錬成七剣神(セブンスソード)

奏せいや

最後の戦い3

「あんた、生きていたのか!?」

 聖治はすぐに駆け寄り魔来名まきなを見上げる。精悍な表情は相変わらずで、魔来名まきなは鋭い眼光をグレゴリウスに向けている。

 今は戦闘中。目を逸らしていい場合じゃない。それは分かっているが、聖治は魔来名まきなに声を掛けずにはいられなかった。

 すると、魔来名まきなの視線が聖治を見つめた。

 それだけで、聖治はなんだか嬉しくなった。

「フン。お前には無理そうだな」

「そ、そんなことはない! それよりも傷を治せよ!」

 聖治は織姫おりひめ魔来名まきなに渡す。形はすでに天黒魔あくま専用である鞘になっており、完治を祈る千羽鶴が揺れている。

 聖治たちスパーダの身体が常人とは違うといっても、魔来名まきなが負っている傷は致命傷だ。むしろここまで生きてこられただけでも奇跡的だ。

「いらん」

 なのに、この男は断った。

「なに強がっているんだ! その傷、ほっといたら本当に死ぬぞ!?」

「……治った」

「嘘付け!」

 そんなわけあるか、コートの下から血が垂れている。

「あんた、昔から嘘が下手だったな!」

「黙れ」

 魔来名まきなは聖治を押し退け歩き出した。部屋の中央に立ちグレゴリウスと向かい合う。聖治は不満を抱きながらも魔来名まきなの隣に立った。

 聖治と魔来名まきなが並んで立つ。共に同じスパーダ。同じ目的を持つ者同士として。

「グレゴリウス、貴様はもはや死んだ身だ。現世を総べる資格などすでにない。時代は変わる。旧時代の亡霊、消える時だ」

 魔来名まきなからの世代交代の宣言。それは自分たちが勝つという宣誓だ。

 そして、聖治もグレゴリウスに言う。

「グレゴリウス……。お前は、さっき俺が失敗だとそう言ったな?」

「…………」

 聖治の言葉にグレゴリウスは答えなかった。無言のまま聖治の言葉を聞いている。

「そうか」

 聖治は小さく呟いてから、瞳に力強い意志を宿して言った。

「なら証明してやる。お前にとっては失敗でも、俺にとってはこれこそが最高の力だと。それはスパーダや能力なんかじゃない。絆の力だ!」

 最恐最悪の儀式、錬成七剣神セブンスソード。だけど、そこで聖治は出会った。

 星都せいと

 力也りきや

 此方こなた

 日向ひなた

 香織かおりさん。

 そして、魔来名まきな

 皆との出会いで、聖治は今ここにいる!

魔卿まきょう騎士団は変わる。俺が、いや、俺たちが新たな魔卿まきょう騎士団になる!」

 そう言って聖治は右手を頭上へ翳した。高く、高く、天にまで届くように。頂に立つ長、新たな団長として。

 自分たちの絆は、こんなところで終わらせない。

 だから、聖治たちは進むのだ。

 絆が作る未来、その先へ!

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