狂った世界をクルクル廻して。

まろく

グレートホール

散ばった机をそのままに2人は部屋を後にした。
トボトボ歩く魔王とそこ横をパタパタ飛ぶティアは目的の部屋グレートホール前にたどり着く。そこには複雑な模様が描かれた重圧のある巨大な扉が静かに立っている。ティアが扉に触れようとすると、手と扉の間に一つの魔法陣が現れ、それを中心に模様に沿って光が走り扉が開く。
それと同時に部屋からは食欲をそそる朝食の香と騒がしい喋り声が静かな廊下まで響き渡る。
この部屋グレートホールは現在食堂として使われており、中央に奥へ伸びる机があり、左右に奥から役職が重要な順に座っていき食事の開始は入り口から最も遠い席、魔王が……と、いうルールがずいぶん前まではあったのだが今では、食事はすでに始まっており、長い手を使って起用に食事をする者、素早く隣の席のご飯を盗む者、皿を傾け食事を流し込む者などそれぞれが食べやすいように自由に食事をしており、妖精達は楽しそうに飛び回ってはつまみ食いをしている。
「あ、魔王様だ!!」
「おはようございます魔王様!」
「おそいですよー」
「今日のご飯も凄く美味しいんですから」
「どうしたんですか?」
「元気ありませんね?」
魔王の姿を見ると妖精達は直ぐに周りに集まり挨拶を交わしてゆく、食事をしていた者達も会釈をしたり挨拶をしたり様々な反応を示してくれる。
「ティア様ちょっといいですか?」
「ん~?どうしたの?」
「このデザート私が作ったんですけど」
「おいし~このフワフワしたのどうやってつくったの?」
「それはですね………」
ティアと妖精たちはパタパタ飛んで隣の部屋へ消えていった。
魔王も皆と挨拶を交わしながら自分の席、最も奥の一番豪華な玉座へ向かう。途中、凄い量の食器を横に積み上げてなお食事に集中しているのがいたが、いつもの事なので無視しておくことにする。

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