錬成七剣神(セブンスソード)

奏せいや

対決7

「見ているんだろう! 出て来いぃいい!」

 忙しなく辺りを見渡し、スパーダを振るって威嚇する。

「何が団長創造だ! 何がセブンスソードだ! こんなことしてまですることか!?」

 涙を拭き取りながら、乱暴に振るう手を休めず叫び続ける。瞳には怒りを宿して、殺意をむき出しにして敵を探した。

「今もどこかで監視してるんだろう! 出て来いよ! 俺が相手になってやる!」

 聖治はゼウシスを振り下ろし地面に叩き付けた。アスファルトで出来た道路が爆散する。今の聖治はスパーダを五本所持している。それにより肉体面も強化され、地面は容易く砕けた。

「どうした、出て来い!」

 聖治は魔卿まきょう騎士団を探し続ける。全ての元凶を。今もどこかで監視しているはずだ。

 すると背後から足音が聞こえた。聖治は急いで振り向き、そこにいる人物を睨み付ける。

 だが、そこにいたのは魔卿騎士団ではなかった。予想とは違う人物に唖然とし、相手の名前を口にする。

魔来名まきな……」

 そこには、自分と同じセブンスソードの一員。スパーダである魔堂まどう魔来名まきなが立っていた。

 いつもと変わらぬ底冷えするほどの鋭い眼光。威圧感は研ぎ澄まされ一本の刃のようだ。純白のロングコートと金髪が夜風に小さく揺れる。

 そして、右手には魔来名まきなのスパーダである、天黒魔あくまが握られていた。

 だが、聖治はすぐに異変に気が付いた。以前見た時と鞘が違う。前見た時にはなかった千羽鶴が垂れている。

 何故そんなものが付いているのか疑問に思い、答えはすぐに思いついた。別の鞘。それだけで分かった。そして、それが意味するものまで――

「お前……」

 聖治は再び激しい痛みに襲われる。火薬に火が付いたように、胸の奥から熱い感情が沸き上がる。怒りの念が、悲しみに転じる。

香織かおりさんを、殺したのか!?」

 魔来名まきなが手にする鞘は以前とは違う。そして、香織かおりさんのスパーダは相手によって形を変える万剣の鞘だ。

 今の鞘は香織かおりさんのスパーダに違いない。それは、魔来名まきな香織かおりさんからスパーダを奪ったことに他ならない!

「っく!」

 聖治は、すべての仲間を失った。誰一人助けることが出来なかった。

「うわああああああああ!」

 大切だった友達も、守ると決めた仲間も、全部失った。誰一人守れず、生き残ったのは自分と、

魔来名まきなァアアア!」

 怒りに任せ相手の名を叫ぶ。怒りの目つきで魔来名まきなを睨む。

「…………」

 魔来名まきなは答えない。反応すら示さない。目の前の男が何を考えているのか、聖治には分からない。

 セブンスソードは終盤。生き残りはあと二人。それが、聖治と魔来名まきなだった。

 二人は対峙する。セブンスソードの終わりが近いことを示すように、互いに見つめ合いながら。

 錬成七剣神セブンスソード。その終決しゅうけつと完成が、すぐそこまで差し迫っていた。

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