異世界物語〜銃を添えて〜

八橋響

スキルの習得〜疲労感を添えて〜

「すみませんアリアさん。お待たせ致しました」
 店先で待っていたアリアに謝罪をする。先ほどまで真っ赤だった顔は幾分か落ち着いた様子だ。
「先に出て来てしまってすみません…。リョウさんこの後は…?」
 謝ってくるアリアに対し、「いえいえ、こちらが待たせた側ですので」と返し、少し考える。
 とりあえず今やりたいのは、スキル書を全て読み終える事と…ナインとXM8でも同様に魔弾が撃てるかどうかを試してみたいんだよね。
 …ひとまず宿屋に行ってナインとXM8を持ってこよう。その後でアリアの家にお邪魔してスキル書を全て読み上げて…外に出て実験をしてみよう。
 っていやいや、とりあえずスキル書を買うところまでは付き合ってもらったけどこれ以上付き合わせるのは悪いか。なんか一緒についてくるもんだと思ってた。


「とりあえず宿屋でエアガン達を持って来たいと思います。その後スキル書を全部読んで街の外で実験をしようかと」
「そう…ですか。私もご一緒してよろしいですか?」
「えっと…。はい。なんだか連れ回してしまってすいません」
「私が一緒に行きたいだけですよ。気にしないでください」


 アリアは優しい笑みを浮かべながらそう言ってくれる。本当に優しい人だよ。ただ、優しすぎて少し心配だよ。
 アリアに礼を言い、俺たちはひとまず宿屋への方へと向かうことにした。


 宿屋に戻ると、エマさんが食堂の掃除をしていた。
「あら、リョウさん。早いお帰りだね」
「いえ、この後またすぐに出かけます…わすれものをとりにきました」
「そうだったの、鍵は受付の横に掛かってるから自分でとってくれるかい?」


 受付の横を見てみると俺の部屋の鍵が掛かっていた。信用してくれているのは嬉しいけど…。まあいっか。
 鍵を取り、部屋に戻りXM8とナインが入ったケースだけを持ちすぐに部屋を出る。部屋に入った時に、キュアが一瞬顔を覗かせ「キュ…?」と鳴いていたが、もう少しだけ待ってねと声をかけると寂しそうな顔をしてもう一度ローブの中へと入っていった。
 外に出たら、すぐに出してあげるからね。
 俺は鍵を受付に返し、エマさんに声をかけてから、アリアと二人で次の目的地のアリアの自宅へと足を進めていった。


 アリアの自宅へと到着し、購入して来たスキル書を机の上へと並べた。
 魔女からもらったスキル書だけは鞄から出さずにしまったままだ。これは一人で宿屋にいる時に読み上げるようにする。
 まず最初に“腕力強化”のスキル書を手に取り、紐を解いて広げる。書には魔法陣のようなものといくつかの言葉が記されていたが、残念ながら俺に読む事はできなかった。
 この、読める、読めないの差がよくわからない。ほとんどの文字を読む事はできるようだが、出来ないものも一部あるみたいだな。
 そうして広げながら俺は一つのことに気づく。
「───アリアさんこの後どうすればいいんでしょうか?」
 スキル書を買っても使用方法がわからないんじゃ本末転倒だよな。


 アリアから説明されたスキル書の使用の仕方は次の通りだ。広げたスキル書に向けて“スクロール◯◯”と言う。ただそれだけだ。
 ちなみに、◯◯の所にはスキル名をいえばいいらしい。と言うわけで早速やってみた。
「“スクロール腕力強化”」
 全てを言い終えると、スクロールは光を帯び、そのまま粒子となって散り散りに散っていった。
 それと同時に、俺の中に少しの違和感が起きる。その違和感についてアリアに問うと
「それが、スキルを習得した…という身体からの合図ですよ」
 だそうだ。
 元いた世界で見ていた異世界ものだと、アナウンスだったりがあるはずなのだが…少しわかりにくくて残念だ。
 きちんと習得できたかどうかは後で確認することにしよう。俺は引き続き残り五つのスキル書を読み込んだ。


 六つのスキルを全て習得し終え、身体に多少の疲労感が出てきた。六つ全てのスキルに対して身体が違和感を覚えていたので、それをアリアに伝えると非常に驚いた顔をされた。
「六つのスキル書を使って全てが適用されるのは、とても珍しいことなんです。リョウさんは本当に凄いですね」
 そうなのか。覚えられるのは覚えられるけど、うまく扱えないかもしれないけどな。実戦で腕力強化をしたとしても、何も変わらなかったりね。
 ひとまずこれで購入したスキル書は全て読み終えた。当初の目的通り、アリシア平原まで行くぞ〜。
「これで六つのスキル書を読み込めましたので…、次は外に出てみましょう。アリアさんよろしくお願い致します」
「はいっ!」
 元気よく返事をしてくれたアリアに笑顔を送りながら、アリシアの平原に向かうために門まで移動をする。



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