錬成七剣神(セブンスソード)
決戦1
「それがどうした。今の俺たちには関係ないことだ」
それを魔来名は無意味と断ずる。
「俺の仲間が、言っていたんだ……」
聖治は魔来名の言葉には返事をせず、自分の話を進めた。噴火するほどの怒気は収まり、声は懐かしむように悲しさで濡れていた。
「家族は、大切な存在なんだって」
聖治は語る。ここにはいない大切な仲間が言い残してくれた言葉を。妹のために一生懸命で、守るために必死に生きた、一人の少女の言葉を。
「家族っていうのは、お互いを助け合って、思い合って、困難も、一緒に乗り切るものだと! 彼女は、死ぬ間際にそう言っていたんだ」
仲間の喪失は今経験したばかり。胸にはまだその悲しみが渦巻いている。
「あんたは気に入らない! 許せない! だけど」
聖治は睨み上げる。目の前に立つ、強敵でありかつての兄を。
「俺はあんたを斬らない。俺は仲間を大切に思っている。絆を信じている! その仲間が俺に言ってくれた。家族は大切なものと、死ぬ時でさえそう言ったんだ。なら――」
聖治は片手を胸に当てる。瞳には確固たる意思を宿し、力強い眼差しが光った。
「俺がそれを信じないでどうするんだ! 魔来名、俺たちが兄弟なら、俺たちは分かり合えたはずじゃなかったのか!? こんな殺し合いになんの意味がある。俺も香織さんも、他の仲間たちだって、絆を合わせれば錬成七剣神を切り抜けられた。みんなと一緒に、あんたと一緒ならそれが出来たんだ!」
「くだらん」
聖治の叫びを魔来名は再び弾き返す。
「俺の考えは変わらん。もっと力を得ること、それだけだ」
冷酷に。冷徹に。魔来名の目は手に持つ刀と同じようにするどい。
「協力? 仲間? 虚しいものだな。誰よりもそれを信じてきたお前が今ではたった一人だ。絆など弱い。あるのは力、それだけだ」
魔来名は言う。聖治の語る絆を否定し力こそがすべてだと。そう断言する彼の意志は鉄のように固く氷のように冷たい。
「そんなことはない! 力だけで作り出す未来にあるのは、己の欲しか満たせない空虚な世界だけだ。絆で切り開く未来には人の笑顔と幸せがあると、俺はそう信じている!」
「いらん。世界の形など強者の足跡に過ぎん。 絆などなんの意味もなさない」
聖治は反論するが魔来名には届かない。この男の意思を曲げることは不可能だ。力に憑りつかれた魔来名は誰にも止められない。
魔来名は聖治へと向かい、現実を突きつけた。
「今のお前のようにな」
かつていた仲間はすべて消えてしまった。そこには掛け替えのない絆があったはずなのに。守ると誓ったはずななのに。
なのに、みんなはいなくなった。
絆は無力なのか?
仲間に意味はないのか?
魔来名が突きつける現実が聖治の胸に押し掛かる。
けれど。
言うのだ。
胸の中、今も感じる想いに触れながら。
「俺は、一人じゃない」
聖治は片手を胸に当て、魔来名に告げる。
「みんなならここにいる、俺の中に生きているッ」
噛み締めるように。思いを込めて。聖治は魔来名に言う。
「魔来名、お前が分からないというのなら教えてやる。仲間の絆は消えたりしない」
聖治からの言葉に魔来名は構えた。手が柄に添えられる。
「ならば見せてみろ、貴様では相手にならん」
「やってみなければ分からない」
そして聖治も構えた。片手を前に伸ばす。
「魔来名! 証明してみせる。これが、俺たち絆の力だ!」
闇夜に聖治のスパーダが黄金に輝く。
「フッ」
それを見て魔来名が笑った。
それを魔来名は無意味と断ずる。
「俺の仲間が、言っていたんだ……」
聖治は魔来名の言葉には返事をせず、自分の話を進めた。噴火するほどの怒気は収まり、声は懐かしむように悲しさで濡れていた。
「家族は、大切な存在なんだって」
聖治は語る。ここにはいない大切な仲間が言い残してくれた言葉を。妹のために一生懸命で、守るために必死に生きた、一人の少女の言葉を。
「家族っていうのは、お互いを助け合って、思い合って、困難も、一緒に乗り切るものだと! 彼女は、死ぬ間際にそう言っていたんだ」
仲間の喪失は今経験したばかり。胸にはまだその悲しみが渦巻いている。
「あんたは気に入らない! 許せない! だけど」
聖治は睨み上げる。目の前に立つ、強敵でありかつての兄を。
「俺はあんたを斬らない。俺は仲間を大切に思っている。絆を信じている! その仲間が俺に言ってくれた。家族は大切なものと、死ぬ時でさえそう言ったんだ。なら――」
聖治は片手を胸に当てる。瞳には確固たる意思を宿し、力強い眼差しが光った。
「俺がそれを信じないでどうするんだ! 魔来名、俺たちが兄弟なら、俺たちは分かり合えたはずじゃなかったのか!? こんな殺し合いになんの意味がある。俺も香織さんも、他の仲間たちだって、絆を合わせれば錬成七剣神を切り抜けられた。みんなと一緒に、あんたと一緒ならそれが出来たんだ!」
「くだらん」
聖治の叫びを魔来名は再び弾き返す。
「俺の考えは変わらん。もっと力を得ること、それだけだ」
冷酷に。冷徹に。魔来名の目は手に持つ刀と同じようにするどい。
「協力? 仲間? 虚しいものだな。誰よりもそれを信じてきたお前が今ではたった一人だ。絆など弱い。あるのは力、それだけだ」
魔来名は言う。聖治の語る絆を否定し力こそがすべてだと。そう断言する彼の意志は鉄のように固く氷のように冷たい。
「そんなことはない! 力だけで作り出す未来にあるのは、己の欲しか満たせない空虚な世界だけだ。絆で切り開く未来には人の笑顔と幸せがあると、俺はそう信じている!」
「いらん。世界の形など強者の足跡に過ぎん。 絆などなんの意味もなさない」
聖治は反論するが魔来名には届かない。この男の意思を曲げることは不可能だ。力に憑りつかれた魔来名は誰にも止められない。
魔来名は聖治へと向かい、現実を突きつけた。
「今のお前のようにな」
かつていた仲間はすべて消えてしまった。そこには掛け替えのない絆があったはずなのに。守ると誓ったはずななのに。
なのに、みんなはいなくなった。
絆は無力なのか?
仲間に意味はないのか?
魔来名が突きつける現実が聖治の胸に押し掛かる。
けれど。
言うのだ。
胸の中、今も感じる想いに触れながら。
「俺は、一人じゃない」
聖治は片手を胸に当て、魔来名に告げる。
「みんなならここにいる、俺の中に生きているッ」
噛み締めるように。思いを込めて。聖治は魔来名に言う。
「魔来名、お前が分からないというのなら教えてやる。仲間の絆は消えたりしない」
聖治からの言葉に魔来名は構えた。手が柄に添えられる。
「ならば見せてみろ、貴様では相手にならん」
「やってみなければ分からない」
そして聖治も構えた。片手を前に伸ばす。
「魔来名! 証明してみせる。これが、俺たち絆の力だ!」
闇夜に聖治のスパーダが黄金に輝く。
「フッ」
それを見て魔来名が笑った。
「錬成七剣神(セブンスソード)」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
4,126
-
4,981
-
-
2.1万
-
7万
-
-
6,681
-
2.9万
-
-
817
-
721
-
-
176
-
61
-
-
66
-
22
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
5,039
-
1万
-
-
5,217
-
2.6万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
8,191
-
5.5万
-
-
3,152
-
3,387
-
-
2,534
-
6,825
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
3,548
-
5,228
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
6,199
-
2.6万
-
-
1,295
-
1,425
-
-
2,860
-
4,949
-
-
6,675
-
6,971
-
-
6,044
-
2.9万
-
-
3万
-
4.9万
-
-
265
-
1,847
-
-
344
-
843
-
-
450
-
727
-
-
6,237
-
3.1万
-
-
76
-
153
-
-
83
-
2,915
-
-
65
-
390
-
-
3,653
-
9,436
-
-
10
-
46
-
-
3
-
2
-
-
1,863
-
1,560
-
-
4,922
-
1.7万
-
-
14
-
8
-
-
62
-
89
-
-
187
-
610
-
-
108
-
364
-
-
1,000
-
1,512
-
-
3,224
-
1.5万
-
-
71
-
63
-
-
86
-
288
-
-
23
-
3
-
-
89
-
139
-
-
86
-
893
-
-
33
-
48
-
-
4
-
1
-
-
83
-
250
-
-
477
-
3,004
-
-
2,629
-
7,284
-
-
2,951
-
4,405
-
-
398
-
3,087
-
-
10
-
72
-
-
218
-
165
-
-
27
-
2
-
-
9
-
23
-
-
614
-
221
-
-
17
-
14
-
-
183
-
157
-
-
18
-
60
-
-
4
-
4
-
-
7
-
10
-
-
47
-
515
-
-
6
-
45
-
-
408
-
439
-
-
1,391
-
1,159
-
-
7,474
-
1.5万
-
-
1,301
-
8,782
-
-
1,658
-
2,771
-
-
2,431
-
9,370
-
-
29
-
52
-
-
215
-
969
-
-
220
-
516
-
-
213
-
937
-
-
614
-
1,144
-
-
62
-
89
-
-
42
-
14
-
-
88
-
150
-
-
2,799
-
1万
-
-
51
-
163
-
-
34
-
83
-
-
164
-
253
-
-
104
-
158
-
-
116
-
17
「現代アクション」の人気作品
-
-
4,126
-
4,981
-
-
986
-
755
-
-
817
-
721
-
-
756
-
1,734
-
-
186
-
115
-
-
184
-
181
-
-
183
-
157
-
-
181
-
812
-
-
149
-
239
コメント