錬成七剣神(セブンスソード)

奏せいや

決戦9

 聖治の全身が発光する。黄金色の光が聖治を包み、それは聖治そのものが神剣しんけんゼウシスとなったかのように。風に運ばれ踊る様は、まるで金粉を散らしているかのよう。

 聖治は唱える。あらゆる剣を鞘から引き抜くように、天地鳴動、己の究極を作り出す!

「こい! 究極錬成七剣神アルティメット・スパーダ!」

 そして、黄金は六つの剣となる。聖治は六本全てのスパーダを出現させたのだ。全スパーダは空間に展開浮遊し、聖治の周囲をゆっくりと回っている。

「これは……」

「いくぞ星都せいと! 力也りきや!」

 その中から聖治は光帝こうてい剣エンデュラスと鉄塊王てっかいおう撃鉄げきてつを手に取り、二刀流で魔来名まきなを迎え撃つ。

 さらに先制攻撃として神剣しんけん聖王剣せいおうけん魔皇剣まこうけんの剣先が魔来名まきなを捉え、弓矢のように発射した。

 迫る三本のスパーダを魔来名まきな天黒魔あくまの剣撃で撃ち落とす。手元が痺れるほどの威力に表情を歪める。

「はああ!」

 そこへ、神速で駆け抜ける閃光が魔来名まきなを襲う。しかも、剣撃は今までの軽いものではなく最重量。

「ちっ」

 光帝こうてい剣との併用で撃鉄げきてつを高速で振るう。とても防げる攻撃ではない。魔来名まきなは空間転移を発動して回避、聖治の背後に忍び寄る。

 だが、反撃の隙は与えない。発射した三本のスパーダはすでに聖治の元で旋回しており、背後に現れた魔来名まきなに再び襲い掛かる。

 魔来名まきなは卓越した剣術で捌き切るものの、強襲は終わらない。

「逃がすか!」

 空間に浮遊する聖王剣せいおうけんの刀身が輝く。周囲のマナを源に、剣先から光線を発射する。

 魔来名まきなは瞬時に反応して切り裂くものの、一度が駄目ならば何度でもと、聖王剣せいおうけんは単体で平行世界からマナを取り込み放出する。

「フン」

 幾度と襲う光線を回避する。その度地面は破砕され破片が散っていく。

 聖治は超高速で駆け回り、魔来名まきなは空間転移で対抗する。

「一緒にやるぞ! 此方こなた日向ひなた!」

 聖治は両手のスパーダを持ち替えた。右手には聖王剣せいおうけんを。左手には魔皇剣まこうけんを。白と黒の姉妹剣。光と闇を両手に、能力を同時に発動する。

 周囲を覆う漆黒の闇に、一直線に貫く白銀の光。カリギュラは屋上を蹂躙し、ミリオットの光線は魔来名まきなをピンポイントに狙撃する。

「くだらん!」

 魔来名まきな天黒魔あくまの呪いでカリギュラを斬殺するものの、その場に留まってはいられない。聖王剣せいおうけんの攻撃を回避しながら目の前を阻むカリギュラを切り刻んでいく。

身動きが取りづらいことこの上なく、屋上全域を覆っているため空間転移を用いようにも逃げ場がない。

 魔来名まきなの移動速度が鈍る。

 そこへ、聖治は両剣を投げつけた。単調な攻撃であり魔来名まきなほどの手練れに通じるわけもなく、あっさりと迎撃されてしまう。

 だが、弾いた直後に魔来名まきなは気づく。

 周囲を、スパーダに囲まれている。全ての剣先が魔来名まきなに向かって旋回しており、攻撃の合図を待っている。

 聖治はその中から神剣しんけんゼウシスを手元に持ってくる。己のスパーダであり黄金の剣が夜気を掻き消す。

 そして、

「うおおおおお!」

 この戦いに幕を下ろすため、決死の覚悟で突撃した。全身に黄金光を纏い、胸に絆を秘めて、聖治と魔来名まきな、セブンスソードの最終決戦を終わらせる!

 地面を蹴り跳躍してゼウシスを振り下ろす。聖治の一撃に応えるように、魔来名まきなも全力の一刀を聖治に放つ。

 ゼウシスと天黒魔あくま、全身全霊を以て刀身が激突する。轟音は夜空にまで響き、衝撃に魔来名まきなが立つ地面がクレーター状にへこむ。

 力の押し合いに二人とも体が硬直する。その隙に周囲に展開していたスパーダが一斉に魔来名まきなに襲い掛かった。

 全方位から放たれる刀身。それらを回避するため、魔来名まきなは上空へと跳躍する。その後を追って聖治も離陸する。

 魔来名まきな目がけゼウシスを振り上げるが、迎え撃つ天黒魔あくまに弾かれ落下してしまう。

 だが、聖治は真下に撃鉄げきてつを横に浮遊させており、大剣の刀身を足場にしてすぐさま追撃する!

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