俺、元日本人のガチ神だけどY◯uTuberになるね!
第43話
で、フィリピン行くと思うじゃん?
「はいー、ネモさん今日はインドネシアはジャカルタのターミナルタワーに来ております! フィリピンがレベル3の渡航禁止になってしまっていますが問題ありません! だってインドネシアがあるんだもん」
フィリピンはファーディナンドもいるし、政府が早急に渡航禁止にして、邦人引き上げを強行してくれたみたいなんで、急ぐ必要はない。
てな訳で、インドネシアのターミナルでトリアーエズ護衛ユニットの説明でもしてやろうかと動画を撮りに来たのだ。
軽い説明は前の動画でしておいたけど、どれぐらい安全かって実証はまだしてなかったからね。
「インドネシアは急激なイスラム化が止まらなくて、イスラム国ばりにテロとか拉致とかが頻発してるのは、皆さんご存知の通りだけど、ターミナルでね、入国手続きをしたらパラ子に護衛ユニットをお選び下さいと言われます。ディスプレイに狼、猿、鷹のマークが表示されるので、好きなのを一つ選んで下さいね。今回は実証動画なんで俺は三種類連れて行きますけど、本来は一人一つです。けど三人旅行だと同じ護衛スタイルになるかな? 」
ディスプレイをタッチすると、三柱のポッドの中で狼型、猿型、鷹型の金属生命体が組み上がって行く。
滑らかな金属流体じゃなく、メカメカしくしたのは俺の趣味だ。
なんとなく、その方がカッコいいじゃん? 性能はそんなに変わらん。
「本当は魔物を護衛につけて、物見玉ってアイテムでパラ子に随時監視をさせる予定だったんだけど、メカユニットならパラ子搭載できんじゃね? ってことになって、コイツらにはパラ子も搭載されてるのが安心ポイントの一つ」
メカメカしいロボ獣達が排出されると、お次はパラ子に右手を置いて下さいと手形を差し出される。
「この手形に手を置くと、インドネシアで考えられる感染症や病気などのワクチンが投与されるので、ご安心をっ! 痛くないよ? 手のひらに、のの字を指で書いてみてください。まさにそんな感じだから」
投与が終わると入国ゲートが開かれるのでトラベル開始である。
護衛ユニットの製造ポッドは池袋の配水塔みたいな巨大ポッドの中に魔石と流体金造を溶かし込んだ液体で満たし、それらを加工する為に俺の神力を蓄積してる仕組みだけど、使ってる神力は人間が歩いたらこぼれ落ちる目に見えない皮脂や細胞と同じような量でしかないので心配ナッシング。
つまりどれだけ使おうともなんら問題ない。
ゲートを潜れば、10発のエレベーターがあるので、それを使って地上階に降りると、そこは既にジャカルタの街なのであーる。
「鷹型ユニットは極小の反重力コアを搭載しているので、頭上の邪魔にならない位置にて監視体制に入る。俺の頭上で鷹型ユニットが旋回しているが、あれは半径1kmの熱源感知により人間の行動パターンをデータ化している。敵意を感知する能力を兼ねており、殺傷能力のある武器を携帯していたり、通常の行動パターンが逸脱している人間を敵と判断し、両翼に6000発ずつ12000発搭載している極小の麻酔針により事前に昏倒させるんだ」
近くで数人ぶっ倒れるが、たまたま銃とか持ってたのかな? 申し訳ないけど、ユニットのスキルとパラ子の能力の併せ技なので、悪い奴だったのは間違いないと思う。
「一度麻酔針を撃たれて昏睡してしまえば72時間は何があっても起きない。12,000発もあるのでイコール1万2千人を昏倒させる事ができるので、弾切れになる事はないと思うが、残量はパラ子が管理しているので、心許ないのであらば、安全な場所に隠れて補充に行かせるか、共に補充するかを選択してくれ」
『いきなり私をパラ子と言っても混乱しませんか? 動画撮影の際はパラドックスと呼んでいたと記憶しておりますが 』
「なんとなくでわかんだろ。」
じゃあ次はお猿さん。
さっきから俺の背中にしがみついていたので、みんなも気になるだろうから、先に猿の説明。
「猿型は反重力コアで自重をほぼ0にした状態で体にまとわりつく。まぁ、負んぶに抱っこに肩車に足に巻きついたりと、性格によって違うが、まとわりついてくる。こいつはおんぶが好きみたいだな。猿型の主な特徴としては、自分で戦いたい人向けの護衛ユニットだ。パラ子、頼む」
『かしこまりました。それでは』
俺の合図と共に背中の猿は一気に分解され、俺の全身を覆うパワードスーツに変化する。
「猿型ユニットはパワードスーツになり、身体能力を著しく上昇させる。エルフの弓矢と同等に【不殺】を付与しているので、死にたくなるぐらいにボコボコにしてやればいい。自分で戦うのが怖いけど、猿型がいいなって場合は、パラ子が思考処理を受け持ってくれるので、最効率で敵の処理をしてくれるので安心だ。つまりアイアンマ◯になれるってことだね!」
危機管理、危険予測に伴ってスーツ着用をパラ子が管理するので、好き勝手脱着は出来ないが、ロマンがないデメリットは俺の口からは言わない。
その辺の説明はパラ子に丸投げだ。
「そして狼型は、日本人向けの皮肉を込めたネタ護衛ユニットにした。専守防衛型で、コイツは護衛対象に物理無効障壁を張る。わかりやすく言えば無敵バリアだな。そして、いや、論より証拠だな」
目の前でゴブリンさんを作ります。
いつもすいません、ゴブリンさん。
大切に育てたらビビるほど強くなるのに、いっつも殺してすいません。
絶対ネモ殺すマンに設定した目の前のゴブリンさんは、俺を見るや否や襲いかかり、武器を持たせてあげてなかったので必死に拳を振り抜いてくる。
そして狼ユニットがヴォンっと吼えると、ゴブリンは目を回しながらに全身をガクガク震わせて、涙鼻水よだれは勿論、糞尿垂れ流しのままに卒倒する。
「攻撃を確認すると、吼えるだけ。だが、吼えると同時に射出される神経毒により、1秒間が31536000秒、日に換算して365日、つまりは一年間に感覚が引き伸ばされ、狼型ユニットの特殊効果である恐慌状態の付与がなされる。つまりは一年間、時の止まった空間で恐慌状態に曝される」
一年間身動きも取れずに恐慌状態に曝されて、廃人さんこんにちはって具合です。
「相手は精神崩壊で廃人確定お疲れちゃんだけど、やられたからやったって感覚は心に優しいよねっ! 」
目の前で狼型ユニットがワンワン吠えまくって人が倒れまくってるけど、石を投げたアイツらが悪いし、俺は何が起こってるのか理解できるけど、一般人としてはワンコが吠えてるだけって感じで罪悪感も少ない。
熱中症かな? 感染症かな? ってノリだ。
「おすすめは鷹型だけどね。自分の預かり知らぬところで安全地帯にしてくれるわけだし、普通に観光が楽しめる。猿型なんてバイオレンス仕様だし、狼型は攻撃をされてからのやり返しだから、攻撃をされた事実が嫌な気分にさせられる。まぁ、どれを選ぶかはあなたの自由ですっ!」
なわか忘れてることないかな? 翻訳飴の説明なんていらないし、ワクチンもオッケー。護衛ユニットもバッチリだし……いや、護衛ユニットのその後に関しても言っておくか。
「護衛ユニットは個々人専属なんで、ターミナルタワー近郊でご主人様の帰りを待ちながら周囲の治安維持を頑張ってくれます。メカメカしい見た目だけど機械生命体であって魔石で心核も代用してるので、会いに来てくれないと悲しんじゃうぞ! オプティマ◯やバンブルビ◯と同じと考えて貰って構わん。してやったり、ニヤリ」
心核だけ分離して金属流体に戻す予定だったんだけど、パラ子が使いたいって言うから、そのまま残すことにした。
インドネシアが護衛ユニットまみれになりそうな気もするけど、パラ子が上手いことやってくれると信じて任せる。
「パラ子、鷹型ユニットと狼型ユニットに俺のカメラつけて」
『既に記録媒体を備えているので、取り付ける必要はありません』
あらそうですか。
俺には護衛なんて必要ないから、撮影係にしてやろうと思ったんだけど無駄だったな。
俺の相棒である4kハンディは背中の猿に持たせて、お次はインドネシア観光動画レッツラゴー。
「はい! では早速アラレちゃんに土下座して現金をゲットしたので両替しに行きたいと思います! パラ子のおかげでね、俺の口座もゲットできたのはいいんだけど、銀行に行ったら通帳かキャッシュカード作れ的な事を言われ、面倒になったので土下座しました! 世の中はパラ子決済だってのに、銀行は遅れてるぜてやんでい」
街を適当に歩いているとMoney  Changeと書かれた看板を見つけたので、突入。
シャツを着たオッサンが出迎えてくれたので、早速アラレちゃんが下ろしてくれた100マソを出します。
「両替お願いします」
「あんた馬鹿か? してやらんでもないけど、そんなに必要ないだろ」
「え、いいじゃん。してよ」
オッさんは舌打ちしながらに両替を開始、少しムカついたが次第にその理由がわかってくる。
なんか10万ルピアの札束が13個出てきて、オッサンが手数料差っ引いて差し出してきた。
てか、全部数えた後に輪ゴムでまとめるんだけど、手品みたいに2枚ずつテーブルの下に置いて、98枚ずつで渡してきてるのはワザとかな?
『高レートの両替所などではよくあるようですよ。つまりは詐欺です』
「えー、皆さん。なんとですね、高レートの両替所では、このようにしてお金を抜かれたりする詐欺が横行しているようなので、どうかお気をつけて下さい」
2万円以上抜かれてるから、こっちの物価で考えたら物凄い大金である。
「さて、皆さんであれば、ここで注意して返金させるのがベターだと思いますが……どうしてくれようかな?」
『この店は勿論、関連企業も含めた全ての口座から現金を引き抜いてしまいましょうか?』
「こいつらは腐れ外道だけど、それはやり過ぎでかわいそうだから……あ! いい事考えた!日本と台湾のBAT利用の観光客は、両替所で換金をして、とりあえずは騙されてあげて下さい。後で数えて、抜かれていると発覚した場合は、抜かれた金額と手数料をパラ子がクラッキングして、両替所の口座から引き抜く。つまりはお互いしてやったりって感じ」
『無駄も多く感じますが了解しました。数える時間が無駄なので護衛ユニットにマネーカウンターを組み込んで頂いてもよろしいでしょうか?』
「いや、要らんだろ。みんなインドネシアで一気に100万円も換金しないよね? 別にお金数えるのは楽しいし、いーじゃん」
『これだから非合理的な紙媒体は嫌いなのです』
「まぁ、クレジットカードが使えるところはパラ子の決済も利用できるし、クレジットカードとかキャッシュカードを持ってるなら、ATMで引き出すのが無難。一か八かで手数料タダにしたいなら、このおっさんの店みたいな怪しい両替所使うべきだね。むしろ騙されたいジレンマを楽しんでくれ」
全ての両替が終わったので、手数料コミコミで抜かれた金額を俺の口座に引っこ抜き、100万円ルピア の束をポッケに、残りは腹に抱えるフリをして亜空間にしまい込んだ。
「ありがとオッチャン!」
「ふん、またきな」
あいつは骨折り損の草臥れ儲けだって事にいつ気がつくのかな?
この動画が配信されたら、是非見て貰いたいものだ。
「はい! それじゃあ無料で両替できてラッキーだったわけですけど、これからね、インドネシア観光ってどんな感じ?って疑問を、俺が体を張ってレポートしたいと思います! えー、有名な観光スポットとしては神社、寺院、教会とかになってくると思うけど、俺の場合、喧嘩になったりするかもしれないので、別のスポットを歩きながらに探そうと思いまーす」
もう辺りは暗いし、昼間の空気から夜の騒がしさに切り替わってるんだけど、別に食い物写してもナシゴレンしかないし、ただ歩いていたって何も始まらない。
断食月じゃないから地元民と酒でも飲もうかって言ってもバッタンバッタン護衛ユニットに倒される奴らと酒なんて飲めないしな。
「おい兄ちゃん、探してんだろ。間違いないから30万ルピアでいいからおいで」
「いや、俺熟女はちょっと」
「おばちゃんとするってかい? 馬鹿な事言ってんじゃないよ。可愛い子いるから見てみなよ」
なんか知らんけど、ババアに絡まれた。10万ルピアが800円くらいだから、30万って2千4百円? そんな値段で買春するとかすんげぇな。
知識としては知ってても、目の当たりにすると中々破壊力がある。
「この子達だよ。どの子がいい?」
「じゃあ、全員30万ルピア払うから、お話を聞かせて貰ったりできないかな? 俺ユーチューバーなんだけど、ジャカルタはどんなとこかって観光動画を撮ってるんだ。勿論ノープレイでいい」
「顔を写さないならいいよ」
「私もそれなら構わない」
本当は顔写したいんだけどなぁ……まぁ、いいや、それはみんなが旅行に来た時のお楽しみって事で。
「うぃー、じゃあ早速ジャカルタの立ちんぼさんにお話をお伺いしてみましょう。まずお名前は?」
どっちも黒髪の褐色系で、ぶっちゃけそんなに可愛くない。昼間に結構美人が歩いてるのを見たので、少し残念。
ババアの呼び込み付きはブスとかルールがあるのかな? たまたまハズレな気もするけど。
「アユ。こっちはマリッサ」
「はい、俺はネモです、よろしくさん。まず、立ちんぼってどんなシステムなの? 順を追って説明して欲しい」
「普通に座ってて、声をかけられたら値段の交渉して、ホテルに行くだけ」
「二人は大体30万ルピアぐらいなの?」
「20か25ぐらいが多い。最初は高めに言うの。優しい人ならそれでいいって言うし」
どうやらマリッサはあまり喋らないようである。横でウンウンとつまらなさそうに相槌を打って、間違ってないよと俺にアイコンタクトをしてくる。
「なんで立ちんぼなんてしてるの?」
「稼げるから」
「お店とかの方がお客さんとか値段とかいいんじゃないの?」
「私は置屋とかだと15万ルピアぐらいだしマージンも取られる。それに摘発とかも怖いし。だから声をかけて貰ってお小遣いをもらう。ナンパされたのと一緒よ」
「ジャカルタはいいところ? 」
「セックスは嫌いじゃないけど、それは慣れたから。こうしないと生きていけない国なんて楽しくないよ」
おっと。ジャカルタのいいところを聞こうと思ったんだが、彼女の幸福度の有無を聞かれたのだと勘違いしてしまったようだな。
買春婦の闇なんて、ヤンデレラ放送になっちゃいそうだから話題を変えなければならないな。
「じゃあ二人に最後の質問、もしも願いが叶うなら、どんな願いを叶えて欲しい?」
「お金に困らない生活がしたい」
「違う国に行って人生をリセットしたい」
うん、駄目だな。
これはちょっと暗い動画になってしまう。俺的にはインドネシアなんて夜遊びぐらいしかないだろメーンとか思って、現地の女の子達がキャピキャピしてる動画を撮りたかったんだけど、思わぬ結果になってしまった。
「君達スマホ持ってる?」
「さすがに持ってる」
「じゃあ、話が早いパラ子」
俺のスマホから彼女達のスマホにパラ子が入り、画面でパラ子が二人に挨拶をしてる。
インドネシアは企業ぐらいしかパラドックスをインストールしておらず、個人レベルでは全く普及していないので、パラ子さんを移植してあげました。
「それがあればターミナルタワーの空飛ぶ新幹線に乗れるようになるから、頑張って稼いで日本や台湾に遊びに行ってみるのもありかもね。そのチャンスをどう使うかは君達次第だけど」
この子達が日本に行くとしたら、ターミナルで妖精が性病とかも治してくれるだろうし、翻訳飴を買って日本語が使えるようになればパトロンを見つける事もできるかもしれない。
出会い系でいい出会いがあるかもしれないし、内緒でアルバイトさせてくれるところもあるかもしれない。
性病かどうかは知らんけど。
何から何まで助けてやろうとは思わないが、ここで会ったのも何かの縁だし、これぐらいのチャンスは与えてもいいだろう。
ジャカルタの高級娼婦なら1万円から2万円ぐらいなのに、道端で2千円って漫画だろ。ホ別1の観光援交でもしてこいって話だ。
日本に自腹で援交しにいけって言ってるようなもんだけど、俺は一体何をしているんだろう。笑えて来た。
気にしたら負けだな。
だれかあいつら見かけたら買ってやってくれ。
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