕を掴まれて、抱きつかられた。

「どうしたんだよ?ま…愛川」
「いいでしょ!昔だってこうだっでしょ!あと〜昔みたいに舞結って呼んでよ…」
「分かったよ。舞結」
「うん!じゃあ帰ろー」

オレと舞結は帰り道、腕を舞結に掴まれながらも一緒に話して桜荘へと夕陽を見ながら帰った。だけど、これでも昔に戻っただけ、だから付き合っているわけではないが一件落着した感じだった。

「あら?仲良くなっちゃって〜付き合ってるの?」
「歩美さん!違いますよコレは〜」
「昔からこうなんですよ〜」
「コレで付き合ってないって…誤解するわよ」

明日は入学式、コレからどうなるのかをまだ知らなかった。

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