俺、元日本人のガチ神だけどY◯uTuberになるね!
第50話
事実は小説よりも奇なり、なんて言葉があったりするけど、事態は余りにも突然だった。
アニメスタジオの機材が届いたので、パラ子アンドロイド達と整理をしていると、突然にパラ子がとんでもないことを言い始めた。
『緊急事態発生ですね。予想はしていましたが、人民解放軍が漁船団に偽装し先島諸島を占有しました。人質を取って立てこもりしているようですね』
「じゃあ助けに行こっか。座標指定してくれる?」
『その行動は推奨しません。民間人に偽装しておりますが、おそらくヤタ様が干渉すると、中国政府が関与していると正式に発表する可能性が非常に高いです。芦屋との約束通りにノータッチで行くべきです』
「なんとまぁ。じゃあ様子見しかないのか。門の向こう側に避難させたりした方がいいかな?」
『その必要はないかと。今回の一件に関しても、それなりに対策はしておりますのでご安心ください』
それならいいけど、なんかムカつく。
大人の事情があるのかもしれんが、構ってちゃんまでは良くても実力行使に出るのはちょっと違うだろ。
俺はただ、自己中心的にみんなを仲良くさせてしまおうかと画策していただけなのだが、大国がこれをやってしまうと台無しになる。
戦争をしているとのレッテルを貼られると、一気に寄り難くなってしまうからな。
そもそもはアメリカが裏で糸引いて中国を日本に嗾けてるんだよな?
じゃあアメリカに裏で絵図を描くのをやめさせるように、するのが先決。
かと言って俺が直接やめろコラなんてしたら、日本の負け? よくわからんけど、負けって事になるらしいから、間接的に干渉するべし。
「アメリカ行ってみるかぁ」
『座標は如何なる場所でも、そこに私がいる限り即座に用意できます』
「いいや。ミシェルのとこに飛ばして。久々に顔見たいし」
『了解しました。ミシェル・マクラーレンの位置を確認、座標指定しました。転移術式をリンクしてください』
じゃあちょっくらアメリカ旅行してみましょうか。
━━
「はいどーもネモですっ!ってあっちゃこっちゃで戦争まがいな事してるのに動画なんて撮っとれるかい!って話なんですけど、俺が手出ししたら負けらしいので放置ですオーバー」
戦争細かく知りたい? それなら戦争動画よろ的なコメよろしく! 戦場カメラマンで極上! ですね、してくるから。
ってな訳でね、俺はどこまで行ってもユーチューバーなんで、動画撮影の方を始めていきます。
「でぇー、なんですけども、どうにも南米勢がね、ターミナルタワーの利用開始をしたいと願ってる一方で、米国のトランク大統領かトランポリン大統領か知らんけど、髪の毛遊ばせてる系大統領がチャランポランなことを言ってガオっているらしくて、どうにも決定に踏み切れないのだとかなんとか。ってな訳で、少しアメリカに悪戯してやろうかと、やって来ました此処はニューーーヨーーーーク!!」
「はーい! 横からこんにちはぁ! お久しぶりですけど、皆さん覚えてるかなっ?」
そこで画面に飛び込んで来たのはヘイデンパネッティー◯ちゃんでは無く、いつぞやの日本観光に来ていたミシェル・マクラーレンである。覚えてるかな?
アメリカ行ってみようかなって思って転移先に設定したのはご存知の通りだけど、転移先はなんと如何にもアメリカンな大学で……。
これはほんのちょっと前。
「わおっ!ネム!!」
「だからネモだっつの。って何? ミシェルなんでこんなとこにいるの? 職場?」
「うーん、全部話せば長くなるんだけど「簡潔に」イエス。若返ったのが政府にバレて、18歳として身分証を作り直す事になったの。それでニューヨーク大学の研究室で、色々調べさせて欲しいからサンプル採取の代わりに報酬をって言われたんだけど、それじゃあココで勉強したいって言ったら入学を認められたの」
「え、何それ面白い。今のシーン動画に使っていい?」
「ネモがニューヨークにいるってバレちゃっていいならどうぞ。私はあなたのお陰で楽しい毎日が過ごせているから拒否権なんてない、好きに使ってもらって構わないわ」
すげぇんだよ。ミシェルってば52歳の癖にマジで18歳の女子大生って感じなんだよ。キャンパスの庭先のベンチでスムージー飲みながら勉強しててさ……スムージーだよ? あの豚骨ラーメンに感動した! って日本に来てたデブのおばさんが。
「じゃあ、動画のせいでセカンドライフのパートナーは見つかってない感じ?」
「これでも凄くモテるのよ? 私の正体を知ってても、それでも好きだなんて言ってくれるけど、今は勉強が楽しいからお断り。でも無敵だと思わない? 三人の子供がいて処女なのよ? 人生二週目楽しんじゃってるわ」
「やり直しは勘弁なって言ってたじゃんって、おい、どこ行くんだよ! おい!」
「カマン! 見せたいものがあるの! 」
そう言って相変わらず強引な性格のようで、有無を言わさずに手を引っ張って連れて来られたのは、何の変哲もない噴水のある広場である。
「どう? ニューヨーク大学って感じがするでしょ?」
「お、おう」
引っ張られて走らされてオチはない。
わかってたけどね、しかも学生達がわらわらと集まって来てしまう事態。
流石チャンネル登録3600万の俺。
認知度ぶっちぎりですオーバー。
「ピクチャーオーケー?」
「オケオケよ。ベリベリニアーね!」
ニガーの青年と顔引っ付けてセルフィーとかなんやし。もっとメス寄ってこいカモン。
こんだけ揉みくちゃになってしまうと警備員さんが駆け寄ってくるのも致し方無いわけで、早速転移でお暇しようと思ったんだけど……。
「おいお前ら大人に譲れ!! ネモ、ガキはいいから俺と撮ってくれ。SNSにあげてもいいよな?」
「勿論構わないよ。ほら、そこの人見知りガール。お前も入れ」
黒縁メガネの大人しそうな女の子も入れてあげた。
後で警備員さんのインスタでも教えて貰ってくれ。
「動画撮影をするなら、ここから始めるのがいいと思うの。ネモは反応が薄かったけど、結構有名な場所なのよ」
「じゃあ、ここで始めるか! よっしゃ! お前らも俺の動画に出演したいなら頑張って映れよー!」
んで動画開始の冒頭に戻るって感じでございもんせ。このやっせんぼが。
しかし人が集まりすぎて収集がつかなくなっているので、わかりやすく宙を歩きながらに、世の秀才達をパノラマビジョンでお楽しみください。
「はいっ、てなわけで人酔いでナチュラルハイなんでネモさんの特別悩み相談室を開きたいと思います! 悩みがある人は挙手! はい、そこのお前。如何にもイケてるオタクのお前だよ! 青いバックパックの! そう!」
「歯が痛い!」
「歯医者行け! 次! 嘘嘘、こいつに頼んで治してもらえ」
噴水の水を手で救って、フォーマットで治癒術の使える水の下位精霊のデザインをして完了、それっぽく演出するようにフゥと息を吹きかけると、水色の妖精のような精霊が、彼の歯痛を治療しに行く。実にイージーなミッションだ。
「はい、次ー! 痛い系はその精霊に治してもらえヨォ。はい、そこのガール。そうそう、メリッサ・ブノ◯っぽい感じの君。褒めすぎ? ははは!」
「私も日本の子達みたいに空飛ぶバイクに乗りたい!」
「えぇ! どうしよっかなぁ。アレ結構高価なもんなんだけど……あ! じゃあこんなのはどうよ?」
そこでサクッと創っちゃうのはホバーボード。アメリカって言ったらバックトゥーザ・フューチャ◯でしょ? つまりは空飛ぶスケボーがイッツアメリカン。
簡易飛行ユニットって感じだけど、コレ日本で売ったら流行るんじゃね?
足の位置で推進力の有無を決める仕掛けにしといたら反重力フィールドのお陰で落ちずに結構なスピードも出せる。
まぁ、バイク型や車型とは根本的にパワーが違う簡易なモノだけど、かなり価値があるとは思う。
「はい、ホバーボード! マーティになりたい奴は手ぇあげな! オウフ、多いな。売るつもりだったらあげないぞぉ。売ったらパラドックスにクラッキングさせるからなぁ! それにコレ貰ったら相談無しだぞー! フォカヌポウ、それでもかなり多いなクソが」
まぁ、一回創ってしまえば後はコピーペーストの要領でガンガン創れちゃうからいいんだけどね。
今回のアメリカ突撃で、恐らく後々政府にボコ叩きに合う未来が見えてるから、民主主義マックスのアメリカで彼らが俺を擁護してくれる側に回ってくれるだけでも全然嬉しいし、その為の先行投資って事にしとこう。侘しいのう。
ご機嫌取り作戦で来たのにボコ叩き前提とか悲しいのう。
「よーし! じゃあ精霊の治療とホバーボード貰った奴は、右! こっちに移れ! 左に残った奴らの相談に乗ってやろうじゃねぇか! サクサク行くよぉ。次はそこの眼鏡娘、悩みを述べなさい」
真っ白な肌に真っ金金の髪のステレオタイプの白人女性って感じの子を選んでみると、彼女はドギマギしながらに右手を何処に置いていいのか分からず彷徨わせた後に自身の胸の前で小さく握った。多分ロザリオでも握りしめたかな? 面倒な予感が溢れてきてます。
「どうか、どうか神を僭称するのはおやめ下さい。あなたが使徒様なのは重々承知しました。ですが、神を容易く名乗るのだけは、どうか」
「オッケー! 約束するよー! じゃあ、同じ願いの人は右にずれてねぇ! はい、次はそこのアメフト系男子!」
「神と名乗るのを辞めると神に誓って欲しい!」
「はぁ……もういいや。他にも相談したい事があった人はごめんね! 俺は長い奴としつこい奴は嫌いなんだ!自分が長くてしつこいから同族嫌悪ってやつね!」
そういや、ここも一神教の国だったな。どんな土地にも土着の神ぐらいはいるだろうに、きっと力を失って滅されたか、おそらく神界の端っこに引きこもってしまったのだろうな。
高天原の神々みたいに最強のヤクザ、じゃなくて概念武装で強靭な神々無限に生み出してから、早々に組織化してオラァ! ってしてたら、宗教じゃなくて思想が尊重されるようになっただろうに。
「じゃあミシェルまたね。勉強頑張って!」
「ええ、ありがとう。またいつでも来てね」
大学生は名残惜しそうにしているが、今は我慢してくれボーイ。
そのまま視覚転移で離れてからビルの屋上でカラスちゃんに変身してから着替えます。
予想以上にネモの知名度が高いので、一先ずはカラスちゃんの姿で潜伏する事にする。
サングラスでもしておけば、顔面わからんだろうしな。
まったく……もうじきアニメスタジオ本格始動ってタイミングで戦争状態とかマジでワロエナイ。
「勢いでアメリカ来てみものの、何をすりゃいいのか」
理想としては日本が中国と戦争する事によって米国に損害が及ぶようにすることだ。
奴らの狙いは日中間の仲裁に入り、米国のおかげで助かっただろって話で日本にケツを持って行って、米中でツーツーになれたらいいね、だろ?
最終的に西日本割譲ぐらいを引き合いに出して法外な賠償請求、からの天照州の権利を米中で山分けって具合が落とし所かな。でも現時点では中共では無く民間の暴走を装ってるから戦争云々の兼ね合いよりも、米国の視線を日本から逸らすのが重要。
その為にも、米国の国民感情を『日本は大事!』までは無理にしろ『ネモ歓迎!』ぐらいには持っていきたい。
『ホバーボードのプレゼントや精霊の使役権の譲渡などは素晴らしい判断であったではありませんか』
「うーん、若者の支持集めになればいいかなってやってみたけど、物で釣れた奴って結局物でしか釣れないんだよ。命の恩人とかならまだしも……」
命の恩人? 豚型オークぶっ放して俺が助けたり? それは自作自演即バレか。
けど悪くない、つまりはわかりやすく悪者を仕立てればいい。
米国の大統領と同じ手口だ。
イスラム教徒が悪いからイスラム圏の入国禁止しる!
メキシコはヤク中しかいないから壁作る!
中国は儲けすぎてるからカツアゲしる!
うまくいった! 俺スゲーーー! が彼のやり方。
ならば、俺もわかりやすく悪の組織のバックアップをして、そいつらをやっつけるヒーローになればいい。
「パラ子、麻薬売買に深く関わりのある組織の偉い奴のとこに飛ばしてくれ」
『了解しました。相当数候補が見つかりましたが、ヤタ様の希望に添える人物を厳選し、アルファベット順に並べました。アレックス・アビゲイルの元へ座標指定しますか?』
「誰でもいいよ。麻薬組織ならね」
そして転移した先は、何らかの研究所のような施設である。
白衣を着た男達が何らかの薬物を精製している。
「おい! 何故精製のペースが上がってるんだ! 俺はお前らに無理をして欲しくないと散々言っているだろう!」
「しかしボス。私達はボスに拾って頂いた恩を返したいのです。十分過ぎる報酬に仕事量が見合ってません」
「そんな事は考えなくてもいい!! いいか? これは犯罪だ! 麻薬、それも最悪の麻薬と呼び声の高いヘロイン! 年間何人ものヤク中がヘロインのせいで死んでる!誰が聞いても重罪だと即答する犯罪なんだ。お前らがマイペースに気の向いた時に精製してくれるだけで、俺も組織も大儲け。だがお前達がいなければ俺は何処にでもいるチンピラだ。いいか? わかるだろ。 お前らは俺の宝であり、愛する子供達なんだ。だからどうか無理をしないでくれ」
「ありがとうございますボス。パラドックスショックで職を失った俺を拾ってくれただけじゃなく、そんな優しい言葉を……」
「おいおい勘弁してくれよ。俺は泣かそうなんて思ってないぜ? 馬鹿野郎」
なんかフィンランド系のゴツゴツしてるけど綺麗な白人のダディが、赤毛の白衣を着た青年とハグをしてる茶番劇を散々に見せつけられた。
見て明らかに二人とも、俺に気付いてるんだけどな。
「俺、ボスの為なら何年でも懲役にいきます」
「おいおいミスターブラウン。俺はいつも言ってるだろ。組織が潰れても、この精製プラントが世に出る事はない。組織が潰れたらバレないように細々とヘロインを売って生活費を稼げばいいと」
ボスさんとミスターブラウンは俺をチラチラ見ながらにハグをやめて、早速仕事の続きをしようかと背を向けようとした瞬間に胸元から銃を抜き出し踵を返す。
ナイスチームプレイ。ミスターブラウンは真面目そうな赤毛の青年なのに、得物はコルトダブルイーグルと中々に物騒な代物である。
「嗚呼、ミスターブラウン、すまない。君は真面目な研究者であったのに、そんなにあっさりと銃を人に向けられるようになってしまったのは、私のせいだね」
「違いますよボス。皆、ボスの役に立ちたいのです」
ふと見渡せば、周囲の白衣を着ていた連中だけでなく、キャットウォークの上からもアサルトライフルを構えたスーツのオッサンが立ち並んでいる。
「撃ってもいいけど、折角の精製工場が台無しにならない?」
「なぁに、家族を守る為なら工場と子猫ちゃんの一匹ぐらい消してもなんら問題ない」
「あらそう? じゃあビジネスの話は殺された後にしようかしら」
「あの世で神に伝えてくれ。彼は愛を知る数少ない人間の一人でしたとな」
その言葉が合図となり、工場の四方八方から乾いた銃声が折り重なり響き渡る炸裂音の連弾となって俺に襲いかかる。
さて、今回はいつもとは嗜好を変えてみよう。
そのまま弾いたり転移したり弾丸で人形を作ったりしてきたけど、敢えて今回は全ての弾丸を甘んじて受ける。
顔面に花を咲かせた時の応用で血飛沫を散らす配慮も忘れない。
まさに全身蜂の巣である。
確実に死んでるだろって状態であっても、発砲冷めやらぬまま延々と俺を撃ち抜いている。
「ボス! 全弾ぶっ込みました!」
「ボスー! こっちもです!」
「ボス! 俺は全部ヘッドショットでしたよ!」
ボス! ボス! と構成員達が空になった銃を掲げて報告している。
「まさに獅子は鼠を狩るにも全力であるとはこのことか! 素晴らしい働きだぞ息子達よ!!」
まぁ、女一人穴ぼこにして勝鬨あげてるサイコ集団には悪いけど、ここでムクリと立ち上がって挽肉になった体を逆再生で癒す。
体内に残った弾丸は口からダダァーっと吐き出しておく。
「あ、あくま……」
「そんな……」
当然ギャング達は総立ちのままポカンとしており、ボスとミスターブラウンは、目の前で腰を抜かしてへたり込んでしまうが俺は悪魔ではない。
「自己紹介がまだだったな。私はレイヴン、レイヴン・シモーネだ。さて、アレックス・アビゲイル、少しビジネスの話をしないか?」
「レイヴン・シモーネってポルノ女優じゃ「だまれ」はいっ!」
「まぁ、話は簡単だよ。ヘロインよりトリップ出来て、全ての薬物依存を改善出来て、更には超能力者になれる。そんな素敵な薬物を販売してみないかい? 当然拒否するならお前ら全員死にたくなるぐらいいじめるけど、ね」
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コメント
ノベルバユーザー229059
確かにアイコン髪遊ばせとるなw