異世界物語〜銃を添えて〜

八橋響

知性の武具〜ルイのお茶を添えて〜

 
 まだ昼時を迎えていない冒険者ギルド、昼の時や夜に比べるとかなり人は少なく。パーティーと言うよりはソロでクエストをこなしている人達が多いようだ。ソロでのメリットはかなり大きいものだからな、報酬も全部一人で受け取れるしね。
 人が少ない分歩きやすくなったギルド内を進み、受付まで行くと目的の人が隣に立っている受付嬢と談笑しているところだった。
「お話のところ申し訳ございませんルイさん。おはようございます」
 俺がルイ目当てで来た冒険者だと思われたのか、隣にいた受付嬢がルイの事を肘でつつき、「これで何人目よ〜、罪な女ね」と言っていた。
 いや、違うそうじゃない。ルイさんは確かにめちゃくちゃ美人だと思うが、あまりに美人すぎると手を出しづらくなるっていう、臆病者なのでルイにはそういう気が一切起きない。
「この人はアリアとリーシャの友人よ…全く…。おはようございますリョウさん、今日は一緒ではないのですね?」
 茶化してきた受付嬢に俺の説明をした後、丁寧な所業で挨拶をしてくるルイ。ほんといい所のお嬢様みたいだよ。
「ええ。今日は一人で来てみました。実はご相談とお聞きしたいことがありまして」
「はい、私でわかることであればお答えいたしますよ」
 その好意に甘えることにし、俺はルイさんに聞きたいことを伝えた。


「───話しかけてくる武器…でしょうか?」
「そうなんですよ…。実は商人に聞いた話で興味が湧きまして…アリアさんに聞いたところ、ギルドの文献であればもしかしたらあるかもしれない、と」
 聞いた話ではないが、アリアから聞いたのは嘘じゃない。自分でもびっくりするほどスラスラと嘘が出てきた。
「文献でしたらお貸出し出来ます。武器についての文献ですと…此方ですね。お持ち帰り頂いても構いませんが、紛失、盗難にあった場合は罰金として金貨1枚が請求されてしまいますので…お気をつけ下さい」
 大事な資料だもんな…、さてさてどうしたもんか。ゆっくり宿屋で見たいっていうのが一番の本音だが、紛失は無いにしても盗難にあった場合が一番恐ろしい。
「…あの、もし宜しければギルドの二階会議室をご利用下さい。本日はしようされないはずですので」
 どうするべきかと考えていると、ルイから助け舟が来た。
「それはとても助かるご提案なのですが…宜しいのですか?」
「ええ。大丈夫ですよ。ご案内致しますのでついて来て下さい」
 そう言うルイは、受付からフロアへと出て俺の隣に立ち、二階へと先導してくれる。


 その後に続き、俺は二階の会議室へとむかう。


「こちらが会議室になります。昨日こちらで会議がありましたので椅子や机がそのままになっておりますが…、どこに座って頂いても大丈夫ですので。では…後ほどお飲み物お持ちしますね。何かあれば一階の私のところまで来て下さい」
「わかりました。何から何までありがとうございます」
 入り口の所で一礼をしたルイは、そのまま下へと戻って行った。
 会議室は…なんというかそのまま会議室っていう感じの場所だ。長テーブルが長方形になるように並べられ、それに合わせ椅子が多く並べられている。
 特に他意はないが、一番端の席に座り貸してもらったずっしりと重い文献を開く。


 さて…読書の時間だ。


「あぁ…目が痛い…」
 途中ルイが持って来てくれた、ミントの香りがするお茶を飲む。
 ミントの爽快感が俺の視界と頭をスッキリさせてくれる…。いやぁルイさんこういうところにまで気を遣えるってほんと凄いなぁ。
 おんなじ姿勢で文献を読んでいたせいで身体が痛いので、軽く伸びをする。挿絵がないだけでこんなに疲れるものなのか…。
 元いた世界ではラノベとかの小説を読むのには慣れていたので、文献ぐらい余裕だろとか思っていたが…まるで辞書を読んでいるかのような読み辛さがある。
 ただ、根気良く読んでいたおかげで気になるものを見つけられた。


 ”知性のインテリジェンス武具アイテム“と呼ばれる物がこの世界にはあるらしい。ただ、このアイテムは昔に無くなり現在では一つとして発見されていない物だそうだ。
 そしてこの知性の武具と言うものは、通常の武器とは違い特殊な能力を持ち、人の言葉を話し、もつ人を選び…選ばれた持ち主は知性の武具の特殊能力を授かる事ができる。
 一説では、死んでいった英雄達の魂が宿った武器等言われ、この武具を探すためだけに大陸を渡る者も居るようだ。


 また、知性の武具には敵わないが、同様に特別な能力を持った武器もいくつかある。
 それが所謂“魔剣”や“神剣”、“聖剣”と言った部類の物だ。これらの武器に関しては今のこの世界でも存在している。それぞれ国の象徴として、保管されて居るらしいが、魔王等が攻め入って来た際にはこれらが解放され、その時の絶対的強者───“勇者”へと受け渡されるそうだ。


(魔剣、聖剣か…剣って言うからには剣なんだろうなぁ…。正直異世界ものを読んでた身としては気になる所だけど…まぁ俺にはマテバがあるしな)
 多少なりとも期待はして居るが…、満足に戦える自信がない。俺は大人しく銃を撃っていよう…。今回確認できた事でわかったのが、知性の武具は今現在見つかっていないという事だ。実際に所持をしてる人に会えれば確認のしようがあったのだが…これじゃあ誰に聞いてもわからなそうだよな。
「ん〜…結局分からずじまいかぁ…」
 思ったよりも進展がなくて正直しょげる。あの時の声もあれっきり聞こえなくなってるんだよなぁ…。
 当時のことを思い返してみる…。分かることとすれば俺のことを“マスター”と呼んでいたという事と、女性の声…っていう事だけなんだよな。情報が少なすぎて笑えない。
 そう言えば…俺まだナインとXM8で魔弾が撃てるかどうかも試してないよな…それも試して見ないと。とりあえず、知性の武具って言うのがあるのは分かった。基本の事をも調べたいけど…ギルドで調べてたら怪しまれるよなぁ…。
 …とりあえずアリアの家に向かってみるか。


 階段を降りると、先程よりも人が多くなり賑わいを見せていた。


 俺は受付の方まで歩き、ルイに文献を渡した。
「参考になりました…ありがとうございますルイさん」
「いえ、お力になれたのであれば良かったですよ。今日はクエスト受注されますか?」
「ああ…いえ、今日はお休みさせていただきます。また何かありましたら立ち寄らせて頂きますね」
「かしこまりました。では、リョウさんお気を付けて」
「ありがとうございます。ルイさんもお仕事頑張って下さいね」
 ルイが一礼したのに合わせ、俺も一礼をしてギルドを出て行く。


 さて、アリアの家に行きますか。

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