異世界物語〜銃を添えて〜

八橋響

冒険者ギルドへ〜二人を添えて〜

 二人から質問責めにあった。
何故、小精霊の言葉がわかるか…だったり
その服装はなんなのか…だったり
持ってきたものはあれはどのようにして使うのか…だったり。
およそ30分にもなる問答が続き、今は3人でテーブルを囲みお茶会を開いていた
 オレンジの香りがする紅茶の様な飲み物と、クッキーの様なお菓子だ。
元の世界では紅茶など触れる機会もなかったが、いざ飲んでみると美味しいものだった。
柑橘系の香りはこうも安心をもたらすのか…と賞賛するほどだ。
淹れてくれたアリアの腕も良いというもの、一つの要因だと思うが。


「それにしても、この世界じゃ無い世界ねぇ…。そんなの考えられないけどね〜。小精霊がうろついてたリョウの事だし、嘘では無いだろうけど…」
「そうですね…、ちょっと信じ難いですが…。リョウさんの服装や持ってきた“えあがん”等を見てしまうと、もしかしたらと思ってしまいます。」
「僕自身もまだ困惑してますよ…。あのお二人にお願いしたいのですが、お二人には命を助けて頂いたご恩もありましたので、打ち明けさせて頂きましたが、あまり公にするのはよく無い事だと思います。ですので…このことは内密にしていただけないでしょうか?」
 そこまで話をすると、リーシャは少し怒った様な表情を浮かべる
「なぁにそれ?私たちがそんなにペラペラ喋る人だと思うの〜?第一、エルフでも精霊術師でも無いのに小精霊と話を出来るって時点で、ペラペラ喋れないわよ!」
「リーシャだったら、つい口を滑らせそうだからさ」
「言ったわねリョウ〜!」


 椅子から立ち上がり俺に詰め寄るリーシャを、手で制しながらアリアの方を向く
「ふふ…。確かにリーシャだったら口を滑らしちゃいそうだしね?
 大丈夫ですよ。リョウさん。今日のことは誰にもお話ししませんから。」
「アリアまでそんな事いう〜!?」
「ありがとうございます、アリアさん…リーシャもありがとう。」
 俺から標的をアリアに変えたリーシャはアリアに向かって、猫が威嚇する様な怒り方をしていた。フシャーって言いながら毛を逆立ててそう。
 この30分の間、リーシャからは堅苦しい言葉を使うなぁ!と怒られてしまった。
なので、今はこんな感じに砕けた口調になっているのだが、アリアにはそうはいかない。
 アリアも、普段の言葉でいいんですよと言ってくれた、ただアリアにはどうしても敬語が出てしまう。
なんとなく、大人びた雰囲気が俺をそうさせているんだと思う。


 二人には、俺のことを包み隠さずに全て話した。
 現実世界で大きな光を放つ白い扉を見つけ、その中におとされた…気がつくと、アリアの家のベッドで寝ていたこと。
 俺の服装に関しては、現実世界で行なっていた遊戯の様なものに着用する服と伝えておいた。サバゲーなんて言ったところで伝わらないと思うしな。
 そして、二人が一番興味を持っていたのがエアガンだった。
異世界ということもあり、この様な形状の道具というのはないらしい。
どの様な構造になっているのか、どんなことが出来るのか…など根掘り葉掘り聞かれ、これが一番説明に時間がかかったな。
…そういえば奇妙なことが一つ。
 先程、小精霊にナインを向けた時には気がつかなかったが、ナインやモデルシックス
XM8を持つと、なぜか力が抜ける様な感覚に陥る。
 ただ、その力が抜ける様な感覚は一定まで抜けるとそれ以上は抜けない様な…そんな不思議な感覚だ。
起きたばっかりの身体で、エアガンの重みがそうさせるのだろうと勝手に思っているのだが…
これの原因を突き止めるのは、ある程度生活の基盤ができてからでいいかと思う。
 リーシャが使わせて!と騒ぎ立てたが、リーシャに持たせたらすぐに壊されそうという本音と
室内で発砲すると危ないからという建前でなんとか抑えた。
 カップに残ってるオレンジ紅茶を飲みきり、俺は話を続ける。
「そういえば、お二人はどちらに行かれていたのでしょうか?」
「あ!忘れてた〜!」
「私も話に集中するばかりで…、先程は役場とギルドに行ってきたのです」
「役場…?とギルドですか!」
 ギルド、その言葉に興味を示す。
冒険者ギルドの事だろう、と推測をする。
冒険者ギルドと言えば、クエスト。ランク。
 最初は大抵薬草集めや、ゴブリン討伐などから始まり、最終的にはドラゴンなどの大型の魔物を討伐する様な…そう考えただけでワクワクする。
 ただ、一つ心配なことといえば剣等は俺は一切使用したことがない。
弓はアーチェリーをしていたこともあり、多少は使えるかなぁ…とは思うが実物はまた違うだろうし…。


 武術の心得もあるわけでもない。昔学校の授業で行った柔道が少し出来る程度だろうか。
それ以外でと言えば、俺には今もホルスターにささっているこのエアガンの心得しかない。
 昔から人一倍銃に関心を抱いていた俺は、幼少期からモデルガンやエアガンを購入し続けていた。高校生になると、毎週の様にサバゲーに参加していた。
どこの場所に敵が居るかの索敵やクリアリング、照準の合わせ方であれば他の人よりは秀でている…と思っている。
 コイツらで戦えれば心強い事この上ないのだが…
コイツらは只の玩具にしか過ぎない。他の方法を考えるしかないよな


「あれ?ギルドは知ってるんだぁ?それともそれも、本に書いてあったりするの?」
「うん、そうなんだ。俺が居た世界の本に書いてあるんだよ。冒険者ギルド…ですかね?アリアさん」
「はい、冒険者ギルドですね。私たちも登録しているんですよ。まだDランク何ですけどね…
 今回はまず役場に向かい、リョウさんの事情を説明しました。この街の人間として登録できるのは、この街にひと月以上滞在する事、その間犯罪等をしていないというのが条件の様でしたので、冒険者として登録してはどうか…と。」
「ふむふむ…」
「そのように提案をされましたので大丈夫だとは思ったのですが、一応確認のため冒険者ギルドに向かいました。受付のルイに確認したところ…、あ、ルイというのは私とリーシャの友人なんですが…、冒険者として登録しこの街に滞在する事は可能。との事でした。ただ…」
「ただ…?」
「いえ…なんでもありません。それはその時になればきっとわかりますから」
 含みのある言い方をしたアリアは、俺に笑みを向ける。
 なんだろうか?冒険者として登録する際に何か不都合があるのだろうか…?
…だめだ、全く見当もつかない。
 とりあえずは、冒険者ギルドに行けばわかるだろ。


「んじゃ〜、早速冒険者ギルドいこっか!」
「あ、いえ…じゃなくて、大丈夫だよ。場所さえ教えてもらえれば俺だけ行くよ」
「リョウはこの街の事な〜んも知らないでしょ!美女二人も案内役にできるんだし受けときなよ!」
「そうですよ、リョウさん。リョウさんのためにお話を聞いてきたのですから、最後までお付き合いさせて下さい」
「でも…悪いですよ」
 見ず知らずの俺を助けてくれただけではなく、俺のことを世話しようともしてくれているのだ
そこまでお世話になってしまって、甘えてしまっていいのだろうか。
 葛藤をしていると
「いいんですよ、リョウさん。気にしないでください。これは私のお節介なのですから。
 迷惑かもしれません、リョウさんは嫌なのかもしれません」
「嫌だなんて、そんなことは──」
「では、一緒に行ってくれますよね?」
 可憐な表情でにこっと笑うアリア。
「…アリアさんもなかなか意地悪ですね」
「ふふ、そうでしょうか? こうでもしないと、リョウさんはりょうしょうしてくれないとおもいまして」
 いたずらが成功した子供のように、アリアは舌を出す。
かわいいなぁ…チクショウ
そんな風に言われたら断れるわけがないじゃないか…


「ご迷惑をおかけしてしまうかもしれませんが…宜しくお願いします」
「よ〜し、そうと決まれば行こっか!冒険ギルドに!」
「リーシャありがとう。迷惑かけるけど宜しくな?」
「大丈夫!迷惑かけられたらその分リョウから何か貰うからぁ!」
 それは困ったものだ。と苦笑する
 席を立ち、先に外に向かう二人に続く
「じゃあ、行きましょうリョウさん」
「はい!」
 俺は、異世界生活のはじめの一歩として
 冒険者ギルドに向かうことになった。

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